2026年10月7日
WEB「近くのお客さま」はどこにいる? スマホ広告のエリアターゲティングと商圏の考え方
店舗や事業所の広告を出すとき、「近くのお客さまに知ってもらいたい」と考える方は多いでしょう。
スマホ広告には、都道府県や市区町村、店舗の周辺などを指定して配信する、エリアターゲティングという方法があります。
ただ、店舗を利用する人が近くに住んでいるとは限りません。通勤先の近くで買い物をする人もいれば、隣の市から車で訪れる人もいます。
また、同じ地域を指定しても、どのような人が配信の対象になるかは、媒体や設定によって異なります。
ここでは、スマホ広告のエリアターゲティングの仕組みを説明し、顧客の動きから商圏を捉えて配信範囲を決めるポイントを紹介します。
目次
エリアターゲティングの仕組み
エリアターゲティングは、広告を表示する地域を指定する機能です。設定の際は、どの範囲を選ぶかと、その範囲に関わる人がどのように判定されるかの二つを確認しておく必要があります。
地域名指定と半径指定

指定の方法は、大きく分けて二つあります。都道府県や市区町村などの地域名を選ぶ方法と、特定の地点を中心に半径を決める方法です。
LINEヤフー広告のディスプレイ広告(運用型)では、都道府県や市区郡の単位で地域を選べるほか、特定の地点からの半径を指定でき、両方を併用することもできます。
Google広告でも、市区町村などの地域や、地点を中心とする半径を対象にできます。ただし、半径で指定する場合は1km以上に設定する必要があります。プライバシーに関する基準から、対象を絞り込める範囲に下限が設けられているためです。
SmartNewsは2025年6月に「地点半径ターゲティング」の提供を始めました。管理画面の地図で市区町村や任意の地点を選び、半径を入力して配信エリアを決める仕組みです。その範囲を実際に訪れた人や、生活拠点と推測される人が配信の対象になります。
使い分けの一例として、市内を中心に訪問サービスを提供している企業なら、対応できる市区町村を選ぶ方法が考えられます。市境に近い店舗で、隣の市からも来店がある場合は、複数の市を選んだり、店舗を中心に半径を指定したりする方法があります。
指定した範囲の一部を外すこともできます。Google広告では、広告を表示したくない地域を除外地域として設定でき、除外した地域にいる可能性が高い人には広告が表示されなくなります。
たとえば、県全体を対象にしながら、対応できない離島や遠方の市町村だけを外す、といった使い方が考えられます。
配信対象はどう判定されるか
地域を指定しても、その範囲にいる人すべてに広告が届くわけではありません。対象になるかどうかは、媒体がさまざまな情報をもとに判定しています。Google広告の場合、ユーザーの所在地は、IPアドレスのほか、端末の位置情報の設定に応じて、GPSやWi-Fi、Bluetooth、携帯電話の基地局の情報などから判断されます。
Google広告の標準の設定では、対象地域にいる可能性が高い人や定期的に訪れている人に加えて、その地域に関心を示した人も対象に含まれます。Googleのヘルプでは、横浜市のパン屋が横浜市を対象にした場合、横浜市にいる人やよく訪れる人のほか、横浜市のパン屋に関心を示した人にも広告を表示できると説明しています。
旅行先の宿泊施設のように、別の地域にいる人が検討する商品に向いた設定といえます。
一方で、特定の地域にいる人だけに届けたい場合のために、「所在地」に絞る設定も用意されています。近隣への配達や訪問を案内する広告のように、実際にサービスを提供できる範囲が決まっている場合は、こちらの設定が合うこともあります。住む人や訪れている人に届けたいのか、別の場所から検討する人にも届けたいのかを整理してから、設定を選ぶ順番がよいでしょう。
また、Googleは、地域ターゲティングはすべての状況で100%の精度を保証するものではないとしています。対象地域と関連の深い近郊の地域に、広告が表示される場合があることも示されています。地図に引いた境界と実際の配信対象が完全に一致するとは考えず、配信結果を見ながら設定を調整していくことが大切です。
地域の設定は、ほかの条件と組み合わせることもできます。
LINEヤフー広告のディスプレイ広告(運用型)では、半径指定と性別・年齢などのターゲティングを併用できるほか、指定した地域や半径ごとに入札価格の調整率を設定できます。店舗に近い範囲には入札を強め、少し離れた範囲は控えめにする、といった強弱のつけ方ができます。
地図と人の動きから見る商圏
商圏とは、店舗やサービスを利用する顧客が訪れる範囲を指します。配信範囲を決める前に、顧客がどこから、どのような手段で訪れているかを確かめておきましょう。
距離と来店しやすさの違い

店舗を中心に同じ半径で円を描いても、その内側から等しく来店しやすいとは限りません。道路や橋、駅の位置によって、移動にかかる時間や手間が変わるためです。
たとえば、店舗の近くを川が流れていて、橋まで遠回りが必要な場合、対岸に住む人にとっては、直線距離ほど近い店ではないかもしれません。反対に、少し離れていても、通勤で使う駅の近くにある店なら、帰り道に立ち寄れます。
移動手段によっても、見ておきたい点は変わります。徒歩なら駅の出口や横断歩道の位置、車なら道路からの入りやすさや駐車場、公共交通なら路線や乗り換えが関係します。市区町村の境界も、顧客の行動を区切るものではありません。「店舗から何キロか」だけでなく、「ふだんの移動の中で立ち寄れるか」という視点で地図を見直すと、配信範囲を決める手がかりになります。
顧客データと統計の活用
出発点として役立つのは、すでに利用している顧客の情報です。予約や問い合わせで把握している地域を、市区町村や地区の単位で集計したり、接客の中で聞いた来店手段を整理したりすると、どこから利用されているかが見えてきます。
飲食店なら平日の昼と休日で訪れる人が違う可能性がありますし、学習塾なら自宅と学校からの通いやすさが関わります。業種だけで一律に距離を決めず、自社の利用状況と照らし合わせることが大切です。
地域を知るための補助資料としては、国勢調査も使えます。
総務省統計局が公表している令和2年国勢調査の従業地・通学地による集計では、昼間人口や、市区町村の間を通勤・通学で移動する人の状況を確認できます。
ただし、昼間人口は通勤・通学による移動をもとに算出したもので、買い物客などの移動は考慮されていません。2020年時点の数字でもあるため、顧客の利用実態や現地の様子と合わせて読み取る必要があります。
また、今の顧客が少ない地域にも、利用しやすい条件がそろっている場合があります。既存の顧客の分布を確かめながら、これから知ってもらいたい地域も検討し、その両方から配信範囲を考えていきましょう。
商圏に合わせた配信の考え方
顧客が訪れる範囲をつかんだら、配信の設定と、広告で伝える内容を決めていきます。範囲の広さと案内の中身をそろえ、配信後の反応を確かめながら見直していきましょう。
配信範囲と案内内容をそろえる

広告が届いても、自分が利用できるとわからなければ、来店や相談にはつながりにくくなります。
車で来る人が多い店舗なら駐車場の有無や入口の場所、駅から歩いて来る人が多いなら利用する出口や道順を、広告やリンク先で案内します。訪問サービスでは、対応できる地域や出張費の条件を示しておくと、判定の誤差で対象外の地域に広告が届いた場合でも、問い合わせる前に確認してもらえます。
複数の店舗を持つ場合は、店舗ごとに案内を分けるかどうかも考えておきます。
LINEヤフー広告の学習サイトでは、全店共通のセールなら一つの広告グループで複数の地域を指定し、地域ごとに異なる内容を伝えたい場合は広告グループを分ける方法を紹介しています。
範囲は、狭く絞るほどよいわけではありません。
Googleは、小さい半径や極端に狭い地域を指定すると、広告が表示されにくくなったり、まったく表示されなくなったりする場合があると説明しています。LINEヤフー広告も、指定した地域内のユーザー数が少ない場合は広告が配信されないとしています。
配信後は、表示やクリックに加えて、どの地域から問い合わせや来店があったかを把握できる範囲で確認し、短い期間の少ない件数だけで判断しないようにしましょう。
対応地域の外からの相談が続く場合は、配信の設定と、広告やリンク先の案内の両方を見直します。反対に反応が少ない場合も、範囲の狭さだけを原因と決めつけず、広告の内容やリンク先、配信量などを合わせて確かめることが大切です。
交通広告との組み合わせ
地域で知ってもらうには、スマホ広告と交通広告を組み合わせる方法もあります。顧客が使う駅やバス路線に広告を掲出し、その沿線や店舗の周辺をスマホ広告の配信範囲にする展開です。
たとえば、駅から歩いて通える教室なら、駅の広告で教室名や駅からの近さを伝え、スマホ広告では体験教室の日程や申し込み方法へ案内する、という分け方が考えられます。媒体が変わっても、名称やロゴ、基本となる説明はそろえておきます。
そのうえで、駅の広告は通りがかりに目に入る大きさや距離、スマホ広告は画面の中で読まれることを踏まえて、それぞれの情報量を調整します。
ただし、同じ地域で展開しても、交通広告を見た人にスマホ広告が届くとは限りません。広告を見た順番や、同じ人が何回接したかも、地域をそろえるだけではわかりません。移動中とスマホを見ているときの両方で、知ってもらう機会を設ける計画として考えます。
地域をそろえること自体を目的にせず、届けたい人がふだん使う駅や経路との関係から、掲出場所と配信範囲を選んでいきましょう。
まとめ
スマホ広告のエリアターゲティングでは、市区町村などの地域名や、地点を中心とする半径を指定できます。ただし、対象となる人の判定方法は媒体や設定によって異なり、地図の境界どおりに届くわけではありません。また、実際の顧客は、通勤や買い物の経路、道路や公共交通のつながりに沿って動いています。
配信範囲を考えるときは、まず今の顧客がどこから、どのような手段で訪れているかを確かめ、そこにこれから利用してほしい地域を重ねていきます。広告やリンク先にはアクセスや対応地域を示し、配信後の反応を見ながら、範囲と内容を見直していくことが大切です。
当社では、交通広告や屋外広告、スマホ広告などを組み合わせたご提案を行っています。
店舗の周辺で認知を広げたい、対応地域に合わせて広告を届けたいとお考えの際は、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。
