2026年1月16日

マーケティング

1バイトの決断 8つの問いで意思決定を整理する方法

 

私たちは今、かつてないほど多くの選択肢に囲まれて生きています。
朝起きてから夜眠るまで、スマートフォンを開けば無数の情報が飛び込んできます。仕事の現場でも同じです。新しいプロジェクトを始めるとき、商品を開発するとき、広告を出すとき、採用を進めるとき。以前であれば選択肢は限られていました。しかし今は違います。調べれば調べるほど、新しい方法が見つかり、それぞれに良い面と悪い面があることが分かります。

選択肢が多いこと自体は悪くありません。ただ、選択肢が増えれば増えるほど、どれを選べばいいのか分からなくなるという現象が起きやすくなります。成功した事例もあれば失敗した事例も見つかり、あれもこれも気になって、結局、最初の一歩が踏み出せない。これは能力の問題ではなく、情報が多すぎる環境では誰にでも起こりうることです。

ところで、どれほど難しい計算をこなすコンピュータでも、その土台にある動きはとても単純です。コンピュータは迷いませんし、立ち止まることもありません。なぜなら、コンピュータが扱う情報の最小単位は、オンかオフかの二つだけだからです。この単純な仕組みが、私たちの意思決定にもヒントを与えてくれます。

ここでは、コンピュータの「1バイト」という考え方を借りて、意思決定を整理する方法について説明していきます。

 

なぜ意思決定は難しいのか

何かを決めようと思ってから、実際に動き出すまでの間に、話が止まってしまうことがあります。予算も確保した、やる気もある、なのになぜか決まらない。その原因を探っていくと、共通するパターンが見えてきます。

選択肢が増えるほど決められなくなる

ビジネスの現場で何かを決めようとするとき、選択肢はここ20年ほどで大きく増えました。新しい技術が登場し、働き方が変わり、お客様とのつながり方も変わりました。以前であれば、限られた選択肢の中から比較的シンプルに選べたことも、今は違います。

たとえば、新しいプロジェクトを始めるとき。社内でやるのか、外注するのか、協業するのか。どの技術を使うのか、どの市場から攻めるのか、どの人材を配置するのか。それぞれに特徴があり、得意な分野があり、向いている状況があります。どれか一つが圧倒的に優れているわけではなく、状況によって正解が変わります。だから迷うのです。

さらに厄介なのは、調べれば調べるほど判断が難しくなることです。ある方法について詳しく調べると、メリットもデメリットも見えてきます。成功事例を読めば期待が膨らみ、失敗事例を読めば不安になります。「もう少し調べてから決めよう」という気持ちになり、決断が先送りされていきます。

情報を集めても迷いは減らない

決断を先送りにする理由として、よく出てくるのは次のような言葉です。
まだ情報が足りない。前例がない。失敗したら困る。関係者の意見がまとまっていない。何を優先すべきか分からない。

これらをよく見ると、「答えが出ない」のではなく、「何を決めればいいのか」が定まっていない状態だと分かります。解くべき問題がはっきりしていないまま情報を集めても、材料が増えるだけで判断の軸ができません。あの方法も良さそう、この方法も捨てがたい、という状態がずっと続きます。

判断の軸がないところに情報だけが積み上がると、頭の中は整理されるどころか、かえって混乱していきます。決めるという行為が、考える作業ではなく、ただ疲れるだけの作業に変わってしまいます。

問いがないまま調べると疲弊する

疲れ果てた人が最後にたどり着くのは、挑戦ではなく、最も安全な言い訳です。
今回は見送ろう。来期に検討しよう。もう少し様子を見よう。これらはすべて、何も変えないという選択です。コンピュータの言葉で言えば、オフの状態を選び続けているということになります。

しかし、ビジネスの世界で何も変えないことは、周囲が動いている中で取り残されることを意味します。競合が新しい取り組みを始めれば、相対的に自社の存在感は薄れます。市場が変化すれば、昨日まで有効だった方法が通用しなくなることもあります。現状維持は、見えにくい後退なのです。

問題は、情報が足りないことではありません。どんな問いに答えれば先に進めるのか、その問いが定まっていないことが問題なのです。

 

コンピュータはなぜ迷わないのか

コンピュータは文章を書き、画像を表示し、音を再生します。難しい計算も一瞬でこなします。しかし、その土台にあるのは、驚くほど単純な仕組みです。コンピュータの動き方を知ると、私たちの意思決定を見つめ直すヒントが得られます。

0か1かという最小単位

コンピュータが扱う情報の最小単位は、オンかオフかの二つだけです。
数字で表すと、0か1です。この最小単位を「ビット」と呼びます。電気が流れているか、流れていないか。スイッチが入っているか、切れているか。コンピュータの内部では、この単純な状態の組み合わせで、すべての情報が表現されています。

私たちの日常の判断は、もっと曖昧なものが多いです。
良いか悪いかだけでなく、まあまあ、どちらとも言えない、場合による、といった答えがたくさんあります。
しかしコンピュータには、そうした曖昧さがありません。常に0か1か、YesかNoか、オンかオフかのどちらかです。「どちらとも言えない」という選択肢がないからこそ、コンピュータは止まらずに処理を続けられます。

二択を重ねると選択肢が広がる

二択しかないのに、なぜコンピュータはあれほど多くのことができるのでしょうか。答えは単純で、二択をたくさん重ねているからです。オンかオフかを一回で終わらせるのではなく、何回も繰り返していく。すると、表現できる幅が一気に広がります。

二択を2回重ねると、4通りの組み合わせができます。オン・オン、オン・オフ、オフ・オン、オフ・オフの4パターンです。3回重ねると8通り、4回で16通り、5回で32通りと、回数が増えるごとに倍々で増えていきます。6回で64通り、7回で128通り。たった7回の二択で、アルファベットの大文字と小文字、数字、基本的な記号をすべて表せるだけの組み合わせが生まれます。

この「倍々で増える」という性質は、直感に反するところがあります。たった数回の二択で、これほど多くのパターンが生まれるとは想像しにくいものです。しかし実際には、少数の明確な問いを重ねることで、多様な状況を描き分けることができます。

8回の二択で256通り

コンピュータの世界で「1バイト」と言えば、8つのビットをひとまとまりにした状態を指します。オンかオフかという二択を8回繰り返した塊です。8回の二択を重ねると、2の8乗、つまり256通りの組み合わせができます。

たった8つの問いに、はい、いいえ、と答えるだけで、256通りもの違いが生まれる。初期のコンピュータで文字を扱うために作られたASCIIという規格は、7ビットで128種類の文字を表現していました。その後、8ビット、つまり1バイトを基本とする設計が広まり、1960年代にIBMが発売したSystem/360というコンピュータが8ビットを1バイトとして採用したことで、今の標準につながっていきました。

こうした歴史を覚える必要はありません。大事なのは、少ない数の問いを組み合わせることで、複雑に見える状況を整理できるという考え方です。256通りあれば、かなり多様なケースに対応できます。そして256通りを生み出すのに必要なのは、たった8回の二択なのです。

 

1バイトの発想で決断を整理する

この1バイトの考え方を、意思決定に応用してみましょう。たくさんある検討事項を、少数の二択に整理していく。それだけで、議論の進み方が変わってきます。

結果を左右する問いを選ぶ

大事なのは、適当に二択を並べるのではなく、最終的な結果に影響する二択を選ぶことです。
たとえば新しいプロジェクトを始めるとき、「社内でやるのか、外部に任せるのか」という問いは、その後の進め方に大きく関わります。自社で完結できる規模の事業と、外部の力を借りる必要がある事業では、必要な準備が違ってきます。

「予算はいくらまで出せるのか」という問いも、取りうる選択肢を左右します。ある金額を超えると、複数の方法を組み合わせる展開が視野に入ってきます。予算が限られていても効果的な方法はありますが、選択肢の幅は変わります。「すぐに始めるのか、じっくり準備するのか」という問いも同様です。時間をかけられるなら、丁寧に積み上げていくことができます。短期間であれば、集中した取り組みが向いているかもしれません。

このように、方向性を決める問いをいくつか選んで、それぞれにYesかNoかで答えていく。すると、ぼんやりしていた方針が少しずつ形になっていきます。

問いを共有すると議論がまとまりやすい

この発想は、個人で考えるときだけでなく、社内で話し合うときにも役立ちます。
何かを決める会議で、関係者の意見がなかなかまとまらないことはよくあります。しかし、議論が平行線をたどる原因の多くは、何について話しているのかが整理されていないことにあります。

そこで、問いを共有するところから始めてみてください。今回のプロジェクトでは、自社完結を目指すべきか、それとも外部の力を借りるべきか。まずこの問いにYesかNoかで答えを出します。次に、スピードを重視するのか、それとも質を重視するのか。こうやって、判断のもとになる問いを一つずつ確認していけば、自然と結論が絞られていきます。

反対意見が出たとしても、「どの問いに対する答えを変えるべきか」という話し合いができます。「なんとなく違う気がする」ではなく、「この問いについては私はNoだと思う」という形で意見を出せます。感覚や好みではなく、判断の筋道を共有できるので、議論がまとまりやすくなります。

答える過程で優先順位が見える

YesかNoかを選ぶという行為には、もう一つの効果があります。
自分たちが何を大事にしているのかが見えてくることです。なんとなく「質を重視したい」と思っていたけれど、いざYesを選ぼうとすると、本当にそうだろうかと考え直すことがあります。予算の問いに答えるときに、自社が何を優先しているのかがはっきりすることもあります。

普段、私たちは自分の判断の根拠をあまり言葉にしません。頭の中でなんとなく考えて、なんとなく結論を出していることが多いものです。しかし、YesかNoかを選ばなければならないとなると、曖昧なままではいられません。どちらかを選ぶ瞬間に、自分たちが何を重視しているのか、何を心配しているのかが、はっきりと見えてきます。

完璧を待たず動き始める

1バイトの発想で出てくる方向性は、唯一の正解ではありません。
ビジネスの世界に、これをやれば必ずうまくいくという答えはありません。状況や競合の動き、タイミングによって、効果的なやり方は変わります。

しかし、だからといって完璧な情報が揃うまで待っていては、いつまでも動き出せません。大事なのは、最初の一歩を踏み出すための手がかりを持つことです。手がかりがあれば、次に何をすればいいか決められます。動き始めれば、そこから学ぶことができます。やってみて、反応を見て、次の判断を調整していく。一度で完璧を目指すのではなく、試しながら良くしていく。このほうが、結果として早く成果につながります。

 

応用例:広告媒体の選び方

1バイトの発想は、さまざまな意思決定に応用できます。ここでは一つの例として、広告媒体を選ぶ場面で、8つの問いをどう使えるかを見てみましょう。

広告選びに8つの問いを使うと

広告媒体を選ぶとき、検討すべき要素はたくさんあります。
ターゲット、予算、期間、地域、効果測定、競合の動向。すべてを同時に考えようとすると、どこから手をつければいいか分からなくなります。

そこで、結果を左右する問いを8つ選び、それぞれにYesかNoかで答えてみます。たとえば次のような問いです。
ターゲットは市区町村単位の狭い範囲か、それとも広い範囲か。展開先は駅周辺や繁華街といった都市部が中心か。ターゲットは一般消費者か、それとも企業か。月額で3万円を超える広告予算を確保できるか。3ヶ月以上の長期的な継続を想定しているか。公共性や信頼感を最も重視する戦略をとるか。反復して何度も目に触れる接触頻度を重視するか。動画や音声によるリッチな表現を使いたいか。

これらの問いに一つずつYesかNoかで答えていくと、256通りの組み合わせが生まれます。すべての組み合わせが実際に使われるわけではありませんが、自社の状況を整理するための軸にはなります。

問いに答えると方向性が見えてくる

たとえば、ターゲットが市区町村単位で狭く、公共性や信頼感を重視し、反復接触を重視するという答えになったとします。この組み合わせであれば、地域密着型の媒体、たとえばバスの車内広告や自治体の広報誌といった選択肢が浮かび上がってきます。

逆に、ターゲットが広域で、動画などのリッチな表現を使いたく、短期集中を想定しているなら、Web広告や動画配信サービスでの展開が向いているかもしれません。

また、交通広告や地域広告とWeb広告を組み合わせることで、効果を高めることもできます。バスの車内ステッカーで社名を覚えてもらい、SNS広告やニュースアプリで詳しい情報を届けるという組み合わせです。リアルの場で繰り返し目にして、デジタルで詳細を確認する。この流れを作ることで、認知から興味、行動へとつなげやすくなります。

問いに答える過程で、自社が何を優先しているのか、何を諦めてもいいのかが明確になります。完璧な答えが出るわけではありませんが、議論のたたき台にはなります。

 

体験ページのご案内

ここまで、1バイトの発想で広告媒体の選び方を整理するという考え方を説明してきました。言葉で読むだけでなく、実際に試してみると、より実感が湧くかもしれません。今回のコラムに合わせて、8つの問いに答えると簡易的な戦略レポートが表示される体験ページを用意しました。

8つの問いに答えてみる

体験ページでは、広告の方向性に関わる8つの問いが表示されます。それぞれYesかNoかを選んでいくだけです。数分で終わりますので、深く考え込まず、今の感覚で答えてみてください。

自分でYesかNoかを選んでみると、思わぬ気づきがあるかもしれません。迷う問いがあれば、それは社内で方針が固まっていない部分かもしれません。すんなり答えられる問いがあれば、それは既に明確になっている軸です。答えを選ぶ過程そのものが、頭の整理になります。

8つの問いに答え終わると、その組み合わせに応じたレポートが表示されます。ただし、このレポートはあくまで参考としてご覧ください。体験ページは今回のコラム用に簡易的に作成したもので、十分に検証されたものではありません。表示される内容がそのまま正解、というわけではないことをご理解ください。

レポートの価値は、答えを教えることではなく、考えるきっかけを作ることにあります。何も手がかりがない状態で悩むより、何らかのたたき台があったほうが、発想は広がります。「この方向性は合っているかもしれない」「ここは違う気がする」といった反応が出てくれば、それ自体が意思決定の一歩です。

結果を見て気になることがあれば

体験ページでは、レポートが表示された画面からそのまま相談フォームに進むことができます。
結果を見て気になることがあれば、お気軽にお問い合わせください。

私たちは広告会社として、お客様が意思決定をするときのパートナーでありたいと考えています。
オンかオフ。たった二つの選択肢。けれど、それを丁寧に重ねていけば、進むべき方向が見えてきます。完璧な答えが出るまで待つのではなく、今ある問いに一つずつ答えを出して、1バイト分だけ先へ進む。その積み重ねが、やがて成果につながり、事業の成長を支える力になります。

まずは体験ページで8つの問いに向き合ってみてください。

 

 

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