2026年9月3日

マーケティング

懐かしい言葉が新しくなる 昭和レトロと時代語を広告に生かす方法

 

昔の広告や看板、ポスターを見ると、商品やサービスだけでなく、その時代ならではの言葉づかいにも目が留まります。当時は新鮮だった表現でも、今ではほとんど使われなくなったものや、別の意味に聞こえるものがあります。

一方で、昭和の流行語や歌謡曲、喫茶店の看板、独特の書体や色づかいなどは、若い世代には新しいものとして受け入れられることもあります。古い表現は、時代遅れになるだけではありません。使い方次第で、広告に親しみや意外性を加える要素にもなります。

ここでは、広告の言葉が時代とともにどう変わるのかを見ながら、昭和レトロや時代語を現代の広告に生かす方法について説明します。

 

広告の言葉は時代とともに変わる

広告に使われる言葉は、その時代の流行や価値観を映しています。当時は自然だった表現でも、年月がたつと古く感じられたり、違う意味に受け取られたりすることがあります。

使われなくなった言葉と古く感じる表現

昭和の広告には、「モーレツ」「ナウい」「ハイカラ」といった、当時の空気を強く感じさせる言葉が多く登場します。
中でも「モーレツ」は、「猛烈」という言葉自体は以前からあったものの、1969年に放送された丸善石油のガソリンCM「オー、モーレツ」で広く知られるようになり、そこから「モーレツ社員」のように当時の働き方を表す言葉も生まれました。流行語として広く使われたものもあれば、こうして広告をきっかけに派生していった表現もあります。

こうした言葉は、日常会話から消えても、広告や看板、映画、歌謡曲などの中には残ります。古いポスターを見たとき、商品より先に言葉づかいから年代を感じることも少なくありません。
時代を感じさせるのは、単語だけではありません。「奥さま」「若人」「お嬢さん」といった呼びかけ方や、強い命令口調、語尾の付け方、漢字とカタカナの組み合わせにも、その時代らしさが表れます。

一方で、古い言葉を使うだけで、広告としての魅力が生まれるわけではありません。意図せず残っている表現は、情報が更新されていない印象を与えてしまうこともあります。昔から使っているコピーほど、現在の読み手にどう聞こえるか、改めて確かめておきたいところです。

昔と今で意味や印象が変わった言葉

言葉そのものが残っていても、意味や印象が変わっている場合があります。作られた当時には好意的だった表現が、現在では古い価値観を押しつけているように聞こえることもあります。
特に、性別、年齢、家族、仕事に関する言葉は、受け取られ方が変わりやすい部分です。かつては理想の家庭像や働き方を分かりやすく示す表現でも、現在では対象を狭く決めつけていると感じられるかもしれません。

若者言葉のように、世代によって意味そのものが違う言葉もあります。広告を作る側が昔の感覚のまま使うと、意図とは異なる受け取られ方をすることがあります。反対に、流行中の言葉を無理に取り入れると、公開された時点ですでに古く見えてしまうこともあります。

広告の言葉を見直すときは、辞書的な意味だけでなく、現在どのような場面で使われ、誰にどう聞こえるのかまで考えたいものです。

 

昭和の言葉が新しく見える理由

古い言葉や表現は、時間がたてばすべて価値を失うわけではありません。使われていた時代を知る人には懐かしく、知らない人には見慣れないものとして新鮮に映ることがあります。

経験した世代の懐かしさと若い世代の新鮮さ

昭和を経験した世代にとって、当時の流行語や歌謡曲、喫茶店の看板、商品のパッケージは、自分の記憶と結びついたものです。昔よく聞いた言葉や音楽に触れることで、その頃の街並みや暮らし、家族との出来事まで思い出すことがあります。

昭和を知らない若い世代は、同じ表現を必ずしも懐かしいものとして見ているわけではありません。現在ではあまり使われない言葉づかいや、手描き風の文字、鮮やかな配色、少し色あせた写真などが、普段目にする広告とは異なるものとして新しく映ります。

レコードやフィルムカメラ、純喫茶、クリームソーダなどが再び注目されているのも、昔の文化をそのまま再現したいからとは限りません。手間や不便さも含め、現在の均一で整った商品やサービスにはない個性として楽しまれている面があります。

広告に昭和の言葉や表現を取り入れると、ある世代には懐かしさを、別の世代には意外性や新鮮さを与えられます。ただし、世代によって思い浮かべる昭和像は異なります。広告を見た人が全員同じように感じるとは限らない点は、頭に入れておく必要があります。

言葉だけではつくれない昭和らしさ

昭和らしさを出そうとして、古い流行語をコピーに加えただけでは、狙った雰囲気が伝わらないことがあります。言葉とデザインの時代感が合っていなければ、その言葉だけが不自然に浮いて見えてしまうためです。

昭和らしい印象は、言葉だけでなく、書体、配色、写真、イラスト、商品名、音楽、映像の質感などが重なって生まれます。看板を思わせる太い文字、手描きのイラスト、限られた色数、紙の印刷物に近い質感を組み合わせると、ひとつの世界観として伝わりやすくなります。

昭和は60年以上続いた時代です。戦後間もない頃、高度経済成長期、昭和後期では、街並みも商品も広告の雰囲気も異なります。何となく古そうな言葉やデザインを集めるだけでは、複数の年代が混ざり、かえって不自然な表現になってしまいます。

昭和レトロを広告に取り入れるときは、どの年代の、どのような場面を参考にするのかを決めておきたいところです。喫茶店、商店街、家電、雑誌、歌謡曲など、企画に合う題材を選び、言葉と見た目をそろえることで、単なる昔風ではない広告表現になります。

 

時代語を広告に取り入れる方法

昭和の言葉や表現は、使うだけで広告が魅力的になるわけではありません。商品との関係や、誰にどう感じてほしいのかを決めたうえで、企画全体に落とし込む必要があります。

古さを広告の企画として生かす

時代語を広告に使う目的は、昔らしく見せることだけではありません。長く続く商品の歴史を伝えたり、親しみや温かさを表したり、現代的な商品に意外性を加えたりする方法もあります。

昔から販売されている商品であれば、発売当時のコピーやパッケージ、広告デザインを現代向けに再構成することができます。過去の資料をそのまま見せるだけでなく、現在の商品との違いや、変わらず受け継がれている部分を示すことで、企業や商品の歩みを伝えられます。
新しい商品でも、昭和の表現を組み合わせることはできます。新商品を昔の新聞広告風に見せたり、現代のサービスを昭和の家電広告のような言葉で紹介したりすると、内容とのずれが意外性につながります。商品との関係が薄いまま流行に乗ると、表面的な演出に見えてしまう点には注意が必要です。

時代語を取り入れるときは、どの言葉を使うかよりも、なぜその時代を選ぶのかを先に考えたいところです。商品の発売時期や企業の歴史と結びつけるのか、店舗の雰囲気を伝えるのか、若い世代に見慣れない表現として届けるのかによって、使う言葉もデザインも変わってきます。
当時のコピーや広告を使う場合は、現在の感覚に合わない部分がないか確認しておきたいところです。古い表現を忠実に再現することと、古い価値観までそのまま引き継ぐことは別です。元の雰囲気を残しながら、現在の広告として伝わる形に整えることが求められます。

古さを演出した広告と古いままの広告

意図的に昭和らしさを取り入れた広告と、長い間見直されずに古くなった広告は、似ているようで大きく異なります。

古さを演出した広告には、どの時代を表現するのか、誰に見せるのか、どのような印象を与えるのかという意図があります。言葉、書体、色、写真などがひとつの方針に沿って選ばれているため、古い表現でも企画として受け取られやすくなります。
昔から使われているコピーや看板を、そのまま残しているだけの場合もあります。企業側には親しみのある言葉でも、初めて見る人には、情報が更新されていない、現在の感覚と合っていないと映るかもしれません。

特に注意したいのは、若い世代に合わせようとして、古い流行語を無理に使う場合です。広告を作る側が懐かしさを感じていても、受け手には意味が分からなかったり、誰かの昔話を見せられているように感じられたりすることがあります。
反対に、若い世代で再び使われている古い言葉でも、以前と同じ意味で使われているとは限りません。言葉の響きや見た目だけが面白がられ、本来の意味とは切り離されていることもあります。広告に使う前に、現在どのような場面で使われているかを確かめておくと安心です。

時代語を生かす広告では、昔の表現を知っていることよりも、今の受け手にどう伝わるかを考えることが重要です。懐かしさを押しつけず、意味が分からない人でも雰囲気を楽しめるように整えることで、世代を越えて届く広告になります。

まとめ

広告に使われる言葉は、その時代の空気や価値観を映しています。当時は新鮮だった表現でも、年月がたてば使われなくなったり、別の意味に受け取られたりします。古いコピーや看板を見直すことは、言葉の変化だけでなく、広告が誰に向けて、何を伝えようとしていたのかを知ることにもつながります。
使われなくなった言葉が、現代では新しい表現として受け入れられることもあります。昭和を知る世代には懐かしく、知らない世代には見慣れないものとして映るためです。昭和レトロを取り入れた広告は、世代ごとに異なる魅力を届けられる可能性があります。

古い言葉を入れるだけでは、広告として成立しません。どの時代を参考にするのか、商品や企業とどのような関係があるのか、現在の受け手にはどう見えるのかまで考える必要があります。言葉、書体、色、写真、音楽などをひとつの世界観として整えることで、古さは時代遅れではなく、広告の個性に変わります。
昔から使っている表現を残す場合も、現在の意味や価値観に合っているかを確認しておきたいところです。古いまま残っている広告と、古さを意図的に生かした広告には、はっきりとした違いがあります。
懐かしい表現を現代の広告に取り入れたいときは、見た目だけをまねるのではなく、その時代の言葉や文化を丁寧に読み解くことが欠かせません。

交通広告や屋外広告をはじめ、地域や世代に合わせた広告表現をご検討の際は、お気軽にご相談ください。

 

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