2023年5月11日
その他商圏分析とは?その目的とやり方について解説
店舗の売上アップを図る際や、新規店舗の出店をする際に重要なのが”商圏分析”。
今回は商圏分析が一体どんなもので何のために行うものなのか、そしてそのやり方はどういった方法なのかについてわかりやすくまとめました。
目次
商圏分析とは
商圏分析とは、対象の会社や店舗の集客を増やすために、そのエリアに住んでいる人や訪問する人の特徴をデータに基づいて分析すること。
顧客から集めたデータや、ある条件で集めた統計データを活用しながら地図上で対象地域を決め、商圏(集客を狙う範囲)について把握していきます。
商圏分析を行う目的
商圏分析を行う目的は大きく分けて
- 新規開拓のため
- さらなる売上アップのため
の2つです。これらについて詳しく見ていきましょう。
新規開拓
新しい店舗を出店する際などに、継続的かつ安定的に店を存続するために、商圏分析を行います。
商圏分析の内容は交通条件や人口などの立地、これまで同じ場所にできた店の退店、近隣の競合などの調査です。
これらのデータなしで新規開拓を行うと、勘や経験などの直感的な判断での出店になってしまい、成功した場合も失敗した場合も前例にならっての模倣や改善ができなくなります。
売上アップ
すでにある店舗の売上をさらにアップさせるためにも商圏分析が活用されます。
内容は新規開拓と同じように立地、退店状況、近隣の競合などを調査するに併せて、潜在顧客の年齢や住んでいる場所などの分析も行います。
これらによって、チラシやDMなどの広告を打つ際のターゲットを絞ることができ、費用対効果の高い売上向上施策が目指せます。
商圏分析を行うと何がわかる?
商業分析を行うとわかることは主に、
- 人口・世帯
- 世帯特性
- 年収特性
の3つ。さらに、データを組み合わせれば特定条件でのデータを分析することも可能です。
人口・世帯
人口・世帯のデータでは、
- 人口総数
- 男女比
- 年齢別の人口
- 高齢者の人口
- 世帯数
- 住宅所有の情報(一軒家、賃貸マンション等)
などがわかります。
世帯特性
世帯特性のデータでは、
- 一人世帯の年齢内訳
- 所有する住宅別の内訳
- 世帯の人数ごとの内訳
などがわかります。
年収特性
年収特性のデータでは、
- 1世帯あたりの平均年収
- 各年収階級ごとの世帯数
- 各年収階級ごとの住宅所有情報(一軒家、賃貸マンション等)
などがわかります。
特定条件でのデータも分析可能
人口・世帯、世帯特性、年収特性のデータをそれぞれ掛け合わせて、特定条件でデータを分析することもできます。
例えば「20〜30歳で、年収が500万円以上」という条件で商圏分析をすれば、この条件に当てはまる世帯が商圏内のどこに集中しているか、どの程度の世帯数があるかなどがわかります。
このようにある程度条件を絞った分析データは、新規出店の際や売上改善の際に大きく役立ちます。
商圏分析のやり方
商圏分析を行うには、商圏分析の代行サービスに依頼したりツールを活用したりする方法がありますが、できるだけコストを抑えたい場合は自分で調べることも可能です。
今回は自分でできる商圏分析の基本的なやり方について説明していきます。
STEP1. 商圏範囲の設定
まずは元となる商圏範囲を設定します。調査したいエリアの住宅地図を用意し、店舗を中心として商圏範囲を円で囲いましょう。これを”円商圏”といいます。
円商圏は、円の半径(店舗からの距離)で第1次から第3次までに分類されています。
第1次商圏 (最寄品商圏) |
毎日来店する可能性のある範囲 徒歩10〜15分が目安 例)コンビニ、ラーメン店、定食屋など |
---|---|
第2次商圏 (中間品商圏) |
週1〜2程度来店する可能性のある範囲 自転車で10〜15分が目安 例)ドラッグストア、居酒屋、クリーニング店など |
第3次商圏 (専門品商圏) |
月1〜3回程度来店する可能性のある範囲 車で30分前後が目安 例)レストラン、塾、専門性の高い小売店など |
分析したい店舗のジャンルに当てはめて、円商圏を描きましょう。
STEP2. 商圏範囲のデータ収集
円商圏が描けたら、範囲内のデータを実際に収集していきます。
商圏データを無料で調べられるツールとしておすすめなのが、「j STAT MAP」です。総務省統計局による政府統計データのポータルサイトで、政府がもつ統計情報をビジネスや研究に活用できるよう、民間に公開されています。
このようなツールを使い、円商圏内の町名別にデータを出しましょう。調べられるデータは、人口、性別、年齢、世帯構成などです。
STEP3. 現地調査
ある程度のデータが出せたら、データだけではわからない部分の調査のために現地に赴きます。現地の調査では、
- 交通量
- 商圏バリア
- 特有の消費傾向
に焦点を当てて調査を進めていきましょう。
来店や購買の動機はさまざまな要素が絡みます。そのため、現地調査は1回やって終わりではなく。曜日や時間帯、天候などの条件を細かく変えて何度も繰り返して行いましょう。
このステップで、自身がイメージする店のコンセプトやターゲット層と商圏範囲がマッチするかどうかが、この時点である程度見えてくるかもしれません。
交通量
店舗の目の前を通っている人の調査をします。徒歩、自転車、車がどの時間帯にどのくらい通るのか、その際の速さはどうか、渋滞状況はどうかなど、細かい部分までチェックしましょう。
移動の目的が散策なのか目的地に向かっているのかも重要です。
また、交通量や通る人の交通手段に合わせて、看板を出す位置や入り口の場所、駐車場の設置なども検討していきます。
商圏バリア
商圏バリアとは、人が訪れるのを妨げてしまう要素のことを指します。店にたどり着くまでに坂道が多かったり踏切があったりすると、実際に来客が遠のく原因となります。
その他商圏バリアの例は以下の通りです。現地調査の際に地図と照らし合わせながらチェックしておきましょう。
<土地による商圏バリア> <交通による商圏バリア> |
特有の消費傾向
データだけではわからないものの一つに、その土地特有の消費傾向があります。これらを調査するには、その土地をよく知る不動産会社にヒアリングするといいでしょう。
STEP4. 競合調査
ライバルとなる店の調査も、実際に現地に赴いて行います。
- 立地
- 営業時間や休業日
- 品揃え
- サービス
- 価格帯
- 客層
- 周辺の環境
- 店舗面積や駐車場の広さ
などをくまなく調査しましょう。また、店舗のSNSをチェックし、どのような広告やキャンペーンを行なっているかをチェックするのも重要。その際は口コミなども同時にチェックしてみましょう。
STEP5. データを掛け合わせて分析
上記の手順で分析した商圏内のデータと、現地調査のデータや競合調査のデータを掛け合わせてさらに詳しく分析していきます。
潜在顧客のデータがある場合はそのデータと掛け合わせれば、潜在顧客がどのエリアから来店しているか、そのエリアにはどのような傾向があるかもわかってくるでしょう。
狙いたいターゲット層とその地域のデータを掛け合わせるのもおすすめです。
結果を元にPDCAを回す
分析した結果は、そのままにしておくのではなく実際に戦略に落とし込み行動しなければ意味がありません。
PDCAサイクルにしっかりと組み込み、広告の打ち方やキャンペーンの内容などを見直し、何度も商圏調査を繰り返しながら売上のアップを図っていきます。
まとめ
以上、商圏分析についてでした。数字を出すためには、感覚だけではなく根拠のあるデータも重要です。新規店舗の出店や、既存店舗の売上向上を目指している方は、商圏分析を改めて丁寧に行なってみるのがおすすめです。