2025年11月5日
その他「知られる企業」になるためのマーケティングの基本―認知づくりを仕組み化する3つのポイント
企業にとって、「知ってもらえるかどうか」は事業の成否に直結します。
どんなに良い商品やサービスを持っていても、知られなければ選ばれることはありません。
短期的な広告出稿だけでは、一時的に成果が得られても、その後は続かないことが多く、費用だけがかさんでしまうことも少なくありません。
そこで重要なのが、認知を継続的に積み上げる仕組みづくりです。マーケティングの視点から見た「認知づくり」とは、一度きりではなく、自然に見つけてもらえる状態を作ることを指します。
(参照:「小さな会社こそ取り組むべき「仕組み」としてのマーケティング」)
認知づくりの目的を明確にする
まず最初に考えるべきことは、「誰に」「何を」知ってもらいたいか、つまり、認知づくりの「目的」です。
目的が曖昧なままでは、発信内容や発信チャネルが場当たり的になってしまい、結果として「誰のための情報なのか」が伝わらなくなります。
例えば
・自社の製品・技術を新しい業界にも広めたい
・取引先や見込み客に、専門性と信頼感を伝えたい
・求職者(採用候補者)やパートナー企業に、自社の文化を知ってもらいたい
のような目的を定めます。
ターゲット(誰に)と届けたいメッセージ(何を)を明確化することで、認知づくりの効果が高まります。
認知づくりを仕組み化する3つのポイント
① 自社サイト・オウンドメディアを資産化する
自社サイトやオウンドメディア(ブログ)は、長期的に潜在顧客からのアクセスを生む資産となります。
自社メディアに掲載されたコンテンツは、SNS投稿や広告とは異なり、時間が経っても検索サイトやブックマーク経由でアクセスされるため、継続的な認知の獲得につながります。
具体的な取り組み
・潜在顧客の悩み・課題を解決するコンテンツを発信する
・製品・サービスに使われている技術分野について情報発信する
・FAQやよくある質問を記事化する
ポイントは、記事は1本で短期的なバズを狙うのではなく、1年・2年かけて少しずつ本数を積み上げていくことが重要です。
また、記事同士を内部リンクで結び、サイト全体を「知識のライブラリ」として設計すると、サイト内の回遊が高まり、認知獲得の効果が持続します。
② SNSを導線として活用する
SNSは見込み客との最初の接点を作るのに有効です。
ただし、フォロワー数やいいね数だけを追っても、本質的な認知にはつながりません。
SNSは、自社サイトや資料ダウンロードなど、顧客を「自社の土俵」へ誘導するための導線として設計することが重要です。
効果的な運用
・投稿テーマを絞り、ブランドの軸を明確化する
・記事・セミナー・ホワイトペーパーなどへのリンクを設置する
・コメントや問い合わせに丁寧に対応し、対話を増やす
・社内メンバーが発信をサポートできる仕組みを作る
ポイントは、SNSは「発信の場」であると同時に、「信頼を積み上げる場」であるということです。そのため、投稿内容は、専門知識を伝える「教育型」と、企業の人柄を伝える「親近感型」をバランス良く組み合わせましょう。
③ロングスパンの広告・PRを取り入れる
広告は、使い方によっては短期的な販促だけでなく、長期的なブランド認知を作る手段としても有効です。低コストで長期間掲出できるデジタルバナーや業界メディア掲載、交通広告なども、持続的に接点を作る方法です。
また、プレスリリースや自社サイトなどを通じた定期的な情報発信、自社セミナー・イベントの開催などの広報PR活動は、業界誌などのメディア掲載にもつながります。認知づくりの仕組み化に取り入れるとよいでしょう。
活用例
・業界誌・専門ポータルでのPR掲載
・セミナー協賛やホワイトペーパー共同制作
・ローカスバスや電車などの交通広告に長期広告掲載
広告は単発よりも「長期で見られる接点」として設計することで、費用対効果が上がります。自社サイト・SNSと一貫性を持たせると、ブランドイメージの定着にもつながります。

【成功事例】継続的な情報発信が指名検索につながる
事例1:BtoB製造業(精密部品メーカー)
課題
業界内では知られていたが、新規分野への拡販が進まない
目的
自社や製品のことを知らない新規ターゲット業界に、製品の導入メリットについて知ってもらう
取り組み
・技術ブログを立ち上げ、製造工程や品質管理への取り組みを定期発信
・導入企業の活用事例をホワイトペーパー化し、サイトで公開
・LinkedInで担当者が技術コラムを投稿し、専門性を発信
成果
半年で「会社名」「商品名」の指名検索数が2倍に増加。展示会出展時の問い合わせ件数も前回比1.6倍となり、営業先での「Webを見た」という声が増加した。
事例2:BtoBサービス企業(システム開発・コンサル)
課題
営業訪問による活動が中心で、新規顧客の獲得数が頭打ちになっている。Web経由のリードが少ない。
目的
全国の潜在顧客層に自社サービスを知ってもらい、Web経由のリードを増やしたい。
取り組み
・自社メディアを立ち上げ、業界課題やDXトレンドを定期発信
・セミナー開催情報をSNSで発信し、申し込みをサイトに誘導
・業界ポータルサイトへの寄稿・専門家インタビューを実施
成果
自然検索からのアクセスが半年で150%増加。
SNSからのセミナー申込率も高まり、Web経由での新規リードが継続的に獲得できる仕組みが構築された。

まとめ:認知は「一度伝える」ではなく「積み重ねる」
認知づくりは短期的な施策ではなく、仕組みとして積み重ねることが重要です。
・自社サイトやオウンドメディアを資産化
・SNSを導線として活用
・長期的なPR・広告で接点を持続
これらを組み合わせることで、限られたリソースでも自然に見つけてもらえる状態を作ることができます。地道な積み上げが、「知られる企業」そして「選ばれる企業」につながります。






