2026年8月14日

マーケティング

業種別 広告の勝ち筋4 採用広告は地元密着の企業姿勢が信頼を呼ぶ

 

求人サイトやスマートフォン広告を使った採用活動は、今や多くの企業にとって欠かせない手段になっています。一方で、地方の中小企業や製造業の現場からは「求人を出しても応募が来ない」という声が根強く聞かれます。

応募が集まらない理由の一つは、求職者本人だけでなく、その家族が抱く企業への印象が採用の可否に影響しているという構造にあります。知名度で大企業に勝てないからこそ、日常の生活動線の中で「地域に根ざした企業」という印象を積み重ねていくことが、地方や中小規模の企業にとって現実的な戦略になります。

求人サイトへの掲載は今すぐ転職や就職を考えている人には届きますが、まだそのタイミングではない人やその家族にまでは届きにくいという弱点も抱えています。
ここでは、採用活動という切り口において、なぜ交通・屋外広告と地方創生に関わる媒体の組み合わせが有効なのか、その理由と具体的な考え方について説明します。

 

深刻化する人手不足と、地方における採用の難しさ

採用市場の厳しさは、統計からも裏付けられています。まずは現状を数字で確認したうえで、なぜ知名度の低い企業ほど苦戦しやすいのかを整理します。

有効求人倍率が示す「採れない」時代

厚生労働省が公表した一般職業紹介状況によると、令和7年度平均の有効求人倍率は1.20倍となっており、企業側が求職者を奪い合う状態が続いています。都道府県別に見ると、令和8年3月の有効求人倍率は最高が福井県の1.74倍となっており、地方圏の一部では都市部以上に人手不足が深刻な地域があることも読み取れます。

倍率が1倍を超えるということは、求職者1人に対して1件以上の求人が存在している状態であり、企業側からすれば、選ばれる立場として振る舞う必要に迫られているということでもあります。
全国一律の求人広告を出すだけでは、こうした地域差のある採用市場に十分対応できないという課題が浮かび上がります。

大企業に知名度で勝てない中小・地方企業のジレンマ

地方の中小企業や製造業の多くは、大企業のような採用予算やブランド力を持ちません。求人サイトに情報を掲載しても、名前を知らない企業の求人は他の選択肢に埋もれてしまいがちです。

求職者本人にとって「聞いたことがある会社」であるかどうかは、応募するかどうかを左右する重要な要素になります。同じ職種、同じ待遇の求人が並んでいたとき、まったく知らない社名よりも、どこかで見かけたことのある社名のほうが安心して応募できるというのは、多くの人が実感として持っている感覚ではないでしょうか。

知名度の低さを補うためには、求人サイトへの掲載だけでなく、地域の生活の中で自然に企業名が目に入る仕組みをつくることが欠かせません。採用予算を求人広告だけに集中させるのではなく、地域での認知形成にも配分を振り向けるという発想の転換が求められています。

 

就活生だけでなく、家族の目線を意識した採用広告

採用活動において見落とされがちなのが、就職を決める本人だけでなく、その家族が持つ企業への印象です。求人サイトの検索行動だけを追いかけていると、この家族という存在の影響力を見落としてしまいがちです。

就活生の7割が親の意見を参考にするという実態

経済産業省が公表した資料によると、就職を控えた学生に対して「就職にあたり親の意見を参考にするか」を尋ねたところ、約7割の学生が親の意見を考慮すると回答しています。

同資料では、就職先を検討するうえで親が持つ企業イメージや情報が重要な要素を占めることも指摘されています。つまり、採用広告が本当に説得すべき相手は、就活生本人だけでなく、その保護者も含まれるということです。
特に地方から都市部への就職や、逆にUIターンでの就職を検討する場面では、親世代がその企業や地域についてどのようなイメージを持っているかが、本人の意思決定に少なからぬ影響を与えると考えられます。

求人サイトの検索結果は本人しか目にしませんが、日常の生活動線の中にある広告であれば、家族も自然に目にする機会があります。

交通・屋外広告と自治体メディアが伝える「地域に根ざす企業」の姿

駅の看板やバスのステッカー広告といった交通・屋外広告は、通勤や通学、買い物などの生活動線の中で、家族を含めた地域住民に繰り返し接触できるという特性を持っています。特定の企業の看板を日常的に目にすることは、単なる認知にとどまらず、「この地域にちゃんと根を張っている会社なのだ」という安心感を無意識のうちに育てていきます。

あわせて、自治体が発行する広報紙や自治体公式サイトのバナー広告といった地方創生に関わる媒体を通じて、地域社会に貢献する企業としての姿勢を発信することも効果的です。日本広報協会の調査では、広報紙の閲読率は年代が上がるほど高くなる傾向が示されており、就活生の親世代にもしっかり届く媒体であることがうかがえます。

内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局が2020年に実施した調査では、東京圏在住者の約半数が地方圏での暮らしに関心を持っていると報告されており、UIターンへの関心が一定数存在すること自体は以前から確認されています。求人サイトが「今、仕事を探している人」に向けた媒体であるのに対し、交通・屋外広告や自治体メディアは「まだ転職や就職を考えていない人、その家族」にまで届く点に強みがあります。

 

導入イメージと、明日からできること

理屈だけでは実感が湧きにくいものです。ここでは仮の設定をもとに、この組み合わせがどのように機能しうるかを、本人と家族それぞれの視点から考えてみます。

もし地方の製造業がこの組み合わせを取り入れたら

たとえば、地方都市に工場を構える製造業の企業が、新卒採用と中途採用の両方で苦戦していたとします。仮にこの企業が、最寄り駅の看板広告と、地域を走るバスのステッカー広告を出し、あわせて自治体の広報紙に地域貢献活動を紹介する記事広告を掲載したとしたら、どうなるでしょうか。

駅を利用する高校生や大学生は、通学のたびにその企業名を目にすることで、就職活動が本格化する前から「知っている会社」として記憶に残る可能性があります。また、広報紙を読む保護者世代は、地域貢献活動の記事を通じて、その企業を「地元にしっかり根づいた、安心できる会社」として認識するかもしれません。子どもが進路を相談したときに、以前広報紙で見た企業の名前が挙がれば、反対するどころか後押ししてくれることも考えられます。

仮にこの企業が、こうした広告を毎年の採用シーズンに合わせて継続したとすれば、数年後には地域の中で「あの看板の工場」として一定の認知が定着し、県外に出ていた出身者がUターンを考える際の候補としても思い出されやすくなるかもしれません。
実際の反応は企業や地域によって差があるとしても、本人と家族という異なる二つの層に対して、それぞれの生活動線の中で企業への信頼を積み重ねていけることがイメージできるのではないでしょうか。

媒体選びの視点

採用広告における媒体選びでは、まず自社の採用課題が「知られていないこと」なのか、「知られてはいるが選ばれないこと」なのかを整理することが出発点になります。
前者であれば、交通・屋外広告や自治体メディアを通じた認知形成が優先度の高い施策になります。後者であれば、求人サイトや自社採用サイトでの情報の伝え方を見直すほうが効果的な場合もあります。

地方拠点での採用を強化したい企業は、地元の駅やバス路線、自治体の広報媒体を組み合わせることで、UIターン希望者やその家族にも届く採用ブランディングを構築できます。特に高校新卒採用や地元での中途採用を重視する企業にとっては、通学・通勤の生活動線上に広告を置くことが、求人サイトだけでは接触できない層への有効なアプローチになります。
求人サイトへの掲載と、生活動線の中での認知形成は、どちらか一方を選ぶものではなく、役割の異なる施策として併用することが重要です。

 

まとめ

採用活動における厳しい競争は、統計が示すとおり今後も続くと見込まれます。人口動態という構造的な要因が背景にある以上、採用市場の厳しさが短期間で緩和される見通しは立ちにくいのが実情です。

求人サイトを中心としたWeb上の採用活動に加えて、駅の看板やバスのステッカー広告、自治体メディアを通じて地域に根ざした企業としての姿を日常的に発信することは、就活生本人だけでなくその家族にも届く採用ブランディングとして有効です。

知名度や採用予算で大企業と正面から張り合うのではなく、地域という土俵の中で「知っている会社」「安心できる会社」という立ち位置を築いていくことが、地方や中小規模の企業にとって現実的な勝ち筋になります。
自社の採用課題や商圏に合った媒体の組み合わせについて詳しく知りたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせフォームからご相談ください。

 

 

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