2026年10月15日
交通・屋外広告鉄道広告の種類と選び方 車内・駅・デジタルの特徴と活用の考え方
電車の中づりポスターや窓上の広告、駅の看板、改札付近のデジタルサイネージ。鉄道を使うと、さまざまな場所で広告を目にします。いざ自社で出そうとすると、どれを選べばよいのか迷うこともあるでしょう。
媒体を選ぶ手がかりになるのは、広告を見る人の動きです。電車に乗っているのか、改札へ向かって歩いているのか、ホームで待っているのか。同じ駅や車両の中でも、広告までの距離や、目を向けられる時間は変わります。それに合わせて、伝えられる内容や広告のつくり方も変わってきます。
路線に沿って企業名を知らせたいのか、特定の駅で店舗の場所を案内したいのか。商品を写真で見せたいのか、使い方を動画で説明したいのか。目的と媒体の特徴を結びつけると、その媒体を選ぶ理由が見えてきます。
ここでは、車内広告、駅広告、デジタルサイネージの三つを取り上げ、それぞれの特徴と、目的に合った使い方について説明します。
目次
乗車中の接点を生かす車内広告
車内広告は、電車に乗って移動する人に向けた媒体です。乗っている間、同じ空間にある広告として目にする機会があり、同じ路線を使う人には、別の日にも見てもらえる可能性があります。路線と広告面の両方から、使い方を考えます。
路線と利用する人の関係

車内広告を選ぶとき、路線は広告を届ける範囲を考える手がかりになります。住宅地から都心へ向かう路線、商業施設や観光地へつながる路線など、どの地域を結んでいるかによって、乗る人の行き先や移動の目的も変わります。
たとえば、複数の地域に店舗や拠点がある企業なら、それらを結ぶ路線に出すことが考えられます。ある地域でサービスを提供している企業なら、その地域に住む人や通う人が使う路線が候補になるでしょう。ただし、電車には沿線の住民だけが乗るわけではありません。乗り換えや買い物、通院で使う人も含めて、自社のお客様との接点を考えます。
車内広告は、駅を通り過ぎる一瞬ではなく、乗っている間に目にしてもらえる媒体です。そのため、企業名や商品名に加えて、事業の内容やサービスの特徴まで伝える構成も検討できます。ただ、乗っている間ずっと見てもらえるわけではありません。最初に目に入る名前や写真と、関心を持った人に読んでもらう説明とを分けて考えると、情報を整理しやすくなります。
同じ路線をくり返し使う人に向けては、続けて知らせる内容を決めておきます。企業名と事業内容、商品名とその特徴など、広告を見たときに結びつけてほしい情報です。途中で原稿を変える場合も、名前や基本となるデザインをそろえておけば、広告どうしに一貫性を持たせられます。
広告面の位置と大きさに合う伝え方
車内には、中づり、窓上、ドア横のポスターのほか、ドアや窓のステッカー、つり革を使った広告などがあります。どれも乗車中に目にする媒体ですが、見る位置や広告面の形が違います。
中づりポスターは車両の中央の天井からつり下げられ、近くからも離れた位置からも見られます。そこで、写真や見出しで主題を示し、詳しい説明はその下に添えるといった構成が考えられます。離れた人にまで細かな文章を読んでもらおうとすると、情報を詰め込みすぎてしまいがちです。まず、何を知らせる広告なのかがわかることを優先します。
窓上ポスターは「額面ポスター」とも呼ばれ、横長の形を生かして、名前、写真、短い説明を横に並べられます。窓の上の高い位置にあるため、実際に掲出される場所を想定して、文字の大きさや写真の見え方を考えます。ドア横ポスターは目線に近い高さにあり、乗り降りする場所の近くに立つ人との距離や、広告面の向きをふまえて原稿をつくります。
ステッカーやつり革など、小さな広告面では伝える内容を絞ります。企業名と一言のメッセージのように、限られた情報をまとめる使い方です。詳しい説明まで載せたいときは、文字を小さくする前に、もっと広い広告面を選ぶことも考えます。
車両の広告面をまとめて一社で使う貸切型の媒体もあります。共通の企業名やデザインのもとで、面ごとに違う商品や特徴を紹介できるのが特徴です。ただし、乗っている人が順番どおりに見るとは限りません。どの面から見ても、広告主と内容がわかる構成にしておきます。
場所との関係を生かす駅広告
駅広告は、駅の中の場所を選んで出す媒体です。ホーム、通路、改札の周りでは、人の動きも、目的地との関係も違います。その場所で何を知らせると役に立つのかを考えると、広告の役割がはっきりしてきます。
場所ごとに役割を持たせる駅看板

駅看板は、ホームの壁やコンコースの柱など、決まった場所に設置された広告面です。長く出し続ける場合は、その場所を通る人に向けて、企業名や施設名、所在地をくり返し知らせる計画が立てられます。
同じ駅でも、ホームで列車を待つ人に向けた看板と、出口へ歩く人に向けた看板とでは、原稿の考え方が変わります。ホームでは企業名やサービスの特徴を伝え、出口の近くでは目的地への道順を中心にするなど、場所ごとに役割を持たせる方法があります。
駅から少し離れた施設を知らせる場合は、所在地に加えて、そこへ行く理由になるサービスや特徴も伝える必要があるでしょう。地図を載せるか、写真を大きく使うかも、その広告に持たせる役割から決めます。
ただし、駅の利用者数は規模を知る材料であって、駅を使う全員が一つの広告面を見るわけではありません。届けたい人が通る場所にあるか、その人が歩く方向から見えるかを確かめることが欠かせません。
一つの駅に集めるか、複数の駅に広げるか
駅広告には、特定の駅に絞って使う方法と、複数の駅に出す方法があります。一つの駅の周辺が主な商圏であれば、その駅で続けて知らせる計画が考えられます。複数の地域に店舗や拠点がある場合は、それぞれの地域の駅を組み合わせる方法もあります。
駅ポスターは、出す駅や広告枠を選んで展開する媒体です。日程の決まった催事などを告知する使い方もあれば、企業やサービスを続けて知らせる使い方もあります。ポスターか看板かという名前だけで決めず、その場所で、伝えたい内容を予定する期間だけ出せるかを見ます。
一つの駅で複数の広告面を使う場合も、目的を分けて考えられます。別々の改札や通路に出せば、それぞれの道を使う人との接点になります。一つの空間にまとめて出せば、共通のデザインで企業やブランドを印象づける方法になります。
柱巻広告や大きな壁面広告では、広い面と周りからの見え方を生かした構成が考えられます。商品の写真を大きく使う、短い言葉と企業名を組み合わせるなど、面積をどう使うかがポイントです。広い面だからといって情報を増やすだけでは、大きく出す意味が薄れてしまいます。
予算が決まっているなかで駅や面の数を増やすと、続けられる期間が短くなる場合もあります。広い地域に告知したいのか、特定の地域で長く名前を知らせたいのかを先に決めておくと、場所と期間の配分を考えやすくなります。
時間の流れを使うデジタルサイネージ
デジタルサイネージは、車内や駅の画面に動画や静止画を映す媒体です。車内広告や駅広告の一つでもありますが、映す内容が時間とともに変わる点に特徴があります。表現できることと、見る人が画面に目を向けるタイミングの両方から考えます。
動画と静止画の使い分け

動画では、動きや順序を使って内容を伝えられます。商品の使い方を見せる、サービスを使うまでの流れを示すなど、いくつかの場面をつなぐことで説明できることがあります。写真一枚では表しにくい動きを見せたいときにも、動画が候補になります。
ただ、動かすこと自体が目的になると、何を知らせたい広告なのかがぼやけてしまいます。商品を使う様子を伝えたいのか、形や質感を見せたいのか。映像にする理由を決めてから構成を考えます。
名前や所在地、短いメッセージを中心に知らせたい場合は、静止画でまとめる方法もあります。受け付ける形式は媒体によって違いますが、動画に加えて静止画を流せるものもあります。音声の有無や画面の向きも媒体ごとに異なるため、原稿をつくる前に確かめておく必要があります。
手元にある動画を使う場合も、そのまま流せるかは中身を見て判断します。音声を使えない画面では、ナレーションで伝えていた説明を、映像や文字で伝え直す必要があります。音を消した状態で見て、何の商品やサービスなのか、どんな特徴があるのかがわかるかを確かめると、直すべきところが見つけやすくなります。
横長の動画を縦長の画面に収めるだけでは、写真や文字が小さくなってしまうこともあります。使う画面に合わせて配置を組み直し、いちばん伝えたいものを十分な大きさで見せます。
見るタイミングに合わせた構成
デジタルサイネージは、見るタイミングによって目に入る内容が変わります。動画を最初から見る人もいれば、途中の一場面だけを見る人もいます。映像としての流れをつくりながら、少し目を向けただけでも何の広告かがわかるようにしておく必要があります。
通路沿いの画面は、歩いて近づき、前を通り過ぎる間に目にするものです。冒頭で問いかけて、最後に商品名を明かす構成では、名前が出る前に通り過ぎてしまうことも考えられます。こうした場所では、企業名や商品を映しながら、短い言葉や動きで特徴を伝える構成が向いています。
ホームで待つ間や乗車中には、立ち止まって画面を見られる場面もあります。そこでは、商品の使い方などをいくつかの場面に分けて伝える方法も検討できます。ただし、画面の近くにいる時間が、そのまま広告を見る時間になるわけではありません。各場面の文字を読み切れるか、途中から見ても主題がわかるかという目で原稿を見直します。
複数の広告が順番に流れる媒体では、画面の前を通ったときに、自社の広告が映っているとは限りません。続けて出すことには、同じ駅や路線を使う人に、別の日や別のタイミングで見てもらう機会を増やす意味があります。放映の長さや回数を比べるときも、数字だけで判断せず、その場所で人がどう動き、どんな場面で画面を見るのかとあわせて考えることが大切です。
まとめ
鉄道広告は、種類によって広告を見る状況が違います。車内広告は路線を使う人との接点をつくり、駅広告は特定の場所や目的地との関係を生かせます。デジタルサイネージは動きや順序を使った表現ができる一方で、見るタイミングに合わせた情報のまとめ方が求められます。
媒体を選ぶときは、誰に、どこで、何を知らせたいのかを具体的にすることから始めます。そのうえで、広告面の位置や大きさ、掲出期間、費用を照らし合わせると、自社がその媒体を使う理由が整理できます。次回は、商圏と目的の面から、鉄道広告がどんな業種に向いているのかを考えます。
当社では、地域や広告の目的に合わせた媒体選びから、制作、掲出までのご相談を承っています。どの媒体が自社に合うのか迷ったときは、ぜひお問い合わせフォームからご相談ください。

