2025年10月2日
マーケティング中小企業が成果を出すための「広告」「マーケティング」「SNS」の役割分担とは?

多くの中小企業では「広告を出せば売上が伸びる」と考えがちですが、実際には広告だけで成果を出すのは難しいものです。なぜなら、広告は「人に気づいてもらう手段」に過ぎず、その後の興味喚起、リード獲得・育成、信頼構築、商談化といった流れを支える仕組みがなければ、投資に見合う効果を得られないからです。
そのため、中小企業にこそ「マーケティング全体の設計」と「広告やSNSとの役割分担」を意識することが重要になります。
目次
マーケティングは全体設計の土台
マーケティングは「お客さまとの接点を設計する全体像」です。
お客さまが商品の購入に至るまでには、その商品を提供する企業との間に、実は多くの接点が生まれています。昔のように情報が少ない時代であれば、小売店でたまたま見かけて購入しただけという事も多かったかもしれませんが、現代のように、スマホで調べたり、SNSでの口コミを参考にしたり、オンラインで商品購入をすることが普通になった環境では、知ってもらうことすら難しいでしょう。
そのため、顧客との接点を上手く設計し、購入につながる仕組みをつくるマーケティングが重要になっています。
マーケティングが担うべき役割
- 顧客の明確化(ターゲティング、ペルソナ設計)
- 顧客課題と提供価値の整理
- カスタマージャーニーの設計(認知 → 興味 → 検討 → 購入 → 継続)
- リード獲得とリード育成の仕組みづくりおよび実施
- 広告やSNSを活かすための連携準備(ランディングページ、資料ダウンロード・問合せ導線)
例えば、BtoBサービス企業が広告でセミナー集客を行うのであれば、「ランディングページ(LP)→セミナー参加 → 資料ダウンロード(DL) → 営業接触」までの導線をあらかじめ作っておく必要があります。
このような流れを設計して実施するのが、マーケティングの役割になります。
本来、広告やSNSもマーケティング活動の一部であり、それを支える一つの手段になりますが、本記事では、 役割の違いを分かりやすく説明するため、広告やSNSを除いた部分をマーケティングと呼ぶことにします。
広告は短期間で認知と接点をつくる手段
広告を使うと、短期間で認知とリードを獲得することができます。SEOによる検索サイトからの訪問や口コミと比べると即効性があり、中小企業が限られた予算で短期間に成果を出したい場合に有効です。
広告の役割/効果
- 元々接点のないターゲットに狙ってリーチすることができる
- 短期間で大量に出稿し、効果を検証することができる
- 資料DLやセミナー申込などのリード獲得施策と連携しやすい
※具体例
地域密着の学習塾が「夏期講習」の広告を出す場合、Google広告で「地域名+塾」を検索したユーザーをランディングページ(LP)に誘導し、申込フォームに直結させると効率的です。
広告には多くの種類があります。大まかな分類でも、テレビや新聞・雑誌等のマス広告、インターネット広告、交通広告(OOH)などがあり、それぞれに多数の媒体(メディア)が存在しています。ターゲットや目的に応じた広告手法・媒体を選び、配信ターゲットを決定し、適切な広告クリエイティブ(ビジュアルデザインやテキストなど)を作成することが大切です。
SNS活用は、信頼構築と関係性づくり
SNSは「認知」だけでなく「興味を深め、信頼を育てる」ための場です。広告と違って短期間で売上につなげる効果は小さいですが、企業やブランドの“顔”となり、ファンやリピーターを増やす役割を担います。
SNSの役割/効果
- 顧客との日常的な接点をつくることができる
- 口コミ・シェアを通じて自然な共感の広がりを生む
- 人物像や信頼感を伝え、広告や商品・サービスだけでは伝わらない価値を補完できる
※具体例
飲食店がInstagramで「料理の裏側」や「スタッフの人柄」を投稿すると、広告で来店した新規客がフォローし、その後リピーターにつながるケースが多くあります。
SNSにも多くのサービスがあります。一般生活者が顧客となるBtoCビジネスでは、個人利用者の多いLINEやInstagramなどがよく活用されますが、BtoBビジネスにはあまり向いていません。BtoBの場合は、SNSの定義を少し広げて、YouTubeやnote、LinkedInなども含め、目的に合わせた使い分けが有効です。FacebookやX(旧Twitter)、Instagram、TikTokなどもコンテンツ次第で活用できます。
またSNSは、既存顧客との関係性づくりと同時に、口コミ・シェアを通じて新しいつながりを獲得することができます。広告とは異なり、直接的な獲得費用は発生しないため、適切に運用すれば、マーケティング全体の投資対効果の改善が期待できます。
「広告」「マーケティング」「SNS」を組み合わせた勝ちパターン
中小企業にとって効果的なのは、「マーケティングで全体設計」+「広告でリード獲得」+「SNSで信頼関係を醸成」という流れを組み合わせることです。
マーケティング無くしては、広告やSNS単体では力を発揮できません。
広告、SNSを組み込んだマーケティングの流れを以下のステップで構築・運用します。
ステップ1 マーケティング設計
ターゲットとなる顧客像を明確にし、カスタマージャーニーの設計、リード獲得・育成の仕組みを構築。設計に応じて、以下の仕組みを準備する。
・ランディングページ(LP)
・ホワイトペーパー(ダウンロード資料)
・セミナー
・メルマガ
・オウンドメディア
・サービスサイト
・MAツール
ステップ2 広告設計
マーケティング設計に基づき、広告企画を立案。広告媒体を選定し、広告クリエイティブを作成する。広告からLPやセミナー等への集客、資料DLへの流れを設計する。
ステップ3 SNS
SNSの選定および運用方法・運用方針を決定し、アカウントの準備。アカウント運用を開始。
ステップ4 マーケティング運用/SNS運用
広告運用を開始し、効果測定を行う。
LP集客からセミナー・資料DLへ誘導し、リード獲得を増やす。
メルマガ配信やSNSを通じて継続的に情報提供し、リード育成。
適切なタイミングで、営業アプローチを行い商談化。購入につなげる。
ステップ5 CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)/SNS運用
顧客データを管理・分析し、長期的な信頼関係を構築して、ファン化・リピート(優良顧客)化を目指す。SNSやメルマガ、アプリ等を通じて継続的な接点を持ち、情報発信(新商品、商品の使い方、利用者の声など)やイベント案内、クーポン提供などを行う。
まとめ
・マーケティングは全体の設計図
・広告は短期的な認知・リード獲得の手段
・SNSは中長期の信頼構築・ファン化の土台
広告やSNSを単発で使うだけでは成果につながりません。マーケティング全体の流れの中に組み込み、役割を整理して使い分けることが、中小企業が効率よく成果を出すための近道です。