2024年12月23日

交通・屋外広告

交通広告のデザインで大切な3つのポイント【モデルケースあり】

交通広告に興味があるものの、どんなデザインにしたら良いか分からない方も多いのではないでしょうか。
また、過去に交通広告を実施したものの、うまく集客や企業認知に結び付けられなかったという人もいるでしょう。

街に溶け込む交通広告を多くの人に見てもらうためには、デザインの工夫が必要です。

本コラムでは、企業と生活者をつなげる一番最初のきっかけづくりとして重要な役割を果たす交通広告のデザインにおいて、必ず押さえておきたい基本的なポイントを3つに分けて解説していきます。
交通広告に興味がある方、これから実施を考えている方は、ぜひご参考にしてください!

 

交通広告におけるデザインの重要性

交通広告とは、私たちが日々移動で利用する電車や駅、路線バスなどに掲載される広告の総称です。

生活者の日々の行動に寄り添う公共性、同じ広告を繰り返し見てもらえるゆえの反復訴求性に優れており、多くの企業が広告展開の一つとして活用しています。

交通広告は、広告視認が生活者の自主性に委ねられているため、好かれやすく、嫌われにくいメディアとも言われており、不特定多数へ接触する特性も持ち合わせています。
そのため、まだサービスや商品を知らない人にもアプローチすることができる強みがあります。

一方で、「広告視認が生活者の自主性に委ねられている」ということは、実際に手に取ってもらったり、手元でじっくり見てもらえる広告とは異なり、認識してもらうためにデザインのしかけや工夫が必要です。

それでは、生活者の視覚に訴えるためどのようなデザインにしたら良いのでしょうか。本コラムのために作成した架空の企業・業態をモデルケースをもとに、下記3つのポイントを見ていきましょう。

 

ポイント① 情報の取捨選択(優先順位)を意識する

交通広告のデザインを考えるうえで大切なのは、情報の取捨選択をし、優先順位を意識することです。

交通広告は広告スペース、そしてターゲットとなる生活者との接触時間が限られています。それに加えて、他社の広告と並んで掲載されるケースが多いため、少ない時間でいかに生活者の視線を奪い、届けたい情報を効率的に届けられるかが勝負の分かれ目です。

掲載したい情報の整理で一番大切なのは「情報の優先順位を確認する」ことです。
情報の優先順位が定まっていないと、訴求内容を正確に受け取ってもらうことは難しく、視覚的にもメリハリのないぼんやりとしたデザインになってしまいます。優先順位を決めるには、広告を出す目的(狙い)と、広告を見てほしいターゲット層を明確にして、方向性を定めることが必要です。

これらを踏まえたモデルケースが、以下になります。

モデルケース(電車内ツインステッカー)

ツインステッカー広告

広告の特徴

  • 乗降扉のガラス窓上部に2枚一組で掲載されるシールタイプの広告(H9cm×W35cm)
  • 基本的にドア周りは人が滞留しやすい場所で、扉の高い位置に掲載されるため、行先表示のモニターをみる時に同時に視界に入ることが多く、また通勤通学ラッシュの時間帯でも乗客に隠れにくい視認性の高い広告枠として特に人材サービスPRなどでの出稿が多い広告
  • 2枚一組で左右でデザインが変えられるため、見せ方の幅も広いことが特長

企業詳細

  • 人材サービス運営のベンチャー企業
  • 働く世代を求職者とした転職・副業検索・マッチングサイト(サービス名:Kyoei work)
  • サービスローンチから日が浅く、まずはサービスの認知獲得を目指している
  • 人材サービスとしては敷居低めで、20~30代が主に利用する想定、転職のみならず副業のマッチングができることが魅力

サービスのイメージカラー

  • ブルー

掲載したい情報(優先順位順)

  • サービス名
  • 転職と副業どちらにも対応していること
  • サービスの強み
  • サービスサイトへの誘導
  • サービスを象徴するような人物のアイキャッチ

※本コラムのために作成した架空の企業・業態です

 

人の目線は左上から右下に移動していくといわれており、まず最初に見てもらいたい情報を左上に配置するのが一般的な広告デザインの手法です。
このモデルケースの場合、最優先にサービス名を訴求したい希望があるため、左側に大きく配置しています。

さらに「転職と副業の両方のニーズに応えるサイト」という強みをサービス名と同じ位置で謳うことで、このサービスの特長を同時に印象付け、このサービスがターゲットとする20~30代の男性モデルのアイキャッチが、サービスのイメージをより確かなものにしていく想定です。

そして視線は右側に移り、比較的距離があっても視認しやすい文字の大きさでサービスの特長を簡潔に訴え、最後は検索窓でサイトに誘導するという流れになっています。

特に不特定多数の生活者に接触する電車広告の場合は、誰が見ても「何のサービスについての広告なのか」「誰に何を伝えたいのか」「最終的にどうしてほしいのか」を理解できるデザインであることが、正しく情報が整理された広告と言えるでしょう。

 

ポイント② 広告の種類に応じた見せ方を意識する

次に大切な交通広告デザインのポイントは、広告の種類に応じた見せ方を意識することです。

一口に交通広告といっても、その種類はさまざま。電車・バス・駅という大きなくくりではもちろん、B3ポスターから20cm四方程度のステッカーまで、掲載位置によって広告サイズが異なるのも大きな特徴といえます。

そのような環境のなかで、広告を効果的に生活者に届けるためには、それぞれの広告に応じた見せ方を意識することが重要です。

本章では、基本的な考え方として、性質が対照的な「バスの後部板広告」と「電車内のドアステッカー」2つの広告を例に挙げて解説していきます。モデルケースを使いながら、同様の企業・訴求内容が、広告の違いでどう変わるのかを見ていきましょう。

モデルケース1(バスの後部板広告)

バス後部板広告

広告の特徴

  • 車体の後ろに掲載される長方形の看板広告(H45cm×W100cm)
  • 基本的にバスの後ろを走るドライバーがターゲットとなるため、車間距離を詰めなくても読みやすい文字サイズが必要
  • 広告面の左側は歩道を通行する歩行者からも目にも入りやすいので、広告内容がドライバーに特化したものではなく幅広く訴求したいものであれば左に重要な情報を配置することも考えられる

企業詳細

  • 地元に根差した住宅系総合(新築・リフォーム)
  • 大体、所在都府県とその隣接都府県くらいまでが商圏範囲
  • 代表が広報関係も横断兼務しており、積極的に顔出し
  • 地域密着のブランディングを中心に事業PRをしたい

掲載したい情報

  • 会社名
  • 事業内容
  • 社長の顔写真
  • 出張見積もり無料のPR

モデルケース2(電車・ドアステッカー)

電車・ドアステッカー広告

広告の特徴

  • 乗降扉の窓ガラスに掲載される四角いシールタイプの広告(H16.5cm×W20cm)
  • 人が滞留しやすいドア周りで、掲載位置も乗客の視線に入りやすいため、電車広告の中でも特に視認性に優れているとされている
  • 目線近くに来る広告なのでじっくり読んでもらうことも念頭に置きながら、少し離れた距離からも視認する場合も考慮し、文字サイズに注意する必要がある
  • 面積が少ない分、伝えたいことをどれだけの割合・バランスで配置するかが難しく、レイアウトにも工夫が必要な広告

掲載したい情報

  • 会社名
  • 事業内容
  • 社長の顔写真
  • 出張見積もり無料のPR
  • 連絡先、ホームページへの誘導

※本コラムのために作成した架空の企業・業態です

バス後部板はパッと見で分かるデザイン

バス後部板の場合、横幅1mの大きさを誇るものの、その特性上、近くでじっくり見る機会はほとんどありません。
そのため、ファーストインプレッションと、どれだけ少ない情報量で伝えたい内容を訴求できるかが重要になってきます。
モデルケースでは、会社名と、住宅にかかわる事業に特化したことが分かるような訴求内容になっています。それ以上の情報はあえて載せないことで、パッと見ただけでも何をしている会社なのかが分かるような構成になっています。

また、繰り返し見る機会があることを念頭に、親しみやすさや印象に残りやすいアイキャッチを採用することで、さらに生活者の記憶に刷り込むような見せ方ができるでしょう。

電車内のドアステッカーは情報量が多い

一方で、ある程度近い距離で時間をかけて乗客と接触できる電車内のドアステッカー広告では、バス後部板と比較して情報量がやや多くなっていることが分かります。

よほどの満員電車でない限り、広告を見た人が気になる内容ならスマホで検索したり、メモを取ったりすることもできるのが電車広告の強みです。そのため、電話番号の記載やサイトへの誘導を促すデザインが主流です。近年では、鉄道会社によってQRコードの掲載が許可されており、広告内に設置することでよりサイトへの誘導性を高めたり、当該広告からのアクセス数を測ったりするケースも増えてきています。

このように、できる限り生活者の立場になって接触のシチュエーションを想定し、デザインの方向性を広告ごとに定めていくことで、より良い交通広告のデザインに近づいていきます。

 

ポイント③ 実際の視点を意識する

交通広告のデザインで大切なポイントの3つ目は、実際の視点を意識することです。

“実際の視点”とは「実際に広告が掲載されたときにどのように見えるか」ということです。
これまで触れてきたように、交通広告は種類によって見る人との距離、広告のサイズ、設置場所が異なります。しかし、これは意外と制作の際に忘れがちになってしまうものでもあります。

他社の広告と並んで掲載されることが多いこともあり、実際の視点を考慮した進行や構成が必要です。
また、広告スペースや接触時間が限られているからこそ、どうしても「できるだけ情報を載せたい」という意識に寄ってしまう落とし穴もあります。冷静かつ客観的な視点が良いデザインを作る秘訣です。

実際の失敗例

  • バスの車体看板 背景が真っ黒で、夜になると闇に紛れてしまった
  • 駅看板の場合 周りの壁の色とデザインが同系色で広告と同化してしまった

特に注意すべきこと

  • 目線の高さ(ニュートラルな)→なるべく目線に近いところから載せたい情報を入れていく
  • 文字の大きさ
  • 配色
  • コンパクトにまとめられているか(レイアウト)
  • 周りにすでに掲載されている広告に紛れないような工夫
  • 実際に掲載された景色を想定することは難しいが、できる限りシミュレーションをする
  • 第三者の意見を聞いてみる
  • モニター(掲載写真・掲載イメージ)へのはめ込み合成で実際の視点を疑似体験

では、先ほどのモデルケースのデザインを実際の車内にはめ込んだ写真を見てみましょう。

電車内ツインステッカー

電車内ツインステッカー

車内が混み合っていても隠れにくい、高い位置に掲載されていることが分かります。また、モニターの下にあるので視界に入りやすそうですね。

バスの後部板広告

バス後部板

車体の後ろに、割と大きめに掲載されています。後ろのドライバーが読みやすい文字の大きさです。
道を歩いている人も目に入りやすそうですね。

電車・ドアステッカー

電車・ドアステッカー

人が滞留しやすいドア周りの、乗客の視線に入りやすい位置に掲載されています。じっくり読んでもらいやすいので、情報量も多く、電話番号やサイト誘導も記載されています。

 

まとめ

以上、交通広告のデザインを考えるうえで重要な3つのポイントをお伝えしました。

広告において「良いデザイン」とは、広告を出す狙い・目的が達成できるかどうかです。
交通広告は、公共交通機関に掲載される信頼性や不特定多数に接触できる点で、高い広告力を持っていますが、お伝えしたとおり注意すべき点もあります。

デザインの効果で訴求力を高められるよう、先述した3つのポイントを意識してみていただければと思います。

今回は、基本的なポイントについて解説してきましたが、突き詰めていくとさらに気を付けるべき点がたくさん出てきます。たとえば、掲載期間(短期・長期)によって見せ方が変わったり、使いたい表現と審査基準の兼ね合いがあったり、交通広告のデザインは実に奥が深いです。

キョウエイアドは日本全国で様々な交通広告を取り扱い、多くのクライアントのデザインを手掛けてきた実績があります。「交通広告が気になっているが、何から手を付けていいのか分からない」「デザインに自信がなくて一歩が踏み出せない」そんな悩みをお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください!

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