2026年2月17日
WEBその言葉、届いていますか? 企業サイトの文章がわかりにくくなる原因と対策
企業のコーポレートサイトを訪れたとき、次のような文章を目にした経験はないでしょうか。
「私たちは、エンドツーエンドでクライアントの事業成長にコミットし、データドリブンな戦略設計とアジャイルな実行支援を通じて、本質的な課題解決と持続的なバリュー創出を実現します。変化の激しい市場環境においても、複雑化する経営・事業課題を構造的に捉え、最適なソリューションを提供することで、企業の競争優位性確立に貢献します。」
日本語として読めないわけではありません。使われている言葉も、近年のビジネスシーンではよく見聞きするものばかりです。それでも、この文章から、この会社が具体的に何をしてくれるのかを、すぐに自分の言葉で説明できる人はどれくらいいるでしょう。社内の別の人から「この会社って、結局何の会社なの」と聞かれたとき、迷わず答えられる人はどれくらいいるでしょう。
経営やマーケティングの用語に日常的に触れている人なら、「だいたい意味はわかる」と感じるかもしれません。でも、そうでない人にとっては「言っていることは立派そうだが、よくわからない」という印象で終わってしまいます。
先ほどの文章を、具体的な日本語に置き換えてみます。「企画の初期段階から実行、改善までを一貫して支援し、数字や事実をもとに考えながら、状況に応じて柔軟に対応し、企業が長期的に成長できる状態をつくる。」おおよそ、こういう内容を伝えたいのだと思われます。言っていること自体は、決しておかしくありません。むしろ、多くの企業が目指している方向性と重なります。
この文章を読んですぐに意味がわかる人とは、どんな人でしょう。おそらく、業界動向や基本的な考え方をすでに知っていて、自社の課題も整理できている人です。そういう人は、外部の情報や支援を自分で取捨選択できます。
では、今まさに課題を感じ始めた人、何から手をつければいいのかわからず情報を探している人はどうでしょう。同じ文章が、急に輪郭のない言葉の集まりに見えてしまうことがあります。
踏み込んだ言い方をすれば、この手の文章を読んですぐ理解できる人は、そもそも外部の支援をあまり必要としていない可能性があります。反対に、支援や知見を本当に必要としている人ほど、言葉の抽象度の高さに戸惑い、読み進めることを諦めてしまう。会社のホームページが、本来出会うべき相手を遠ざけてしまっているかもしれません。
難しい言葉や専門的な表現を使うこと自体が悪いわけではありません。扱っているテーマが高度であれば、一定の前提知識が必要になるのは当然です。あえて言葉を選び、対象を絞るという戦略もあります。ただ、その選択が本当に自社の目的や状況に合っているのか、改めて見直してみる価値はあります。
コーポレートサイトは、営業資料でも、専門家同士の議論の場でもありません。検索結果から偶然たどり着いた人が最初に触れる情報であり、その会社を知るきっかけになる場所です。入り口で使われている言葉が、誰に届き、誰を遠ざけているのか。その影響は、思っている以上に大きいものです。
ここでは、企業サイトの文章が難しくなりがちな背景と、それによって生じる問題、そしてわかりやすく伝えることの本当の意味について説明します。
目次
なぜ企業サイトの文章は難しくなるのか
コーポレートサイトの文章が難しくなる背景には、単なる流行やセンスの問題だけではない、構造的な理由があります。
海外から入ってきた概念がそのまま使われる

企業経営やマーケティングの分野では、欧米発の理論やフレームワークが数多く使われています。デジタルトランスフォーメーション、アジャイル開発、カスタマージャーニー。これらの概念はもともと英語圏で生まれ、日本に輸入されてきました。日本語に訳すと意味が広がりすぎたり、ニュアンスが変わったりするため、カタカナのまま使われることが多くなっています。
「アジャイル」を例にとると、直訳すれば「機敏な」「俊敏な」という意味です。でも、ソフトウェア開発の文脈で使われる「アジャイル」には、短い開発サイクルを繰り返しながら柔軟に方向修正していくという、特定の手法や考え方が含まれています。「機敏な開発」と訳してしまうと、その背景にある思想や具体的な進め方が抜け落ちてしまう。だから業界内では「アジャイル」というカタカナ表記がそのまま定着しました。
経済産業省が2018年に公開した「DX推進ガイドライン」でも、デジタルトランスフォーメーションの定義が示されています。ただ、この文書自体がある程度の前提知識を持った読者を想定した書き方になっています。公的機関の文書が専門用語をそのまま使っていることも、企業がカタカナ語を使い続ける一因になっているのかもしれません。
問題は、業界内では共通言語として機能している言葉が、業界の外にいる人にはまったく通じないことがある、という点です。会社のホームページを訪れる人の中には、その業界の専門用語に馴染みのない人も当然います。
専門性を見せようとして言葉が難しくなる
コーポレートサイトには、企業の信頼性や専門性を伝える役割もあります。そのため、簡単な言葉よりも、専門用語や抽象度の高い表現を使った方が、先進的で高度な印象を与えられると考えてしまうことがあります。
この傾向は、コンサルティングやIT、金融といった、無形のサービスを提供する業界で特に目立ちます。形のある商品を売る企業なら、商品の写真や仕様で価値を伝えられます。でも、知識やノウハウ、問題解決能力といった目に見えないものを売りにしている企業は、言葉で自社の専門性を表現するしかありません。だから、より高度に見える言葉、より洗練されて見える表現を選びたくなります。
「課題を解決します」と書くより「本質的な課題解決を実現します」と書いた方が、なんとなく深みがあるように感じる。「お客様の成長を支援します」より「持続的なバリュー創出に貢献します」の方が、専門家らしく見える。こうした判断が積み重なって、気がつけばサイト全体が抽象的な言葉で覆われてしまいます。
でも、専門性の高さと言葉の難しさは、必ずしも比例しません。本当にその分野に詳しい人ほど、複雑な概念を平易な言葉で説明できることが多い。難しい言葉で専門性を演出しようとするのは、場合によっては逆効果です。
社内の調整を重ねるうちに曖昧になっていく

コーポレートサイトの文章は、一人で書かれることはほとんどありません。経営層、広報、営業、マーケティング、現場担当者など、複数の立場の人が関わり、それぞれの視点から意見を出し合います。この過程自体は、偏りのない情報発信のために必要なことです。
ただ、多くの人の意見を反映しようとするうちに、誰も否定しにくい抽象的な言葉が選ばれやすくなる、という問題があります。具体的な表現は、特定の事業部門や顧客層に偏っているように見えることがあるからです。「うちの部門の仕事が軽視されているように感じる」「この表現だと一部のお客様しかカバーできない」といった声が上がると、より包括的で、より広い意味を持つ言葉に置き換えられていきます。
たとえば「中小企業の経理業務を効率化するソフトウェアを提供しています」という文章が、調整を重ねるうちに「あらゆる規模の企業に対して、業務効率化のソリューションを提供しています」となり、最終的には「企業の課題解決と価値創出を支援しています」のような、何にでも当てはまりそうな文章になってしまう。
こうして出来上がった文章は、社内の誰からも反対されない代わりに、社外の誰の心にも残りません。方向性は正しそうに見えても、具体的に何をしてくれる会社なのかがわからない。これも、企業サイトの文章が曖昧になる大きな原因です。
同じ文章でも、読む人によって印象はまったく違う
難解な文章が問題になるのは、それを読む人が一様ではないからです。同じ文章でも、読み手の背景や状況によって、受け取り方はまったく異なります。
カタカナ語に慣れている人はどう読むか
カタカナ語や抽象的な表現に慣れている人は、文章の背景や意図を補完しながら読み進めることができます。「エンドツーエンド」と書いてあれば、「最初から最後まで一貫して」という意味だとわかる。「データドリブン」と書いてあれば、「勘や経験ではなく、データに基づいて判断する」というアプローチを指しているとわかる。
こういう人は、業界動向や基本的な考え方をすでに理解しています。自社の課題が何であるかも、ある程度は把握しています。情報収集の目的も明確で、「この会社のサービスが自社の課題に合うかどうか」「競合他社と比べてどんな特徴があるか」といった観点から情報を読み取ろうとしています。
こうした読み手にとって、コーポレートサイトの文章は確認作業に近い役割を果たします。すでに持っている知識や仮説を、サイトの情報で補完し、検証している。多少抽象的な表現があっても、自分の知識で補いながら理解できます。
ただ、注意が必要なのは、こういう人たちは必ずしも「新規の顧客」になるとは限らないということです。業界の動向に詳しく、自社の課題も明確で、外部の情報を取捨選択できる人は、すでに多くの選択肢を持っています。特定の企業に強く依存する必要がなく、複数の候補を比較検討しながら、最も条件の良い相手を選べる立場にあります。
専門用語に馴染みがない人はどう読むか
課題を感じ始めたばかりの人や、専門外の領域について調べている人にとっては、同じ文章が大きな壁になります。「エンドツーエンド」という言葉を見ても、それが何を意味するのかわからない。「データドリブン」と書いてあっても、自社の状況にどう関係するのか想像できない。
具体的な場面を考えてみます。中小企業の総務担当者が、会社のホームページをリニューアルしたいと考えたとします。社長から「うちもそろそろホームページを新しくしないとな」と言われ、どこに頼めばいいのか調べ始めます。検索エンジンで「ホームページ制作 会社」と検索し、上位に表示されたいくつかの企業のサイトを開いてみる。
そこで目にするのが、「私たちは、UXデザインとCMSの最適化を通じて、ブランドのデジタルプレゼンスを強化します」といった文章だったらどうでしょう。UXが何の略なのか、CMSが何を指しているのか、デジタルプレゼンスとは何なのか。一つひとつの言葉の意味がわからなければ、文章全体の意味もわかりません。
この担当者が知りたいのは、おそらくもっと単純なことです。いくらくらいかかるのか。どのくらいの期間で完成するのか。自分たちのような小さな会社でも対応してもらえるのか。そういう基本的な情報を探しているのに、専門用語の壁に阻まれて、先に進めなくなってしまいます。
こうした状況は、ITやデジタルの分野に限った話ではありません。法務、財務、人事、マーケティングなど、あらゆる専門分野で同じことが起きています。専門家にとっては当たり前の言葉が、その分野に馴染みのない人にとっては理解の妨げになる。
支援を必要としている人ほど離れてしまう
ここで皮肉な構図が見えてきます。外部の支援や情報を本当に必要としている人ほど、難しい言葉に戸惑い、ページを閉じてしまう可能性があるということです。
すでに知識があり、課題も明確な人は、多少わかりにくい文章でも読み解けます。でも、その人たちは自分で多くのことを判断できる状態にあります。外部の支援がなくても、ある程度は自力で進められるかもしれません。
知識が少なく、何から始めればいいのかわからない人こそ、本来は外部の専門家の力を借りる価値が高いはずです。でも、その人たちが最初に触れる文章が理解できないものだったら、「この会社は自分たちには関係ない」「もっと自分たちのレベルに合った会社を探そう」と判断してしまいます。
理解できる人だけが読み進められる文章は、結果として見込み客との接点を狭めてしまいます。企業サイトが、無意識のうちに顧客を選別しているわけです。
これは企業にとって機会損失です。新たに市場に参入してくる企業、初めてその分野のサービスを検討する企業、異業種から来た担当者。まさにこれから顧客になる可能性を持った人たちを、入り口で門前払いしてしまっている。
わかりやすく書くと専門性が下がるのか
「わかりやすく書くと、内容が浅く見えるのではないか」「専門性が低いと思われるのではないか」という不安を持つ企業は珍しくありません。でも、本当にそうでしょうか。
官公庁のサイトはどう書いているか

国や自治体の公式サイトでは、専門的な内容を一般向けに説明する工夫がたくさん見られます。
消費者庁のサイトでは、景品表示法や特定商取引法といった法律の内容を、具体的な事例を交えながら説明しています。「こういう表示をすると違反になります」「こういう場合は問題ありません」という形で、法律の条文をそのまま載せるのではなく、読み手が自分の状況に当てはめて考えられる書き方になっています。
金融庁のサイトでも、投資や金融商品に関する情報が、専門知識のない人でも理解できるように整理されています。難しい概念には用語解説がつけられ、図や表で視覚的にわかりやすくする工夫がされています。
これらのサイトは、法律や金融という、非常に専門性の高い分野を扱っています。でも、専門性が高いからといって難しい言葉をそのまま使うのではなく、読み手の理解を助けるための工夫を重ねています。正確さとわかりやすさは、両立できるのです。
官公庁がこうした姿勢をとっているのは、情報を届けるべき相手が専門家だけではないからです。法律や制度の恩恵を受けるべき一般市民、事業者、消費者に、必要な情報を正しく届けることが役割だからです。
民間企業のコーポレートサイトも、考え方は同じではないでしょうか。自社のサービスを届けるべき相手が、必ずしも専門家とは限りません。専門知識がないからこそ外部の力を借りたいと考えている人に、わかりやすく情報を届けることが、本来の役割であるはずです。
伝わらなければ価値にならない
どれほど正確で高度な内容でも、理解されなければ価値は伝わりません。これは広告やコミュニケーションの分野では昔から言われてきたことです。
広告の世界には、「伝えたいこと」と「伝わること」は違う、という考え方があります。送り手がどれだけ正確な情報を発信しても、受け手がそれを理解できなければ、コミュニケーションは成立しません。広告は、送り手の満足のためではなく、受け手の行動を変えるために存在する。だから、受け手の立場に立った表現が求められます。
コーポレートサイトも同じです。企業が自社の強みや特徴を伝えたいと思っていても、それが訪問者に伝わらなければ意味がありません。「当社の技術力は業界トップクラスです」と書いても、それを裏付ける具体的な説明がなければ、読み手には判断のしようがない。「お客様に寄り添ったサービスを提供します」と書いても、それが具体的にどんな対応を指すのかがわからなければ、他社との違いは見えてきません。
わかりやすく書くということは、内容を薄めることではありません。伝えたい内容を、読み手の知識や経験と結びつけて説明する作業です。抽象的な価値を、具体的な場面や事例を通じて示す。こうした工夫があって初めて、情報は読み手にとっての価値になります。
噛み砕いて説明できることが専門性の証
難しい概念を平易な言葉で説明するには、書き手自身がその内容を深く理解している必要があります。表面的な理解しかしていなければ、専門用語を言い換えようとしても、うまく説明できません。どこが本質で、どこが枝葉なのかがわからないからです。
逆に言えば、わかりやすく説明できるということは、その内容を深く理解している証拠でもあります。複雑な概念の中から本質を抽出し、それを別の言葉で表現する。この作業ができるのは、その分野に精通している人だけです。
本当の専門家は、相手に合わせて説明の仕方を変えることができます。同業者に対しては専門用語を使って効率よく話し、初心者に対してはたとえ話や具体例を使って丁寧に説明する。相手によって言葉を使い分けられることこそ、専門性の高さを示しています。
自社のサービスや強みを、専門用語を使わずに説明できるか。それができるなら、その説明をサイトに載せることで、より多くの人に価値を届けられます。
自社サイトの役割をどう考えるか
改めて、コーポレートサイトがどんな役割を持っているのか整理してみます。
検索から来た人が最初に見る場所
展示会で名刺交換をした後、相手の会社について調べるためにサイトを訪れる。取引先から紹介された会社がどんな会社なのか、サイトで確認する。求人に応募しようと思っている人が、その会社の事業内容を調べる。さまざまな場面で、コーポレートサイトは「最初に見られる情報」として機能しています。
検索エンジンの普及により、これまで接点のなかった人が偶然サイトにたどり着くことも増えています。何かの課題を解決しようと検索した結果、上位に表示されたサイトをクリックする。その時点では、その会社のことをまったく知らない状態です。
こうした「最初の接点」において、使われている言葉が理解できないものであれば、その先には進めません。興味を持ってもらう以前に、内容を理解してもらえない。せっかくの接点を無駄にしてしまいます。
検索結果には、同じキーワードで表示される競合他社のサイトも並んでいます。自社のサイトが理解しにくければ、訪問者は別のサイトに移動するだけです。その機会は、二度と戻ってこないかもしれません。
わかりやすさが信頼につながる
企業活動が社会に与える影響が大きくなる中で、説明責任の重要性も高まっています。自社が何をしている会社なのか、どんな価値を提供しているのか。こうした情報を、株主、取引先、従業員、消費者といった関係者に対してわかりやすく説明することは、企業の社会的責任の一部でもあります。
これらの説明が、専門用語や抽象的な言葉で覆われていたらどうでしょう。「何を言っているのかわからない」という印象は、「何かを隠しているのではないか」という不信感につながることもあります。
わかりやすい言葉で自社の取り組みを説明することは、信頼の土台を築くことでもあります。隠し事がない、正直に伝えようとしている。そういう姿勢が、言葉遣いを通じて伝わります。
言葉選びは戦略のひとつ
ここまで、わかりやすさの重要性について述べてきましたが、すべての企業が同じ表現を使う必要はありません。あえて専門的な言葉を使うことで、特定の層に強く訴求するという戦略もあり得ます。
高度な技術を持つエンジニアを採用したい企業が、あえて専門用語を多用した求人情報を出すことがあります。その言葉を理解できる人だけに応募してほしいという意図の表れです。特定の業界の専門家だけを顧客として想定している企業が、業界用語をそのまま使うことで、「私たちはあなたたちの仲間です」というメッセージを発信することもあります。
大事なのは、その言葉選びが戦略的なものなのか、それとも単に習慣的なものなのか、という点です。「なんとなくこういう書き方をしている」「他社もこう書いているから」という理由で難しい言葉を使っているなら、見直す余地があります。
自社が届けたい相手は誰なのか。その相手は、どんな言葉を使っているのか。その相手にとって、自社の価値はどう伝わるのか。こうした問いに向き合うことで、言葉選びの方針が見えてきます。
わかりやすく書くための具体的な方法
では、実際にわかりやすい文章を書くには、どうすればいいのでしょうか。いくつかのポイントを紹介します。
専門用語を使うときは説明を添える

専門用語やカタカナ語を完全に排除する必要はありません。業界では一般的な言葉であれば、使った方が正確に伝わることもあります。大事なのは、使うときに説明を添えることです。
たとえば「アジャイル開発」という言葉を使いたい場合、「アジャイル開発(短い期間で開発とテストを繰り返し、柔軟に修正していく手法)」のように括弧で補足する方法があります。あるいは、「アジャイル開発と呼ばれる手法では、最初から完璧なものを作ろうとせず、短いサイクルで開発と改善を繰り返します」のように、文章の中で自然に説明を織り込む方法もあります。
読み手が「この言葉、知らないな」と思ったときに、その場で意味がわかる。この配慮があるだけで、文章の読みやすさは大きく変わります。
一文を短くする
長い文章は、それだけで読みにくくなります。主語と述語が離れすぎると、何について言っているのかがわからなくなる。修飾語が多すぎると、どこにかかっているのか迷う。こうした問題は、一文を短くすることで解消できます。
目安としては、一文40〜60文字程度が読みやすいとされています。句点(。)を打つタイミングを意識して、長くなりそうなら二つの文に分ける。これだけでも、かなり読みやすくなります。
具体例を入れる
抽象的な説明だけでは、読み手は自分の状況に当てはめて考えることができません。「業務効率化を支援します」と言われても、具体的に何をしてくれるのかがわからない。
たとえば、「毎月の請求書発行に3日かかっていた作業を、システム導入で半日に短縮できます」のように、具体的な場面や数字を入れると、読み手はイメージしやすくなります。自社の実績や事例があれば、それを使うのが最も説得力があります。
読み手の立場で読み直す
書き終わった文章は、必ず読み手の立場で読み直してみてください。自分が書いた文章は、自分では理解できて当然です。でも、初めて読む人にとってはどうか。その業界のことを知らない人が読んだら、意味がわかるか。
可能であれば、実際にターゲットに近い人に読んでもらうのが一番です。社内の別部署の人や、業界外の知人に見てもらうと、思わぬ指摘をもらえることがあります。「この言葉、意味がわからなかった」「ここ、何を言いたいのかよくわからなかった」という率直な感想は、文章を改善する大きなヒントになります。
カタカナ語を日本語に置き換えてみる
どうしてもカタカナ語が多くなってしまう場合は、一度すべて日本語に置き換えてみるという方法もあります。
「ソリューション」は「解決策」や「サービス」、「コミット」は「約束する」や「責任を持つ」、「エビデンス」は「根拠」や「裏付け」。置き換えてみて、意味が通じるならそのまま日本語を使えばいい。どうしてもニュアンスが変わってしまうなら、カタカナ語を使いつつ説明を添える。
この作業をすると、自分が本当に伝えたいことが何なのか、改めて整理できます。カタカナ語に頼っていたけれど、実は中身が曖昧だった、ということに気づくこともあります。
まとめ
カタカナ語や難解な日本語が多用されたコーポレートサイトは、一見すると洗練されて見えるかもしれません。先進的な印象を与え、専門性の高さを感じさせることもあるでしょう。でも、その言葉は本当に読み手に届いているでしょうか。
理解できる人だけに向けた表現になっていないか。届けたい相手を、言葉の壁で遠ざけていないか。こうした視点から自社のサイトを見直すことは、単なる文章の改善にとどまらず、企業と顧客との関係を考える上でも意味があります。
わかりやすく書くということは、内容を薄めることでも、専門性を捨てることでもありません。伝えたい内容を、読み手に届く形に変えることです。それができる企業は、より多くの人に価値を届けられます。そして、より多くの人から信頼を得られます。
言葉は、企業と顧客をつなぐ架け橋です。その架け橋が、特定の人しか渡れないものになっていないか。一度、確認してみてはいかがでしょうか。
私たちは、交通広告や屋外広告を中心に、70年以上にわたって企業の情報発信をお手伝いしてきました。このコラムでも、広告やマーケティングに関する専門用語をできるだけわかりやすく説明することを心がけています。「専門家でなくても読める」「読んだ後に何かが残る」。そんな情報発信を目指しています。
広告の企画制作はもちろん、コーポレートサイトの見直しや、伝わる言葉づくりについてのご相談も承っています。自社の情報発信について課題を感じている方は、お気軽にお問い合わせフォームからご連絡ください。






