2023年5月11日

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PEST分析とは?4つの要素と手順についてわかりやすく解説

PEST分析とは、政治・経済・社会・技術の4つの外部環境を分析し、自社への影響を分析するフレームワークのこと。

この記事では、PEST分析の概要と、PEST分析が必要な理由、4つの要素やPEST分析の手順についてわかりやすく解説します。

PEST分析とは

PEST(ペスト)分析とは、経営戦略やマーケティングを行う際に使用するフレームワークの一つで、自社を取り巻く外部環境がどのような影響を与えるかを把握・予測するために行われます。

「政治(Politics)」「経済(Economy)」「社会(Society)」「技術(Technology)」に分類される4つの外部環境の頭文字を取って、PEST分析と呼ばれています。

PEST分析はなぜ必要?

PEST分析は、マクロ環境を分析し、マーケティング戦略や施策を成功させるために必要不可欠です。

マクロ環境の反対語にはミクロ環境があり、それぞれの意味は以下の通り。

マクロ環境
「政治」「経済」「社会」「技術」の環境要因をを指します。これらは自社で統制ができず、ビジネスが大きく影響を受ける要素です。

ミクロ環境
自社の市場や、競合他社を指します。市場や競合を読み解くなど、自社の努力によって多少の統制が可能な要素です。

マクロ環境を分析し、今後起こりうる社会の変化などを予測しながら事業やマーケティングの戦略に活かすためにPEST分析が必要になってくるのです。

環境要因を分析することは、施策や戦略の土台として最も重要です。PEST分析のほか、”SWOT分析”や”3C分析”と呼ばれる分析方法も活用しながら進めるのが主流です。

関連記事:「SWOT分析とは」

分析の結果、将来的に自社にとって脅威となる要因が生まれることが把握できれば、適切なタイミングで事業の撤退判断を下すこともできます。

PEST分析の4つの要素

PEST分析の4つの要素

PEST分析を構成する4つの要素について、詳しく掘り下げていきましょう。

Politics:政治

法規制や制度の解禁など、自社に影響を与える政治的要因を指すのが”P(Politics)”の要素です。

具体的な例を挙げると、

  • 法律の改正(規制や緩和)
  • 政権交代
  • 税の見直し(減税や増税)
  • 裁判制度や判例
  • 政治団体の傾向やデモ

などがあります。これらの要素は国や自治体レベルで決定されることであるため、一企業の力では及びません。動向を常にチェックし、自社に影響を与えそうな変化があったときにすぐ対応できるよう準備しておく必要があります。

Economy:経済

景気や経済成長など、価格連鎖に影響を与える経済的要因を指すのが”E(Economy)”の要素です。

具体的な例を挙げると、

  • 景気
  • 物価(インフレやデフレ)
  • 為替や株価
  • 金利
  • 原油価格
  • 経済成長率

などがあります。為替や株価は、企業によっては利益に大きく関わってきたり、円安が続けば海外から商品を仕入れている企業は脅威になったりと、こちらも常に目を向けておきたい要素です。

Society:社会

人口動態、価値観や流行の変化など、人々の生活に影響を与える社会的要因を指すのが”S(Society)”の要素です。

具体的な例を挙げると、

  • 人口動態
  • 生活習慣やライフスタイル
  • 宗教
  • 文化
  • 流行
  • 教育や言語
  • 少子化や高齢化

などがあります。わかりやすい例としては、アパレル業界では次シーズンの流行を先読みして洋服の企画やデザインが行われます。

多様化する時代に合わせ、広い価値観で事業の方向性を考えていくことがキーとなるでしょう。

Technology:技術

テクノロジーの飛躍的進歩により、インフラやITなどに影響を与える技術的要因を指すのが”T(Technology)”の要素です。

具体的な例を挙げると、

  • AI
  • ビッグデータ
  • IoT
  • メタバースやAR
  • 自動運転システム
  • ブロックチェーン
  • 設計技術

などがあります。技術の革新は、小さな部品の製造過程から街の大きな広告までの広い分野に影響を与えるため、事業やマーケティングの成長と衰退に大きく関係します。直接的にも間接的にも、消費者に提供するサービスへの影響も大きいでしょう。

PEST分析の手順

PEST分析では収集した情報を「政治」「経済」「社会」「技術」に分類したあと、自社にとっての”機会”と”脅威”を洗い出し、施策に落とし込んでいくまでが流れです。

手順を詳しく見ていきましょう。

情報をPESTに分類

自社の事業に関連しそうな情報を集めてPESTに分類していきます。

飲食業界を例に挙げると、以下のような分類が可能です。

Politeics:政治的要因 Economy:経済的要因
・すべての女性が輝く社会づくり」による施策
→ 働く女性が増え、女性の外食需要UP
・新型コロナの緩和により経済活動が再開
→ 飲食業界の売上も回復傾向にある
→ 新型コロナ前の売上には到達していない
Society:社会的要因 Technology:技術的要因
・女性の社会進出
・健康志向の高まりと食事の選択肢の多様化
→ 一人での食事機会の増加
→ 健康に配慮した食への需要が増加
・IT技術の進歩と飲食業界への導入
→ 調理や配膳の自動化が進む
→ タッチパネルによる自動注文

正確な情報を収集するため、国が公開している統計データ、シンクタンクによる調査レポート、新聞や専門誌の記事など、信頼性の高い情報を精査することが重要です。

”事実”と”解釈”に分類

上記でPESTに振り分けた内容を、さらに”事実”と”解釈”に振り分けていきます。

事実:実際に起きている事柄、状況、データから明確に読み取れること
解釈:起きている事柄、状況を個人の主観で受け取ること

判別が難しく感じたときは、現状起きていることを事実に振り分けるところから始めるといいでしょう。

今回の例に当てはめると、技術的要因は実際に起きている事柄であるため”事実”に分類されます。社会的要因の「女性の社会進出によって一人で食事する女性が増えた」については、因果関係が定かではないので解釈に分類します。

事実を”機会”と”脅威”に分類

ここまでのステップで事実に振り分けた事柄を、”機会”と”脅威”に分けていきます。

自社にとってプラスになると考えられる情報は”機会”に、マイナスになると考えられる情報は”脅威”に分類しましょう。

例えば、IT技術の進歩によって調理、配膳、注文が自動化することは人件費の削減につながるという意味では”機会”ですが、一人ひとりに心を込めたサービスを提供できないという面ではマイナスになり、”脅威”に分類することもできます。

このように、視点を変えて物事を見ていくことがチャンスに繋がるアイデアになることがあります。

時間軸を”短期”か”長期”で整理し、施策に落とし込む

振り分けした”機会”と”脅威”を、具体的な施策に落とし込みます。

その際に重要なのが、緊急性の高さです。短期的な施策に落とし込むのか、長期的に見て施策を考えていくかを、緊急性の高さで判断しましょう。

PEST分析によって時間軸がチームでの共通認識になると、会議や作業の生産性アップに繋がります。

まとめ

以上、PEST分析についてでした。

政治、経済、社会、技術の4つの環境要因に基づいて分析することは、戦略やマーケティングを考えていく上での土台となります。

マクロ環境を分析・理解し、業績のアップを目指していきましょう。

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