2026年2月13日
交通・屋外広告京都・滋賀の広告は「動線」で決まる 生活圏から考える媒体設計のコツ
京都と滋賀という二つのエリアで広告を展開しようと考えたとき、まず理解しておきたいのはそれぞれの生活圏の構造です。
京都に住む方々は、基本的に京都市内や府内で生活が完結していることが多く、通勤も買い物も娯楽も京都の中で済ませるのが一般的です。一方、滋賀県に住む方々は二つの層に分かれます。JR琵琶湖線や京阪電車を使って京都や大阪へ通勤・通学し、休日も京都方面へ買い物に出かける層と、滋賀県内の大型商業施設や医療機関、学校などを中心に日常が完結している層です。
つまり京滋エリアの広告を考える際には、京都で完結する生活圏、滋賀から京都・大阪方面へ向かう動線、そして滋賀県内で完結する生活圏という、三つの視点を持つ必要があります。
京都・滋賀エリア、いわゆる京滋エリアでの広告展開を検討する際、特に交通広告は強力な手段になります。なぜなら、人々の移動そのものが生活の動線となっているからです。しかし、単に有名な駅に看板を出せば良いというわけではありません。この場所にいる人は今何を考えているのか、次にどこへ向かおうとしているのかという文脈を読み解くことが、反応の取れる広告設計には欠かせません。
ここでは、京滋エリアで広告効果を最大化するための動線設計と媒体選びの考え方について掘り下げていきます。
目次
京滋エリアの特性を理解する

広告戦略を立てる前に、まずこのエリアならではの特性を把握しておく必要があります。京都と滋賀はそれぞれ異なる顔を持ちながら、一部では人の流れが交差しています。その構造を理解することが、効果的な広告設計の土台となります。
観光と生活が交差する京都
京都の特徴は、世界中から観光客が集まる観光都市としての顔と、大学や病院、歴史ある企業が立ち並ぶ生活都市としての顔が、同じ道の上で重なり合っていることです。
京都市の観光総合調査によると、2024年に京都市を訪れた外国人観光客は1088万人を記録し、過去最高となりました。観光消費額も約1兆9075億円に達し、経済波及効果は2兆円を超えています。一方で、京都に暮らす人々にとっては、観光客で賑わうエリアも日常の通勤・通学路であり、買い物や食事をする生活の場でもあります。
同じ場所であっても、そこにいる人が観光客なのか地元住民なのかで、届けるべきメッセージは全く異なります。この二つの層をどう切り分けるかが、京都での広告設計の出発点となります。
時間帯で変わる広告の届け先
京都市内を走るバスや地下鉄を想像してみてください。
朝の通勤時間帯は地元の会社員や学生が主役ですが、お昼前後になれば観光客が中心になります。そして夕方になれば再び消費者の時間に戻ります。同じ媒体であっても、時間帯によってメッセージが届く相手が入れ替わるのです。ここを無視して一律の広告を出してしまうと、せっかくの出稿量に対して期待したほどの反応が得られないという事態に陥りやすくなります。
だからこそ、その媒体を最も多く利用する時間帯の層をメインターゲットとして設定し、その層に響くメッセージを設計することが重要になります。観光客向けであれば日中の時間帯を、地元住民向けであれば朝夕の通勤時間帯を意識するといった使い分けが有効です。
二つの顔を持つ滋賀県
滋賀県は京都の隣にありながら、独自の経済圏を形成しています。
滋賀県は全国有数の内陸工業県であり、医薬品や化学製品、電子部品などの製造品出荷額で全国トップクラスの実績を持っています。県の有業率も全国3位と高く、働く世代が多い活気あるエリアです。
滋賀県民の生活パターンは大きく二つに分かれます。
一つは、JR琵琶湖線や京阪電車で京都・大阪方面へ通勤・通学する層です。この層は平日は京都や大阪で過ごす時間が長く、休日も京都方面へ買い物や食事に出かけることがあります。
もう一つは、滋賀県内で生活が完結している層です。草津や大津、彦根などの商業施設や医療機関、学校を中心に日常が回っており、京都へ出る機会はそれほど多くありません。
広告を届けたい相手がどちらの層なのかによって、選ぶべき媒体もメッセージも変わってきます。
交通広告が持つ独自の価値
デジタル広告が全盛の時代にあっても、交通広告は依然として高い価値を持ち続けています。その理由を理解することで、媒体選びの判断基準が明確になります。
繰り返し見ることで生まれる信頼感

交通広告が今もなお高い価値を持ち続けている理由は、繰り返し目に触れるという反復性にあります。
毎日同じ時間に同じ駅を利用し、同じ路線のバスに乗るという行為は、人々の習慣そのものです。テレビやインターネットの広告は時に煩わしく感じられることもありますが、街の風景の一部として溶け込んでいる交通広告は、心理的な抵抗感が少なく、無意識のうちに信頼感を蓄積していきます。
派手な宣伝を一回だけ見るよりも、毎日何気なく目にしている情報の方が、いざという時の選択肢に入りやすいのです。特に京都のような歴史ある街では、情報の信頼性が重視されます。その場所にあるべくしてある広告は、それだけでブランドとしての安心感を与えることができます。
交通広告とデジタル広告の役割分担
現代のマーケティングにおいて交通広告だけで完結させるのは得策ではありません。
今の消費者は、駅の看板や車内広告で少しでも気になったことがあれば、その瞬間に手元のスマートフォンで検索を始めます。この「気になった瞬間」を逃さずに、次の行動へ繋げる設計が重要です。
具体的には、交通広告で認知や興味のきっかけを作り、スマートフォンで表示されるSNS広告やニュースアプリの広告、動画配信サービスなどのデジタル媒体で、具体的な比較検討や予約、来店といったアクションを促すという役割分担です。
交通広告が「名前を覚えてもらう役」だとしたら、デジタル広告は「背中を押して行動させる役」を担います。
認知から行動までの流れをつくる
交通広告とデジタル広告を京滋エリアの移動動線に合わせて組み合わせることで、確実な成果が見えてきます。
交通広告で一度興味を持ってくれた人に対して、その後の検討期間中に繰り返しデジタルで接触し、予約や問い合わせまで導くという設計が欠かせません。リターゲティング広告やSNS広告を活用することで、一度の接触で終わらせず、継続的な関係構築が可能になります。
最近では、位置情報を活用したジオターゲティング広告も普及しており、特定のエリアにいるユーザーだけに広告を配信するといった手法も一般的になっています。京都駅周辺で交通広告を見た人に対して、帰宅後にスマートフォンで関連広告を表示するといった連携も可能です。
エリア別の広告設計のポイント
京滋エリアは一様ではありません。三つの生活圏それぞれに合わせた広告設計が必要です。どのエリアで、どのような動線があり、どのような伝え方が響くのかを見ていきましょう。
京都市内での展開

京都市内の中心部では、市営地下鉄と市営バスが移動の核となります。ここでよくある失敗は、観光客と地元住民をひとまとめにして考えてしまうことです。
観光客向けの情報を届けたいのであれば、言葉を極限まで削ぎ落とし、一目で目的地や体験がイメージできる直感的なデザインが求められます。京都市内のホテルでは外国人宿泊者の比率が過半数を超える月も珍しくなく、インバウンド向けの広告では多言語対応や視覚的な訴求が欠かせません。
一方で、地元の方々に向けた生活サービスや求人などの情報を届けたい場合は、何度も繰り返し見ることを前提に、少しずつ信頼を積み上げるような内容が適しています。地下鉄の駅は多くの人が行き交う結節点であり、通勤通学の習慣に深く入り込めます。駅の中は移動スピードが速いため、最初の一秒で何を伝えたいのかが伝わる核となる情報だけを配置するのがコツです。バスと地下鉄を組み合わせて使う場合は、バスで親近感を醸成し、地下鉄の駅でより具体的な選ばれる理由を提示するといった、情報の重さに強弱をつける設計が効果的です。
清水寺や金閣寺といった定番スポットを巡る観光客と、祇園や先斗町で食事を楽しむ観光客では、移動経路も心理状態も異なります。
近年はSNSや動画サイトで事前に情報収集をしてから訪れる観光客が増えており、現地で見かけた広告をその場で検索するという行動が一般化しています。交通広告で目を引き、スマートフォンでの検索に備えた受け皿を用意しておくという二段構えが、観光客向けの広告では特に重要になります。
また、京都府南部の宇治エリアは、2024年のNHK大河ドラマ「光る君へ」の影響もあり、「お茶の京都エリア」への観光客が前年比で大きく増加しました。このように、話題性のあるコンテンツと連動した広告展開も有効な手法です。
滋賀から京都・大阪へ向かう動線を捉える
滋賀県から京都・大阪方面へ通勤・通学する層にアプローチするには、その移動動線を正確に捉えることが重要です。
JR琵琶湖線は滋賀県東部から京都、大阪へと続く大動脈であり、毎朝多くの通勤客が利用しています。草津、南草津、石山、大津といった主要駅は、滋賀県民の生活の結節点となっています。この動線上で広告を展開する場合、朝と夜でメッセージを使い分けるのが有効です。
朝夕の通勤時間帯は忙しく移動しているため、短く印象的なフレーズで記憶に残すことを優先した設計が有効です。また、京都駅や大阪駅といったターミナル駅での広告は、滋賀県から通勤・通学している層にも届きます。滋賀県民向けの広告を京都駅に出すという逆転の発想も、動線を理解していれば自然な選択肢となります。
京阪電車沿線も同様で、大津や浜大津から京都方面へ向かう通勤客の動線を捉えることができます。この層は平日は京都で過ごす時間が長いため、京都市内の媒体でも接触できますが、週末や夜間は滋賀県内にいることを忘れてはいけません。
交通広告で京都で認知を作り、デジタル広告で滋賀の自宅にいる時間帯にも接触するという組み合わせが効果的です。
滋賀県内で完結する生活圏へのアプローチ
滋賀県内で生活が完結している層へのアプローチは、京都向けの広告とは全く異なる設計が必要です。
この層にとっては、京都で流れている広告は目に入る機会が少なく、滋賀県内の媒体で直接アプローチする必要があります。
滋賀県南部の草津や守山、栗東といったエリアは人口増加が続いており、若いファミリー層が多く住んでいます。ここでは医療や教育、住まいに関する情報など、家族の意思決定に直結する内容が受け入れられやすくなります。都会的な洗練さよりも、地域に根ざした安心感を伝えることが大切です。
滋賀県内のバス広告や、地域のフリーペーパー、ショッピングモール内のサイネージなども有効な媒体となります。
滋賀県の中部から北部にかけては、南部ほど交通網が密集していないため、一箇所に出せば良いというわけにはいきません。彦根や長浜といった都市では、観光客向けと地元住民向けの広告を明確に分けて考えることも重要です。狙いたいターゲットが必ず通る場所を見極め、点ではなく面で捉える設計が必要になります。
このエリアでは、情報を隅々まで届けることよりも、届いた人が迷わずに行動できるような導線を整えることに注力すべきです。店名が思い出せなくても「地名とサービス名」で検索すれば一番上に出てくるようにしておくといった、交通広告を起点とした受け皿の準備が成果を左右します。
複数媒体を組み合わせる効果
広告設計の核心は「動線ごとに役割を持たせること」に集約されます。複数の媒体をどのように組み合わせれば効果が高まるのかを考えてみましょう。
目と耳の両方から届ける

視覚情報だけでなく、耳から入る情報も検討する価値があります。
京滋エリアはローカル放送が今も強い地域です。KBS京都やαステーション、滋賀側ではびわこ放送やe-radioといったメディアは、移動中や仕事中、家事の合間に自然と人々の耳に届きます。
交通広告で目にした名前をラジオで耳にすると、脳内での記憶は強化されます。目と耳の両方からアプローチすることで、検索や来店といった次のアクションへのハードルはぐっと下がります。
特にラジオは、リスナーとの心理的な距離が近いメディアです。パーソナリティが商品やサービスについて語ることで、単なる広告以上の信頼感を醸成できることもあります。
デジタル広告で場所と時間を細かく制御する
京滋エリアの消費者は移動の合間にスマートフォンで情報収集を行っています。ここで大切なのは、ただ広告を出すのではなく、場所を細かく制御することでエリアマーケティングに特化することです。
デジタル広告の強みは、届けたいエリアを指定して配信できることと、一度接触した人に繰り返しアプローチできることです。交通広告で興味を持ってくれた人がスマートフォンで検索した際に、関連する広告を表示させることで、認知から行動への流れをつくることができます。
媒体ごとの役割を明確にする
複数の媒体を組み合わせて使う場合には、それぞれの役割を明確にすることが成功への近道です。
交通広告は「信頼の土台を作り、記憶に残すこと」に専念し、デジタル広告は「疑問を解消し、行動を完了させること」を担います。同じ内容を繰り返すのではなく、物語を繋いでいくような感覚で設計することが、受け手にとって心地よいコミュニケーションとなります。
京都市内では観光と生活を切り分け、滋賀から京都への動線では通勤時間帯を狙い、滋賀県内では地域密着の媒体で深く入り込む。三つの生活圏それぞれに合わせた媒体の組み合わせを考えることで、どの媒体を選べば良いかという悩みも自然と解消されていきます。
目的別に考える広告戦略
広告の目的によって、最適な媒体の組み合わせや訴求内容は変わってきます。代表的な目的別にポイントを整理してみましょう。
求人を目的とする場合

求人を目的とする場合でも、交通広告とデジタル広告の組み合わせは有効です。
特に学生が多い京都や、若い世代の移住が進む滋賀南部では、交通広告で「社名を見たことがある」という状態を作っておくだけで、採用サイトを訪れた時の安心感が全く違います。人材募集の時だけ広告を出すのではなく、日常の風景の中に会社が存在していることを示し続けることが、良い人材との出会いを生む土台となります。
特に新卒採用においては、企業の知名度が応募数に直結するケースも多く、長期的な視点での広告投資が求められます。滋賀県内に工場や事業所がある企業であれば、滋賀県内の媒体で地元採用を強化するという選択肢もあります。
BtoB取引を狙う場合
企業間取引を狙う場合でも、交通広告は意外な力を発揮します。
決裁権を持つ多忙なビジネスパーソンほど、移動時間は貴重な情報収集の時間です。主要駅の看板や特急列車の車内広告などで繰り返し社名を目にすることで、商談の際に「ああ、あの看板の会社ですね」という会話から始まる信頼関係が生まれます。
派手な演出よりも、その場に相応しい落ち着いた表現で、解決できる課題を端的に伝えることが、質の高いリード獲得に繋がります。
滋賀県には大手製造業の工場や研究所が多く立地しており、BtoB広告のポテンシャルも高いエリアです。JR琵琶湖線沿線の駅や、工業団地に近いバス路線などは、ビジネスパーソンへのアプローチに適した媒体となり得ます。
地域でのブランド認知を高めたい場合
地域でのブランド認知を高めたい場合は、交通広告の反復効果が特に活きてきます。毎日同じ場所で同じ広告を目にすることで、その企業やサービスが「この街に根付いている存在」として認識されていきます。
新規出店や新サービスの告知であれば、短期集中で複数の媒体に出稿することで一気に認知を広げることも可能です。
一方で、長く愛されるブランドを目指すのであれば、派手さよりも継続性を重視し、地域の生活に溶け込むような存在感を築いていくことが大切です。
京都で認知されたブランドが滋賀でも展開する場合、滋賀県内で改めて認知を作り直す必要があることも忘れてはいけません。京都での広告をそのまま持ってきても、滋賀の方々にとっては初めて見る情報かもしれないからです。
媒体選びの前に目的を明確にする
最後に、これから京都・滋賀での広告を検討される皆様へ大切なことをお伝えします。
届けたい相手と届けたい場所を決める
媒体選びから始めないということが重要です。
まずは、誰に、どのような気持ちになってもらい、最終的にどんな行動を起こしてほしいのか、という目的を明確にすることから始めてください。観光客に来てほしいのか、京都の地元住民に届けたいのか、滋賀から京都へ通う層を狙うのか、滋賀県内で完結している層にアプローチしたいのか。
その目的が決まり、ターゲットの移動動線が見えてくれば、自ずと最適な媒体の組み合わせは決まってきます。
三つの生活圏を意識する

京都と滋賀は、それぞれ独自の生活圏を持ちながら、一部で人の流れが交差している地域です。
京都で完結する生活圏、滋賀から京都・大阪へ向かう動線、滋賀県内で完結する生活圏という三つの視点を持つことで、広告設計の精度は格段に上がります。定石通りの手法が通用しない複雑さがある一方で、その複雑さを理解した上で設計すれば、競合と差をつけることができるエリアでもあります。
もし、これまでの広告展開で手応えを感じられなかったり、新しいエリアへの進出に不安を感じていたりするのであれば、一度視点を変えて動線から設計し直してみてはいかがでしょうか。
媒体を並べるのではなく、人の流れに寄り添うこと。それが、この京滋エリアで確かな結果を出し続けるための、最もシンプルで力強い方法です。
私たちがお手伝いできること
私たちは、京滋エリアの交通広告を軸に、JRや地域の私鉄、バス、タウン情報誌、そして最新のデジタル広告まで、あらゆる接点を一つの物語として組み立てるお手伝いをしています。
現状の課題がまだはっきりと形になっていなくても構いません。この街を歩き、この街で暮らす人々の目線に立ち、どのような伝え方が一番心に響くのか。それを一緒に考え、形にしていくことから始められれば幸いです。三つの生活圏それぞれに最適なアプローチを見極め、現実的に成果を生むための最適なルートを、共に描き出していきましょう。
京滋エリアでの広告戦略について、具体的なご相談やお見積もりのご依頼は、お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。貴社のサービスや商圏に合わせた媒体選定から、デジタル広告との組み合わせプランまで、担当者が丁寧にご提案いたします。






