2026年8月17日
マーケティング業種別 広告の勝ち筋5 美容・エステはなりたい自分を刺激する広告が効く
美容やエステ、フィットネスは「なりたい自分」に近づくためのサービスであると同時に、価格やトラブルへの不安から慎重に比較検討されやすい分野でもあります。
近年は脱毛サロンの経営破綻や返金トラブルが繰り返し報じられ、業界全体の信頼性が問われる状況が続いています。SNSでの情報発信は、こうした業界でも新規顧客との接点をつくる主要な手段として定着していますが、フォローしている人にしか届きにくいという構造上の制約もあります。
こうした中で、消費者に安心して選んでもらうためには、SNSでの情報発信だけでなく、日常の生活空間の中で「なりたい自分」を自然にイメージしてもらう接点をつくることが効果的です。
ここでは、美容・エステ・フィットネスという業種において、なぜターゲットを絞り込んだ交通広告とSNSの組み合わせが有効なのか、その理由と具体的な考え方について説明します。
目次
美容・エステ業界を取り巻く市場の変化
まずは業界が置かれている現状を数字で確認し、消費者に選ばれるために何が求められているのかを整理します。
縮小が続く市場と、業界への信頼回復という課題

矢野経済研究所の調査によると、2025年度の国内エステティックサロン市場規模は事業者売上高ベースで2797億円の見込みとなり、前年度比92.1パーセントと6年連続の縮小が見込まれています。市場全体の6割超を占める女性向け施術市場は1688億円で前年度比88.2パーセントと大きく後退した一方、メンズエステ市場はわずかに伸びており、市場全体を下支えする構図になっているとされています。
同調査では、2025年に発生した脱毛サロンの運営をめぐるトラブルによる大量店舗閉鎖が市場全体に大きな影響を与えたと分析されており、一括前払いから施術ごとに支払う都度払いへの移行が、利用者の不安を和らげる動きとして広がりつつあることも報告されています。
2026年度については前年度比100.2パーセントの2803億円と、7期ぶりのわずかな回復が予測されているものの、市場の本格的な回復にはなお時間がかかると見られています。
「誰に」「どう」情報を届けるかという課題
市場全体が縮小傾向にある中で新規顧客を獲得するには、単に施術内容や料金を伝えるだけでなく、その店舗やブランドが信頼できる存在であることを伝える必要があります。特に価格の前払いに不安を感じる消費者が増えている状況では、日ごろから店舗の存在を自然な形で認識してもらい、いざ検討するタイミングで安心して比較の土俵に乗せてもらえるかどうかが重要になります。
一度も見聞きしたことのない店舗と、駅や街中で何度か見かけたことのある店舗とでは、同じ料金や施術内容であっても、消費者が抱く安心感には差が生まれると考えられます。SNSでの情報発信は強力な武器である一方、フォロワーやアルゴリズムに依存する側面もあり、地域の店舗にとっては、日常の生活動線の中でも接点を持っておくことが有効な補完策になります。
SNSでの情報収集と、日常空間での接点づくり
消費者が美容情報をどのように集め、どのような場面で店舗の存在を意識するのかを理解することが、広告設計の出発点になります。
SNSが美容情報収集の主役という実態

株式会社Utakataが2024年に実施したZ世代(157名)を対象とした調査によると、「美容情報を得るために最も使用している媒体」としてInstagramが37.6パーセントで最多となり、YouTubeが22.3パーセント、X(旧Twitter)が15.9パーセント、TikTokが15.3パーセントと続きました。
回答者からは、ハッシュタグ検索で知りたい情報にすぐたどり着けることや、一般ユーザーの投稿から自分に近い条件の変化を確認できることが支持される理由として挙げられています。
同調査では、購入前の口コミ確認においては口コミサイトやアプリが最も参考にされているという結果も出ており、SNSで興味を持った後、別の媒体で裏付けを取るという二段階の行動が一般的になっていることがうかがえます。
SNSは新しい店舗やメニューを知るきっかけとして非常に強力ですが、フォローしているアカウントやアルゴリズムに表示される範囲内での情報収集にとどまりやすいという側面もあります。
ターゲットを絞り込める交通広告の強み
エリアや車両を絞り込むことで、特定の年齢層や性別に的を絞った訴求がしやすく、通勤や通学、買い物といった移動中のすきま時間に、無理なく視界に入るという特性があります。
テレビCMのように広く浅く届けるのではなく、あらかじめ狙った層が高い密度で存在する場所に絞って出稿できる点は、限られた広告予算で成果を出したい店舗にとって大きな利点です。
SNSが「すでに関心を持って検索している人」に強く届くメディアであるのに対し、交通広告は「まだ明確に検討していないが、日常の中でふと美容やボディメイクについて考えるきっかけを持つ人」にまで届く点に強みがあります。
移動中の手持ち無沙汰な時間に交通広告で店舗やブランドを目にし、その場でスマートフォンを取り出してSNSやWebで詳しく調べるという行動は、多くの人にとって自然な流れです。交通広告とSNSは競合するメディアではなく、認知の入り口と、検討段階での深掘りという異なる役割を担う関係にあるといえます。
導入イメージと、明日からできること
理屈だけでは実感が湧きにくいものです。ここでは仮の設定をもとに、この組み合わせがどのように機能しうるかを考えてみます。
もし駅ポスターとSNSを組み合わせたら

たとえば、都度払い制を導入して信頼性を打ち出したいエステサロンがあったとします。仮にこのサロンが、ターゲット層の利用が多い駅の女性向けエリアにポスター広告を掲出し、あわせてInstagramで施術の効果やスタッフの人柄が伝わる投稿を継続的に発信したとしたら、どうなるでしょうか。
駅を利用する人がポスターで店舗の存在や都度払いという特徴を目にし、気になってその場でInstagramのアカウントを検索したとすれば、そこには実際の施術例やスタッフの雰囲気が並んでおり、駅広告だけでは伝えきれなかった情報を補うことができます。
逆に、SNSで店舗を知っていた人が、通勤中に駅のポスターで改めてその店舗を目にすれば、「よく見かける店だから安心できそう」という印象が強まることも考えられます。
仮にこのサロンが、季節ごとにポスターのデザインを変えながら掲出を継続し、あわせてSNSでも同じキャンペーンを連動させて発信したとすれば、駅を通るたびに店舗の存在を思い出し、SNSでの投稿にも自然と目が留まるという好循環が生まれることも考えられます。
個々の店舗で結果は変わってくるはずですが、SNSと交通広告のそれぞれが持つ役割を組み合わせることで、単独のメディアでは生まれにくい相乗効果が期待できることがイメージできるのではないでしょうか。
媒体選びの視点
美容・エステ・フィットネスの広告を設計する際には、まず自店舗の商圏内でターゲット層がどの駅や路線を利用しているか、どの時間帯に移動しているかを把握することが出発点になります。女性向けのメニューが中心であれば、女性の利用が多い車両やエリアに絞った広告が効果を発揮しやすく、男性向けのメニューが中心であれば、通勤時間帯にビジネスパーソンが多く利用する路線を選ぶといった設計が有効です。
年齢層によって主に使うSNSも異なるため、10代から20代前半をターゲットとするならInstagramやTikTokを、30代以降も視野に入れるならYouTubeも含めた設計を検討するとよいでしょう。あわせて、SNSでの発信内容を交通広告のデザインやメッセージと連動させておくことで、駅で見た印象とSNSで見た印象が食い違わないようにすることも重要です。
信頼性が問われやすい業界だからこそ、料金体系や支払い方法についても、広告の中で誠実に伝える姿勢が消費者の安心につながります。
まとめ
美容・エステ業界は市場の縮小と業界への信頼低下という厳しい状況に置かれていますが、だからこそ、消費者に安心して選んでもらうための接点づくりが重要性を増しています。
SNSでの情報発信を軸としながら、駅のポスターや女性専用車両向けの広告のように、ターゲットを絞り込める交通広告を組み合わせることで、まだ検討段階に入っていない層にも自然に「なりたい自分」をイメージしてもらう機会をつくることができます。フォロワーの外側にいる潜在的な顧客に届くという点で、交通広告はSNS運用だけでは補いきれない役割を果たします。
自店舗のターゲット層や商圏に合った媒体の組み合わせについて詳しく知りたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせフォームからご相談ください。
