2026年3月2日
インストアメディアリテールメディアは”第3のOOH”になるのか 店頭サイネージの現実的な活用法と媒体選びの考え方
近年、広告業界では「リテールメディア」という言葉を耳にする機会が急増しています。
これまでOOH(アウト・オブ・ホーム)広告といえば、屋外看板やビルボード、交通広告といった「街中で目に入る広告」が中心でした。しかし最近は、店舗内のデジタルサイネージやアプリを活用した広告配信が広がり、リテールメディアがOOH広告の新しい形として注目されています。
特に話題になりやすいのが、リテールメディアは「第3のOOHになり得るのではないか」という見方です。
屋外広告や交通広告が担ってきた認知拡大の役割を、店舗内のサイネージや店頭の広告が引き継いでいくのではないかという期待が背景にあります。実際、回転寿司チェーンの店内サイネージのように、来店者の目に入りやすい環境で広告を配信できる媒体が登場し、広告主側の関心も高まっています。
一方で、リテールメディアは「出せば売れる」「店舗に出すから必ず成果が見える」といった単純な話ではありません。
店舗内サイネージは接触環境が特殊で、交通広告や屋外広告と同じ発想で運用すると効果が出にくいケースもあります。また、リテールメディアならではの強みを活かすためには、媒体ごとの特性を正しく理解する必要があります。
さらにリテールメディアは媒体の種類が幅広く、外食チェーンの店内サイネージ、薬局内サイネージ、病院内サイネージ、商業施設内メディア、モバイルバッテリーレンタルサービスの設置拠点など、接触する場所によってターゲットや活用方法が大きく変わります。
そのため重要なのは、「リテールメディア」という言葉の流行に乗ることではなく、自社の商材や目的に合った使い方を整理することです。
では、リテールメディアは本当に”第3のOOH”になり得るのでしょうか。そして店頭サイネージは、どのように使えば現実的に成果につながるのでしょうか。
ここでは、リテールメディアの特徴と媒体ごとの使い分け、成果を出すための現実的な設計について説明します。
目次
リテールメディアが注目される理由と「第3のOOH」という考え方
リテールメディアがここまで注目されるようになった背景には、広告を取り巻く環境の変化があります。まずは、なぜ今リテールメディアが拡大しているのか、そして「第3のOOH」と呼ばれるようになった理由を整理します。
リテールメディアとは何を指すのか
リテールメディアとは、小売事業者や店舗が保有する接点を活用した広告メディアの総称です。
具体的には、店舗内に設置されたデジタルサイネージ、アプリ内広告、レシートやクーポンと連動した施策などが含まれます。共通しているのは、実際の購買行動が起きる場所やそのすぐ近くで広告接触が発生する点です。
従来の広告は、認知を広げる役割と購買につなげる役割が分かれていました。テレビCMや屋外広告で商品名を覚えてもらい、店頭のPOPやチラシで最後の一押しをするという流れです。しかしリテールメディアは、この二つの役割を一つの接点で同時に果たせる可能性があります。広告を見た直後に商品を手に取ったり、購入を思い出したりすることが起き得る環境にあるためです。
また、リテールメディアの大きな特徴は、「どんな人がその場所に来ているか」が店舗の業態から推測しやすい点にあります。たとえば回転寿司チェーンであればファミリー層が多く、薬局であれば健康に関心がある層が多いと想定できます。
この「場所の特性からターゲットを読み解ける」ことが、リテールメディアが広告手法として注目される大きな理由です。
OOH広告とリテールメディアは何が違うのか

OOH広告は、屋外看板や交通広告など、不特定多数に向けて広く認知を取ることを得意とする広告手法です。駅や街中といった生活動線上で繰り返し目に触れることで、ブランド名や商品名を記憶に残す役割を担ってきました。
OOH広告の課題としてよく挙げられるのは、広告に接触する人の属性が読みにくいことです。駅のホームにいる人、街を歩いている人がどんな関心を持ち、何を買おうとしているかは、場所の情報だけでは限られた推測しかできません。
これに対してリテールメディアは、店舗という目的を持って訪れる場所で広告接触が発生します。来店者は「食事をしに来た」「薬を買いに来た」「日用品を補充しに来た」といった具体的な目的を持っていることが多く、その行動の文脈から関心やニーズを推測しやすい点が、OOH広告との大きな違いです。
ただし、リテールメディアもOOH広告と同様に、短時間で情報を伝える必要がある点は共通しています。店頭サイネージは立ち止まってじっくり見るものではなく、あくまで視界に入る広告です。そのため、視認性やメッセージのシンプルさが重要になります。
「第3のOOH」と言われる理由はどこにあるのか
リテールメディアが「第3のOOH」と呼ばれる背景には、屋外広告、交通広告に続く、新しい生活動線上の広告接点としての期待があります。屋外や駅ではなく、店舗という場所で広告接触をつくれる点が、従来のOOHと同じ文脈で語られる理由です。
特に、デジタルサイネージの普及により、店舗内でも動画や静止画を使った広告表現が可能になりました。OOH広告と同様のクリエイティブ手法を、店舗の中で展開できるようになったことが「第3のOOH」という呼び方に結びついています。
一方で、この言葉にはやや期待が先行している側面もあります。リテールメディアはOOH広告の代替になるものではなく、役割が異なる広告手法です。次の章では、店頭サイネージの効果が出やすい条件と出にくい条件について整理します。
店頭サイネージは万能ではない 成果が出る条件と出ない条件
リテールメディアが注目される理由の一つは、店頭サイネージを活用すれば購買の現場で広告を出せるという点にあります。しかし、店頭サイネージは出稿すれば必ず成果が出る媒体ではありません。相性が良い商材とそうでない商材がはっきりしており、目的設定を誤ると期待外れに終わることもあります。ここでは、店頭サイネージで成果が出やすい条件と出にくい条件を整理します。
成果が出やすいのは「購買の意思決定が短い商品」
店頭サイネージで成果が出やすいのは、購入の意思決定が短い商品です。たとえば食品、飲料、日用品、ドラッグストア商材などは、店舗に来た時点で購入意欲が高いことが多く、広告が購買行動を後押ししやすい傾向があります。
特に相性が良いのが、いわゆる「ついで買い」が期待できる商材です。
店内で広告を見たことで商品を思い出し、予定になかった購入が生まれるケースは少なくないと考えられます。OOH広告は街中で接触するため、購入までに時間的・物理的な距離がありますが、店頭サイネージはその距離が短いため、広告の影響が行動に結びつきやすいのです。
また、外食チェーンの店内サイネージは、利用者がメニューを選んだり食事をしたりしている時間帯に広告接触が発生します。食事中やその前後は比較的リラックスした状態にあるため、広告の内容が記憶に残りやすく、帰宅後の行動につながりやすい環境です。店頭サイネージは「すでに来店する目的を持っている人」に対して接触できる点に強みがあります。
成果が出にくいのは「比較検討が長い商品」
一方で、比較検討に時間がかかる商品は、店頭サイネージ単体では成果を出しにくい傾向があります。たとえば住宅や自動車、保険、通信サービス、法人向けサービスなどは、広告を見たその場で購入や契約につながるケースがほとんどありません。
もちろん、こうした商材でも店頭サイネージが無意味というわけではなく、認知の獲得やブランドイメージ形成の面では一定の価値があります。ただし、成果を測る際に「広告を見た直後の売上増加」を期待してしまうと、評価が難しくなります。
こうした商材で店頭サイネージを活用する場合は、商品購入を直接狙うのではなく、検索や資料請求、アプリダウンロード、キャンペーン応募など、次の行動につながる導線を設計することが重要です。店頭サイネージを、認知から検討への入口をつくるメディアとして捉えると、活用の幅が広がります。
店内では広告だけに集中できるわけではない
店頭サイネージは購買の場にあるため、広告の影響が強いと語られることがあります。しかし実際には、店内は広告だけに集中できる環境ではありません。
来店者は買い物リストを考えたり、商品を探したり、会計を急いだりしています。飲食店であれば会話や食事が中心になり、薬局やコンビニでは短時間で用事を済ませる人も多くなります。
つまり、店頭サイネージは「確実に見られる広告」というよりも、「視界に入る可能性が高い広告」として捉える方が現実的です。この特性を理解せずに、テレビCMのように情報量の多い映像を流してしまうと、何を伝えたい広告なのかが伝わりにくくなります。
店頭サイネージはOOH広告と同様に、短い時間で伝わる設計が求められます。商品名やブランド名を一瞬で理解できるか、視認性は十分か、訴求ポイントが絞られているか。こうしたクリエイティブの質が、成果を大きく左右します。
リテールメディアのターゲティングは「場所の文脈」で考える
リテールメディアについて語られるとき、「ターゲティング精度が高い」という表現を見かけることがあります。しかし、これはWeb広告のように個人単位で配信を最適化できるという意味ではありません。
リテールメディアのターゲティングは、店舗の業態や立地、来店者の傾向から「どんな人に届きやすいか」を推測するという考え方が基本になります。ここでは、リテールメディアのターゲティングの考え方と、広告担当者が押さえるべきポイントを整理します。
ターゲットは「来店者の行動文脈」から推測する

リテールメディアの最大の特徴は、「この場所にはどんな目的を持った人が来ているか」を想定しやすい点にあります。
たとえば回転寿司チェーンであれば、お寿司を楽しみに来たファミリー層が多くいることが想定できます。薬局であれば、体調に不安を抱えている人や、健康に気を使っている人が来店している可能性が高いでしょう。大型商業施設であれば、晩ごはんのおかずや日用品を買いに来た主婦層が多いと考えられます。
このように、店舗の業態そのものが来店者の関心やニーズを示すヒントになります。OOH広告では「この駅を使う人はどんな人か」をある程度推測できますが、リテールメディアではそれに加えて「この店に来ている人は今、何を求めているか」という行動の文脈まで読み取りやすい点が強みです。
広告主にとっては、自社の商品やサービスのターゲット層と、店舗の来店者層が重なるかどうかを考えることが、媒体選定の出発点になります。
Web広告のようなターゲティングとは性質が違う
注意が必要なのは、リテールメディアのターゲティングはWeb広告とは根本的に性質が異なるという点です。
Web広告では、閲覧履歴や検索キーワードといったデータをもとに、個人単位で広告を出し分けることができます。一方で、リテールメディアの店頭サイネージは、その場にいる全員に同じ広告が表示されます。
たとえば薬局内サイネージでは、健康意識が高い層に広告が届きやすいと期待できますが、来店者全員が同じ関心を持っているわけではありません。風邪薬を買いに来た人と、日用品を買いに来た人とでは、広告への反応は異なります。外食チェーンの店内サイネージでも同様で、ファミリー層が多い店舗であっても、一人で来店しているビジネスパーソンもいます。
そのため、リテールメディアを活用する際は、「この場所に来ている人はおおむねこういう傾向がある」という大きな傾向を捉えたうえで、その傾向に合ったメッセージを設計するのが現実的な考え方です。一人ひとりに最適化された広告を届けるという発想ではなく、場所の文脈に合った広告を届けるという発想が重要になります。
当社で扱うリテールメディアの特徴と使い分け
リテールメディアと一口にいっても、媒体によって接触環境やターゲット、得意な訴求が大きく異なります。ここでは、当社で主に取り扱っている代表的なリテールメディアを例に、それぞれの特徴と使い分けの考え方を整理します。
外食チェーン型:スシローサイネージ、すかいらーくグループ
外食チェーンの店内サイネージは、当社が取り扱うリテールメディアの中でも代表的な媒体です。
たとえばスシローは幅広い年代に利用されており、特にファミリー層の利用が多い点が特徴です。家族でお寿司を楽しみに来ている人が多い環境のため、食事中や待ち時間の合間にサイネージが自然と視界に入り、繰り返しの接触による認知形成が期待できます。
スシローサイネージが向いているのは、食品や飲料のように親和性が高い商材だけではありません。日用品、教育サービス、レジャー施設、地域キャンペーンなど、家族で意思決定する商品やサービスとも相性が良い傾向があります。店舗での広告接触をきっかけに家族内で話題になり、帰宅後の検索や購入につながる可能性もあります。
すかいらーくグループの店内メディアも同様の特性を持ち、日常的に利用される外食チェーンほど接触回数が積み上がりやすく、ブランド名が記憶に残りやすくなります。外食チェーン型のサイネージは、OOH的な認知効果と、来店者の文脈に沿った訴求の両方を狙える媒体です。
日常接点型:チャージスポット、ファミリーマート、ローソン

モバイルバッテリーのレンタルサービスであるチャージスポットは、駅や商業施設、コンビニ、飲食店などに設置されています。利用者は専用アプリを通じてバッテリーを借りる仕組みで、借りるために画面を見る、アプリを開くといった能動的な行動が発生します。つまり、広告接触が偶然ではなく、行動の流れの中に組み込まれている点が特徴です。
チャージスポットを利用する人は外出中でスマホの電池残量が気になっている状態です。日常的にスマホを活発に使う層であることが多いため、認知目的だけでなく、キャンペーン告知やアプリ誘導、Webサイトへのアクセス促進とも相性が良いといえます。ただし、設置場所の前で長時間滞在するわけではないため、短い接触で印象を残す設計が重要になります。
コンビニ店舗内のサイネージであるファミリーマートやローソンの媒体は、生活者の立ち寄り頻度が高い場所にある点が強みです。単発で強いインパクトを与えるというよりも、日々の生活動線の中で繰り返し視界に入ることで認知を積み上げていく使い方が向いています。テレビCMやWeb広告と組み合わせて接触頻度を高める用途でも活用しやすい媒体です。
購買現場型:薬局サイネージ
薬局内サイネージは、リテールメディアの中でも購買行動と特に近い位置にある媒体です。薬局は来店目的が比較的明確であり、体調に不安がある人や健康に気を使っている人が多く訪れる場所です。
そのため、風邪薬や栄養補助食品、スキンケア用品、衛生用品など、薬局で購入されやすい商材はもちろん、健康をテーマにしたサービスや保険関連の訴求とも親和性があります。来店者が健康や体調という課題意識を持った状態で広告に触れるため、関連性の高い商材であれば広告の訴求が響きやすい環境といえます。
また、薬局は商品カテゴリーが整理されているため、広告する商品と来店目的の距離が近いケースが多く、広告主にとっても出稿先としてイメージしやすい媒体です。販売促進を主な目的とする場合に、来店者との親和性が高い環境を活かしやすい媒体といえます。
信頼訴求型:メディキャスター(病院内サイネージ)、イオンチャンネル

メディキャスターは、病院の待合室に設置されているサイネージ媒体です。
病院は待ち時間が発生しやすく、来院者が座って過ごす時間が長くなる傾向があるため、広告に触れる時間が他の媒体と比べて長くなりやすいのが特徴です。来院者は健康に関心が高い状態にあることが多く、健康食品、医療関連サービス、介護、保険、自治体施策など、安心感や信頼性が重視される商材との相性が良い傾向があります。
一方で、病院内という環境では広告の出し方にも配慮が必要です。強い煽り表現や刺激的な訴求は不向きであり、生活者に寄り添うトーンで伝える情報提供型の広告が成果につながりやすいといえます。
イオンの店舗内メディアは、幅広い年代の生活者に接触できる点が特徴です。
日常的な買い物の場として利用されることが多く、晩ごはんのおかずや日用品を買いに来た主婦層をはじめ、さまざまな世代の来店者がいます。一般消費財のプロモーションはもちろん、住宅関連、地域イベントなど、生活全般に関わる商材に適しています。来店者の属性に大きな偏りがないため、特定ターゲットに絞るよりも、広い層に向けた認知施策として活用しやすい媒体です。
大型商業施設では滞在時間が長くなることも多く、店内の複数ポイントで広告接触が発生する点も強みになります。
リテールメディアを成功させる3つの設計ポイント
リテールメディアは、媒体そのものが新しいから成果が出るわけではありません。成果を左右するのは、目的の明確化、クリエイティブの質、そして効果を把握するための工夫です。ここでは、リテールメディアを現実的に運用するうえで押さえるべき考え方を整理します。
目的は「認知」か「販促」かを最初に分ける
リテールメディアを活用する際に最初に決めるべきことは、広告の目的を認知と販促のどちらに置くかです。これを曖昧にしたまま出稿すると、社内でも成果の判断ができず、施策が続かなくなるケースが少なくありません。
たとえば、スシローサイネージのように来店者数が多く滞在時間が発生する媒体は、OOH広告に近い形で認知を広げる用途と相性があります。一方、薬局サイネージのように来店者の関心と商材が直結しやすい媒体は、販促目的での運用が向いています。
認知と販促の両方を狙うことも可能ですが、その場合はKPIを分けることが重要です。
認知目的なら接触人数やリーチ、販促目的なら来店促進やクーポン利用率といった形で、評価軸を混ぜないようにします。
目的を分けておかないと、認知施策として価値があったのに「直接の売上が見えない」という理由で施策が打ち切られてしまうことがあります。リテールメディアに限らず広告全般に言えることですが、何を成果とするかを出稿前に定義しておくことが、正しい評価の前提です。
クリエイティブの作り方が成果の大部分を決める
店頭サイネージで成果を出すうえで、最も重要なのはクリエイティブです。
媒体選定やターゲティングの話題が先行しがちですが、現場で成果を左右するのは、生活者が広告を見た瞬間に内容を理解できるかどうかです。
先に述べた通り、店内は広告だけに集中できる環境ではありません。そのため、情報量が多い広告はほとんど伝わらず、印象にも残りにくくなります。伝えるメッセージを一つに絞り、商品名やブランド名、訴求ポイントを短い言葉で示すことが基本です。初見で理解できるコピーと、商品が何であるかが一瞬で分かるビジュアルが欠かせません。
また、媒体ごとに適切なトーンは異なります。ファミリー層が多い外食チェーンでは、子どもや家族全員が理解できるわかりやすい表現が求められます。薬局や病院内サイネージでは、信頼感のある落ち着いた表現が有効で、強い煽りは逆効果になりかねません。
リテールメディアでは、「どこに出すか」だけでなく「その場にいる人にどう伝えるか」がクリエイティブの質を決めます。
効果を把握するには広告主側の設計が必要

リテールメディアを出稿した際に、広告主が受け取るのは基本的に出稿報告書です。詳細な売上データや来店者の反応が自動的にフィードバックされる仕組みにはなっていません。
そのため、広告の効果を知りたい場合は、広告主側で測定の仕組みを事前に設計しておく必要があります。
たとえば、広告にキャンペーンコードやQRコードを組み込んでおけば、そこからの流入数やコンバージョンを追跡できます。自社サイトへの指名検索数や、広告出稿期間中のアクセス傾向を確認するのも有効な方法です。また、出稿前後でブランド認知度調査を行えば、認知施策としての効果を把握する手がかりになります。
重要なのは、「出して終わり」にしないことです。リテールメディアは接触回数を積み上げることで効果が現れるケースもあるため、短期間で結論を出しすぎないことも大切です。検証の仕組みを出稿前に設計し、一定期間のデータを見たうえで判断することが、次の施策につながる運用の基本になります。
リテールメディアは”第3のOOH”になるのか 結論と今後の展望
ここまで見てきたように、リテールメディアにはOOH広告との共通点と、OOHにはない独自の強みの両方があります。では実際に、リテールメディアは”第3のOOH”と呼べる存在になり得るのでしょうか。ここでは、その結論と今後の可能性を整理します。
OOHの代替ではなく「補完」が現実的な位置づけ
結論から言うと、リテールメディアはOOH広告の代替というよりも、補完的な存在として広がっていく可能性が高いと考えられます。屋外広告や交通広告は、広範囲にわたって認知を取る力を持っており、都市部や主要動線での存在感が簡単に失われることはありません。
一方、リテールメディアは店舗という限られた空間での接触が中心となるため、リーチの広さでは従来のOOHに及ばない場合があります。しかし、来店者の行動文脈が見えやすいという明確な強みがあります。この特性を活かせば、OOH広告で広く認知を取り、リテールメディアで行動を後押しするという役割分担が可能になります。
スシローサイネージやイオンチャンネルのように、来店者数が多く生活動線の中に自然と組み込まれている媒体は、OOH的な認知効果も担いやすい存在です。ただし、すべてのリテールメディアが同じ役割を果たすわけではなく、媒体ごとの特性に応じた使い分けが前提になります。
「場所の文脈」を活かせるかどうかが成否を分ける
リテールメディアの最大の価値は、広告が届く「場所の文脈」にあります。
お寿司を食べに来たファミリーに届く広告と、健康に不安を抱えて薬局を訪れた人に届く広告では、効果的なメッセージも訴求の仕方もまったく異なります。この場所ごとの文脈を正しく理解し、それに合ったメッセージを設計できるかどうかが、リテールメディアの成否を分けるポイントです。
OOH広告は認知寄り、店頭施策は販促寄りという従来の整理では、リテールメディアの役割を正しく捉えきれません。認知と販促の中間に位置しながら、場所ごとに異なる役割を果たせるのがリテールメディアの特徴です。この柔軟性を活かすためには、媒体ごとの来店者像を丁寧に想像し、その文脈に合った広告を設計することが重要になります。
自社の商材と媒体の文脈が合えば、有効な選択肢になる
リテールメディアは使い方を誤ると期待外れに終わりますが、自社の商材やサービスのターゲット層と、媒体の来店者層が重なる場合には、有効な広告手法になります。
ファミリー層の来店が多いスシローサイネージ、健康に関心がある層が集まる薬局サイネージ、幅広い生活者に接触できるイオンチャンネル、日常の接点で認知を積み上げるコンビニサイネージやチャージスポット。それぞれに来店者の文脈が異なり、広告として活用できる可能性も異なります。
大切なのは、「リテールメディアが流行っているから出稿する」ではなく、「自社のターゲットがいる場所に、適切なメッセージを届ける」という広告の基本に立ち返ることです。その基本を押さえたうえでリテールメディアを選べば、OOH広告や他の広告手法と合わせた全体設計の中で、確かな役割を果たしてくれるでしょう。
まとめ
リテールメディアは「第3のOOH」として注目を集めていますが、その本質は新しい広告枠が増えたことではなく、来店者の行動文脈に合わせた広告を設計できるようになった点にあります。
店頭サイネージは万能な媒体ではなく、商材との相性や目的設定によって成果が大きく変わります。効果の測定も、媒体任せにするのではなく、広告主側で仕組みを整えておくことが求められます。
一方で、媒体ごとの来店者像を丁寧に捉え、目的に応じた設計とクリエイティブ、検証の仕組みを整えることができれば、リテールメディアはOOH広告を補完する有効な選択肢になります。認知と販促の間を埋める広告手法として、今後ますます活用の場が広がっていくでしょう。
リテールメディアの導入や媒体選定、スシローサイネージをはじめとした各種店頭メディアの活用方法、クリエイティブ設計や効果の検証方法についてお悩みでしたら、ぜひお問い合わせフォームからご相談ください。目的や商材に合わせた現実的なプランニングをご提案します。






