2026年9月28日
マーケティング訪日客に街で見つけてもらう インバウンド広告の集客戦略と媒体選び
インバウンドに向けた広告では、旅行前に訪問先の候補に入れてもらうことも、日本に着いてから店や商品を知ってもらうことも大切です。
たとえば、観光地へ向かう途中で飲食店の看板が目に入り、スマートフォンでメニューや場所を調べる。街中の広告には、そうした発見のきっかけをつくる役割もあります。
どのような目的で日本を訪れ、どこを移動し、何を探しているのか。旅行者の行動を具体的に思い描くと、広告を出す場所や伝えるべき内容が見えてきます。
ここでは、訪日客の旅行前の情報収集と旅行中の行動をふまえ、インバウンド集客に向けた媒体選びと情報の伝え方について説明します。
目次
訪日客の行動から考える広告の役割
同じ街を訪れる旅行者でも、買い物を楽しみたい人と、食事や文化体験を目的にする人とでは、関心を持つ情報が異なります。出発前に予定を立てているときと、現地で空き時間の過ごし方を探しているときでも、広告に求められる役割は変わります。
まずは、自社の商品やサービスを届けたい相手と、その人が情報を必要とする場面を考えます。
旅の目的から相手を絞る

「訪日客に来店してほしい」と考えたとき、国や地域、使う言語は、対象を絞り込む手がかりになります。ただ、それだけでは、どのような広告をどこに出すかまでは決められません。自社の店やサービスを、旅行のどの場面で利用してもらえるのかを考える必要があります。
たとえば飲食店なら、食事そのものを目的に訪れる人と、観光の合間に近くで食事を済ませたい人とでは、店を選ぶ条件が違います。前者には、旅行前から料理や店の特徴を知ってもらう広告が考えられます。後者であれば、観光施設や宿泊先から歩いて行ける範囲で、店の存在に気づいてもらうことが第一歩になります。
同行者や移動の自由度も、広告を考えるうえで欠かせない条件です。
家族で過ごせる場所を探しているのか、一人で短時間の体験を楽しみたいのか。団体旅行の自由時間なのか、予定を自分で組み立てられる個人旅行なのかによっても、提案できる内容は変わります。初めての訪日か、何度も訪れているかも確認しておきたい点ですが、訪問回数だけで好みを決めつけないよう注意が必要です。
対象を考える際は、実際の来店客や問い合わせの内容も参考になります。何をきっかけに店を知ったのか、どこから来たのか、利用前に何を確かめていたのか。こうした声を集めていくと、自社に合う旅行者の姿と、情報を届けたい場所が具体的になります。
旅行前と旅行中で変わる情報の役割
観光の分野では、旅行前の準備や情報収集の段階を「旅マエ」、旅行中を「旅ナカ」と呼びます。インバウンド向けの広告でも、この時間の流れを意識すると、媒体ごとに担う役割を整理しやすくなります。
JTB総合研究所とCint Japanが2023年に公表した「旅マエ~旅ナカにおける訪日旅行者の行動変化と持続可能な観光への意識調査」では、13か国の訪日旅行者の約8割が、旅行日数や旅行形態に関わらず、旅行前に旅程をほぼ決めていたと報告されています。見学にまとまった時間が必要な施設や、事前予約を受け付ける体験などは、旅行を計画する段階で候補に入れてもらう視点が欠かせません。
同じ調査では、旅行中に探す情報も時期によって変わり、序盤は滞在先での生活を整えるための情報、中盤は短時間の体験、終盤は土産物の購入場所が求められる傾向が示されています。
現地で届ける広告を考える際も、旅行者が滞在のどの段階にいるのかを意識すると、伝える内容を絞り込みやすくなります。
旅行中の広告を、その日の来店だけで評価しない見方もあります。
JTB総合研究所の「インバウンド旅行者への情報提供に関する調査(2024)」は、過去1年以内に観光で日本を訪れた台湾とアメリカの旅行者を対象にしたものです。この調査では、日本旅行中に触れた情報から、次の旅行で行ってみたい場所を見つけていることが示されました。そう感じた理由として最も多かったのは、直近の旅行の予定が詰まっていて時間がなかったというものです。今回は立ち寄れなくても、次の旅行の候補として覚えてもらえる可能性があります。
旅行前に知ってもらいたいことと、現地で知らせたいことを分けて考える。そのうえで、次の訪問まで見据えて接点をつないでいくことが、インバウンド向けの広告展開を考える土台になります。
移動と滞在に合わせた広告の届け方
訪日客に広告を届けるには、旅行者が集まるエリアと、その中を実際に移動する経路を捉えることが大切です。空港から宿泊先への移動や、駅から観光施設までの街歩きなど、旅行の流れに沿って、店や商品を知ってもらえる場所を考えます。
移動経路から考える媒体選び

広告を出す場所を選ぶとき、空港や大きな駅、有名な観光地は候補に挙がりやすいでしょう。ただ、利用者が多い場所でも、自社が届けたい旅行者がその広告の前を通るとは限りません。
利用するターミナルや路線、駅の出口、その先にある宿泊施設や観光地との位置関係まで確かめる必要があります。
たとえば、駅から徒歩圏内の店舗でも、旅行者がよく使う出口と反対側にあれば、店の前を通らずに目的地へ向かってしまうことがあります。その場合は、店舗の周辺に加え、改札から出口へ向かう途中など、進む方向を決める前に店の存在を知らせられる場所も検討できます。
交通広告も、こうした移動経路に合わせて選びます。
空港から市街地へ向かう鉄道やバス、宿泊エリアと観光地を結ぶ路線など、自社の商品やサービスを利用してもらえる範囲から候補を探します。そのうえで、車内なのか、乗り換えの通路なのか、駅の出口付近なのかによって、広告がどのような状況で見られるのかを確かめます。
広告の目的によっても、適した場所は変わります。商品やブランドを広く知ってもらいたい場合と、近くの店舗に立ち寄ってもらいたい場合とでは、必要なエリアの広さが異なります。
前者なら旅行中に利用する複数の場所に、後者なら店舗までの経路上に出すなど、目的に合わせて組み合わせを考えます。人通りの多さだけでなく、自社にとってその場所に意味があるかどうか。この二つをあわせて見ることが、媒体選びの軸になります。
街歩きの途中で生まれる発見
目的地へ向かう道や宿泊先の周辺も、旅行者に店や商品を知ってもらう場所になります。
屋外の看板やポスター、宿泊施設に置かれる観光情報誌の広告などは、その街で過ごしている人へ情報を届ける手段です。
前述のJTB総合研究所の2024年の調査では、日本に着いてから知った情報がきっかけで、予定していなかった場所を利用・訪問した人に、その情報源を尋ねています。この中で「街なかや交通機関の中の広告」を挙げた人は26.3%でした。SNSでの検索などを挙げた人のほうが多いものの、現地で目にした広告も、予定になかった行き先を選ぶきっかけの一つになっていることがうかがえます。
この結果を広告展開に生かすには、広告を見た人が実際に立ち寄れるかどうかまで考える必要があります
観光の合間に利用してもらう飲食店なら、観光施設から駅へ戻る道や、宿泊エリアから出かける道が候補になります。短時間の体験を提供する施設であれば、周辺で過ごす旅行者に、空き時間の選択肢として知ってもらう方法もあります。
広告を出す場所は、一か所で完結させる必要はありません。駅で店名を知り、街を歩く途中でもう一度目にして、店の近くで場所を確かめる。そうした流れを想定する場合は、それぞれの広告が何を担うのかを整理しておきます。
街中の広告は、その場で来店を決めてもらうだけでなく、店名を覚えてもらったり、後から調べてもらったりするきっかけにもなります。旅行者の移動と滞在の範囲を捉え、見つけてもらう機会をどこにつくるか。その視点から、交通広告や屋外広告、滞在先で触れる媒体を選んでいきます。
来店や利用につなげる情報の伝え方
広告で興味を持ってもらった後には、どこにあるのか、いくらで利用できるのかといった確認が続きます。
旅行者が知りたいことを、広告とその先の案内でどう伝えるか。限られた滞在時間の中でも利用を判断できるように、情報を整えておく必要があります。
翻訳だけでは伝わらない条件

インバウンド向けの広告では、対象とする旅行者に伝わる言語を選びます。その際は、日本語の文章を訳すだけでなく、日本の店やサービスに詳しくない人にも内容が伝わるかを確かめます。商品名やサービス名だけでは、何が買えるのか、どのような体験ができるのかが分からない場合もあるためです。
たとえば飲食店なら、料理名に写真を添え、価格帯や店の場所を示す方法があります。体験施設なら、体験の様子に加えて、所要時間や予約の要否が分かると、旅程に組み込めるかを判断しやすくなります。
興味を持った旅行者が次に何を知りたくなるかを考えて、載せる情報を選びます。
写真や地図、記号も、言葉を補う手段になります。ただ、雰囲気のよい写真だけでは、広告の内容を取り違えられることもあります。
たとえば宿泊施設の広告に食事の写真を使うなら、宿泊者向けの食事なのか、食事だけでも利用できるのかが分かる説明を添えておくと安心です。魅力を伝える表現と、実際の利用条件をそろえておく必要があります。
情報を増やせば分かりやすくなるとは限りません。
歩きながら目にする広告では、細かな説明を読む時間はわずかです。まず何の広告なのか、どのような魅力があるのかを伝え、その場で判断するのに必要な情報を優先します。詳しいメニューや利用条件は、サイトや店頭など、落ち着いて確かめられる場所で案内する形も考えられます。
広告から検索や予約へつながる案内
広告を見て店に興味を持っても、検索で見つからなかったり、場所が分からなかったりすれば、訪問を見送られてしまうかもしれません。広告の制作とあわせて、興味を持った人が何を使って調べるのか、その先で必要な情報を確認できるのかも見ておきます。
店名や施設名は、広告、サイト、地図サービスなどで表記をそろえておきます。外国語の名称を広告に載せる場合は、その名称で検索しても店舗の情報にたどり着けるかを確かめます。
QRコードを使う場合は、掲出する場所と、読み取った先の内容を考えます。立ち止まって見てもらえる広告なのか、移動中に一瞬だけ目に入る広告なのかによって、読み取りやすさは変わります。読み取った先も、総合案内のトップページより、その店舗のメニューや予約ページなど、広告の内容に合ったページのほうが迷わせずに済みます。広告と案内先の言語がそろっているかも見落とせない点です。
来店を目的にするなら、最寄り駅からの経路、建物の入口、店舗のある階など、到着までに迷いそうなところを確かめます。予約を促す場合は、空き状況の確認から申し込みまで進められるか、入力項目や説明が対象の旅行者に伝わるかを点検します。
広告で伝えた内容を手がかりに、旅行者が調べ、利用を決め、店へ向かえるようにする。広告そのものと、その後に触れる情報をひと続きで整えることが、来店や利用につなげるための準備になります。
まとめ
インバウンド向けの広告を考える出発点は、自社の商品やサービスが、旅行者のどのような時間に役立つのかを知ることです。出発前から訪問先として選んでもらうのか、街を歩く途中で見つけてもらうのか。その違いによって、広告を届ける場所も、伝える内容も変わります。
旅行中に目にした広告が、その日の立ち寄り先や、次に訪れる場所を考えるきっかけになることもあります。交通広告や屋外広告で知ってもらい、サイトや地図で詳しい情報を確かめられるようにするなど、旅行者の行動に沿って案内をつないでいくことが大切です。
当社では、交通広告や屋外広告、Web広告などを通じて、店舗や商品に合った広告展開をご提案しています。
訪日客へのアプローチをお考えの方は、届けたい相手やエリア、ご予算などをお聞かせください。旅行者の移動経路や滞在先をふまえ、媒体の選び方や組み合わせからご提案します。
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