2025年12月4日

その他

補助金を使ってお得に広告を出そう  ―知らないと損する 広告予算の新しい考え方―

 

広告を出したい、ホームページを新しくしたい、SNSで積極的に発信したい。
そう思っても、「広告費がかかりすぎる」「効果が見えにくい」と感じて、結局後回しにしてしまう方は多いのではないでしょうか。特に中小企業や個人事業主にとって、広告予算の確保は常に大きな課題です。

しかし、この課題を解決する手段として、国や自治体が用意している補助金や助成金を活用するという新しい視点があります。これらの制度は「事業の成長を支援するためのお金」であり、基本的に返済不要です。採択されれば、その資金を広告予算の一部として活用できます。
つまり、広告を出すことが「費用の負担」から「成長へのチャンス」に変わるのです。

この記事では、この補助金・助成金の基本から、広告に活用できる具体的な制度、さらに、返済が必要な融資制度との違い、そして実際の広告への表記ルールまで、実務に役立つ情報をやさしく、そして深く掘り下げてご説明します。

 

目次

第1章 助成金・補助金とは何か その本質と実務的な違い

まず、補助金と助成金が持つ本質的な意味、そして実務上の違いを明確に整理しておきましょう。どちらも「もらえるお金」であり、返す必要がない点は共通していますが、その目的、管轄、申請の仕組みが大きく異なります。

1-1. 補助金 本質は「事業の公募」と「競争原理」

補助金は、経済産業省や地方自治体が窓口となり、主に新しい取り組みや革新的な挑戦を支援するために設けられています。その本質は「事業の公募」であり、応募した事業計画を行政の審査委員会が評価し、「採択」される制度です。

補助金の目的は、社会的な政策目標(たとえば、生産性向上、デジタル化推進、事業再構築など)の達成にあります。そのため、申請書には、「あなたの事業が、どのように社会や地域の課題解決に貢献するか」という、公共性と将来性が求められます。

補助金が対象とする用途は幅広く、チラシやパンフレットの印刷費、ウェブサイトの制作・改修費、デジタル広告の出稿費、店舗の看板設置、販促イベントの実施など、販路開拓に関わる経費が中心になります。採択されると、経費の2分の1から3分の2程度が補助されるのが一般的です。
上限額は「小規模事業者持続化補助金」のような身近なもので50万円から100万円前後が中心ですが、「事業再構築補助金」など大規模なものでは数百万円から1,000万円超の支援もあります。
補助金は競争原理が働くため、申請書の質が非常に重要になります。

1-2. 助成金 本質は「条件達成」と「雇用・人材育成」

一方、助成金は、主に厚生労働省や地方自治体が管轄しており、雇用や働き方改革、人材育成などを目的とした制度が中心です。

助成金の最大の特徴は、「要件を満たせば、ほぼ自動的に支給される」という点にあります。補助金のような厳しい審査競争は原則としてなく、「この条件(たとえば、社員の研修を実施した、正社員を新たに雇用したなど)を満たしました」という証明ができれば、高い確率で支給されます。

助成金は直接的に「広告費」を対象とするものは少ないですが、「人材募集に関わる求人広告費」「社員のスキルアップのための研修費用」「ウェブサイトやアプリを用いた業務効率化のための研修費用」など、広報活動と密接に関連する用途で活用できるケースがあります。
補助金よりも採択率が高く、返済不要という点で、非常に利用しやすい資金です。

1-3. 実務で知っておきたい会計・税務上の注意点

補助金も助成金も、「もらえるお金」ではありますが、実務では会計処理と税務処理に十分な注意が必要です。

まず、補助金・助成金は収益として扱われます。つまり、受け取った年度の益金として法人税や所得税の課税対象になります。ただし、「圧縮記帳」という特殊な会計処理を行うことで、資産の取得に充てた補助金に対しては、一時的に課税を繰り延べることができます。
広告費やウェブサイト制作費といった「経費」に充てた場合は、収入として全額課税対象となるため、利益の計算には注意が必要です。

また、補助金・助成金の対象となる経費は、原則として消費税を含まない「税抜きの金額」です。申請書に記載する金額や、請求書に記載される金額には、消費税の扱いを明確にしておくことが、後々の精算でトラブルにならないための鍵となります。

一度、自社で費用を全額支払い、後から補助金が戻ってくる「精算払い(後払い)」が基本であるため、資金繰りについても計画的に行う必要があります。

 

第2章 広告販促に使える代表的な補助金とその戦略的活用

ここでは、実際に広告宣伝費として活用できる代表的な国の補助金制度と、それぞれの戦略的な使い方を深く掘り下げてご説明します。

2-1. 小規模事業者持続化補助金:最も身近な販促予算

「小規模事業者持続化補助金」は、全国の商工会議所や商工会が窓口となっており、小規模企業や個人事業主にとって、最も身近で利用しやすい制度です。

この補助金の目的は、小規模事業者が作成する「持続的な販路開拓」のための事業計画を支援することです。対象経費の上限は50万円(条件により最大200万円程度まで拡充される場合もあります)で、補助率は3分の2が一般的です。つまり、75万円の広告制作費であれば、実質25万円の自己負担で済みます。

戦略的な活用例は多岐にわたります。

紙媒体の刷新
地域のターゲット層に合わせたチラシ印刷、パンフレット作成、新しいブランドイメージを反映させた名刺デザイン費用。
ウェブ・デジタル化
集客に特化したホームページ開設・リニューアル費用、ネット広告の出稿費用、効果測定ツールの導入費用。
店舗・販促
新商品の販促イベント費用、店舗の看板リニューアルや内装の一部改装費用。

 

この補助金の成功の鍵は、「持続的な販路開拓につながるか」という点です。「単なるチラシ作成」ではなく、「新しいターゲット層に接触するためのSNS広告とチラシを組み合わせた販促戦略」といったように、「新しい取り組み」と「持続性」を明確にアピールする計画が採択されやすい傾向があります。

2-2. IT導入補助金:広告効果の「デジタル化」に特化

「IT導入補助金」は、名前のとおりITツールを導入するための補助金ですが、現代の広告活動において、このツールが広告効果の最大化に直結するため、非常に応用範囲が広い制度です。

この補助金の目的は、企業や店舗のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援することです。上限は30万円から450万円、補助率は2分の1から3分の2となります。

広告への戦略的な応用例を具体的に見てみましょう。

広告運用システム
ネット広告を自動で最適化してくれるWeb広告運用システムや、ターゲット設定をAIで行うマーケティングオートメーション(MA)ツールの導入費。これにより、広告効果を人の手ではなくシステムで高めることができます。
効果測定と分析
どの広告が効果的だったかを詳細に調べるアクセス解析ツール、顧客の行動を追跡するCRM(顧客管理システム)の導入費。これは、無駄な広告費を削減するための「見える化」投資にあたります。
顧客コミュニケーション
メール配信や予約管理システム、チャットボットなど、ウェブサイトを通じた顧客とのやり取りを自動化する仕組みの導入費。これは、広告で獲得した顧客を離脱させないための重要な投資です。

 

IT導入補助金の申請では、導入するITツールが、いかに事業の生産性を向上させるかという点を論理的に説明することが採択の鍵となります。

2-3. 事業再構築補助金:事業転換と大規模な広告宣伝

「事業再構築補助金」は、新しい分野に挑戦する企業を支援する、国の補助金の中でも最大規模の制度です。

この補助金の対象となる広告宣伝費は、単なる販促ではなく、「事業転換」や「新分野への進出」といった大規模な事業の再構築に伴うものに限られます。
たとえば、飲食店が冷凍食品のネット販売を始める際のECサイト制作費と全国向けのWeb広告費、製造業が消費者向けの直販サイトを開設してPRを強化するための大規模なブランディング費用などが該当します。

補助額は数百万円から最大1億円規模にのぼりますが、その分、申請計画には「市場規模の分析」「競合との差別化」「財務的な実行可能性」といった、高度な事業戦略が求められます。この補助金を活用する場合、広告代理店は単なる制作会社ではなく、事業計画そのものを練る戦略パートナーとしての役割が求められます。

2-4. 自治体の広告・販促支援補助金:地域密着の強み

国が主導する大規模な補助金以外にも、市区町村単位で、地域企業のPRを支援する制度が数多く用意されています。

これらの補助金は、上限が10万円から50万円程度と小規模ですが、申請手続きが比較的簡素で、採択率も高いのが特徴です。対象となる広告は、地元新聞への広告掲載、地域交通広告、地域のイベント用チラシなど、“地域密着型”の販促活動に最適です。

地域密着型の補助金の活用は、「地域経済への貢献」という明確な目的を持つため、地域社会との連携を強化したい中小企業にとっては、費用対効果だけでなく、信頼性向上という面でも大きなメリットがあります。

 

第3章 採択される計画書の書き方と事務処理

補助金や助成金は、「申請書を出せばもらえる」という簡単なものではありません。行政の審査員に「この事業に公的資金を投じる価値がある」と判断させるための「論理」と、煩雑な「実務」を理解しておく必要があります。

3-1. 審査員を説得する「計画の妥当性」の論理

審査では、広告の内容そのものよりも「計画の妥当性」が厳しく見られます。「新商品を広めたい」という漠然とした理由ではなく、「なぜその広告が必要なのか」を論理的に説明する必要があります。

計画書で訴えるべき論理構造は、次の三段階に分解できます。

第一に、課題の明確化です。「来店客が減少している」ではなく、「主要顧客である40代主婦層へのリーチが、既存の新聞折込チラシでは限界に達しており、デジタル媒体へのシフトが必要である」といった、具体的な課題と原因を特定します。

第二に、解決策の具体性です。「ウェブ広告をやる」ではなく、「40代主婦層が最も利用するInstagramのストーリーズ広告を、持続化補助金の上限額内で〇〇万円分出稿し、ターゲットリーチ率を〇〇%向上させる」といった、目的と方法、そして数値目標を一体にして書きます。

第三に、持続的な発展性です。「補助金が終わったらどうなるか」という疑問に答える必要があります。「補助金で得られたSNS広告の運用ノウハウを、社内の若手社員に継承し、自己資金で継続可能な販促体制を構築する」といった、補助金が終了した後も事業が自立・発展する道筋を示すことが、審査の鍵となります。

3-2. 実務の鍵を握る「証拠書類」と「精算払い」の理解

補助金・助成金の実務で最も重要なのは、「証拠書類の管理」と「精算払いの理解」です。

補助金は、一度は自社で費用を全額支払い、後から領収書や納品書を確認してもらい、戻ってくるという精算払いの仕組みが基本です。つまり、資金繰りとして、まず広告費全額を立て替える必要があります。

証拠書類としては、広告の実施期間、費用、納品物が計画通りであったことを証明する書類が必要です。広告制作においては、見積書、発注書、請求書、領収書はもちろんのこと、納品されたチラシの現物や、ウェブサイトのスクリーンショット、広告媒体の出稿証明書といった、「証拠」が多岐にわたります。これらの事務処理を補助金事務局の要求に合わせて正確に行うことが、不備による補助金不支給という最悪の事態を避けるための絶対条件です。

3-3. 虚偽申請の厳罰化と広告代理店の倫理的責任

近年、補助金制度の拡充に伴い、虚偽申請に対する行政の監視と罰則が極めて厳しくなっています。架空の請求書や、補助金申請後に実施内容を大幅に変更する行為は、詐欺罪や補助金適正化法違反といった重い罪に問われる可能性があります。

広告代理店は、クライアントに対し、絶対に虚偽の書類を作成したり、虚偽の証言をさせたりしないという、倫理的責任を負っています。申請書に記載された広告内容と、実際に納品される広告内容に整合性があるかを厳しくチェックし、補助金制度の悪用に加担しないという姿勢を徹底することが、私たち広告代理店に課せられた社会的責任です。

 

第4章 資金繰りの視点

補助金が「後払い」であるのに対し、返済が必要な融資や保証制度は、「先払い」の資金調達手段として利用できます。これらを戦略的に組み合わせることで、広告投資の実行力を高めることができます。

4-1. 無利子融資・保証制度の本質的な役割

「助成金」と似た制度として、日本政策金融公庫の「新事業活動資金」や、信用保証協会の「制度融資(利子補給付き)」などがあります。これらは貸付であり、後で返済する必要があります。

しかし、これらの制度は金利や保証料を自治体が負担してくれるため、実質的に“ほぼ無利子”で資金を借りられるのが特徴です。補助金採択の審査には時間がかかりますが、融資は比較的スピーディーに利用できる場合が多く、「広告費を先に準備しておきたい」「販促活動をすぐに開始したい」ときに役立ちます。

融資は「広告費の立て替え資金」として機能します。まず融資で資金を確保し、広告活動を先行させ、その後に補助金が戻ってきたら融資の一部を繰り上げ返済するという「資金の循環」を生み出すことが、資金繰りの視点から見た最も賢い戦略です。

4-2. 広告効果を最大化する「事業性評価」の重要性

金融機関が融資を行う際に重視するのは、「事業性評価」です。これは、単に担保や過去の業績を見るだけでなく、「その事業計画が将来的にどれだけ利益を生むか」という、事業の成長性を評価するものです。

私たちは、交通広告やデジタル広告の専門的な知見に基づき、市場の現状分析、ターゲット層の動線、競合他社との差別化といった論理的な根拠を提供します。これにより、「なぜこのタイミングで、この媒体(たとえば交通広告)に投資することが妥当なのか」という計画の説得力を高めることができます。
金融機関への提出資料において、単なる希望的観測ではなく、客観的な市場分析に基づいた事業の成長性を示すことで、融資の場面での計画の信頼性を大幅に高めることができるのです。

 

第5章 補助金活用を伝える広告表記のルールと信頼性

補助金を使って制作した広告について、「この広告は〇〇補助金を活用しています」と表示してもいいのか、という疑問は現場でよく聞かれます。この表記には、法的なルールと、ブランドの信頼性を高める戦略的な意味があります。

5-1. 広告表記のルールと禁止される「優良誤認」

補助金活用を広告に表記することは、原則として可能です。しかし、最も重要な注意点は、「誤解を招かない表現にする」ことです。

たとえば、「国が推薦する商品」「行政認定の技術」といった、行政がお墨付きを与えたと誤解される書き方は、景品表示法上の優良誤認に当たる可能性があり、厳しく禁止されています。

正確な表記は、事実のみを伝えるものです。「この広告は、令和〇年度〇〇補助金の支援を受けて制作しました」のように、シンプルかつ事実のみを伝えるのが望ましいです。補助金の要綱によっては、「広告上に補助金名を表記することを禁止」または「定型ロゴを使用することを義務化」しているものがあるため、公募要領の確認は必須です。

5-2. 補助金活用表記がブランドにもたらす「信頼性」

補助金活用を正しく伝えることは、ブランドの信頼性を高める上で、戦略的なメリットがあります。

行政のお墨付き(間接的)
「行政の審査を通過した、将来性のある事業計画に基づいて制作された広告」という、間接的なお墨付きの印象を持ってもらえます。特に採用広告や地域メディアへの掲載では、「安心できる、地域に根差した会社」という印象を求めている応募者や顧客に強く響きます。
透明性の確保
補助金が「国民の税金」で賄われている以上、その使途を透明化することは、企業の社会貢献性と誠実さを示すことにつながります。
ただし、広告表現が「補助金が目立ちすぎて、商品の魅力が伝わらない」といった本末転倒な事態にならないよう、表現のバランスには細心の注意が必要です。

 

第6章 助成金が広げる広告の可能性と戦略整理

助成金を活用することは、単に費用を抑えるだけでなく、広告の幅を広げ、マーケティングの視点を整理する大きなチャンスになります。

6-1. 「補助金をきっかけに」新しい表現に挑戦する

助成金や補助金を活用すると、自己資金だけでは躊躇していた新しい媒体や表現方法に挑戦するきっかけになります。

たとえば、チラシを配るだけだった企業が、Web広告や動画広告に挑戦したり、紙媒体とSNSを組み合わせたオムニチャネルキャンペーンを試みたりできます。

「補助金をきっかけに、新しい表現方法やデジタルツールを試すことができた」という声は、多くの企業から聞かれます。特に、Web広告のA/Bテストや、交通広告のエリアマーケティングといった、効果測定にコストがかかる分野への挑戦を後押しする効果は計り知れません。

6-2. 申請プロセスがもたらす「広告戦略の整理」

補助金の申請には、「事業計画書」が必須です。この計画書作成のプロセスこそが、マーケティングの視点を整理する最高の機会になります。

申請書には、「何を・誰に・どう伝えるか」を、明確な数値目標と論理的な根拠に基づいて記述する必要があります。これは、広告制作の本質である「誰に何を届け、どう行動変容を促すか」という戦略整理そのものです。

このプロセスを経ることで、「なんとなく出す広告」から、「目標達成のために論理的に設計された広告」へと、企業の広告戦略の質が劇的に向上します。制度を使うこと自体が、マーケティングの第一歩になるのです。

6-3. 広告代理店との連携がもたらす事務処理からの解放

補助金制度は、採択後の事務処理が煩雑であるという大きな課題があります。大量の証拠書類の管理、経費の発生期間の厳守、請求書の細かな内訳の調整など、本業の傍らでこれらを処理することは、中小企業の担当者にとって大きな負担となります。

私たち広告代理店は、単に制作を行うだけでなく、補助金専門の行政書士や専門支援機関と連携し、「申請から制作、そして煩雑な精算事務処理まで一貫して支援できる体制」を整えています。お客様には、広告戦略の検討と実行に集中していただき、面倒な事務処理からの解放を提供することこそが、私たち広告代理店の新しい価値であると考えています。

 

第7章 私たちができること

私たちは、補助金・助成金を活用した広告展開を数多くお手伝いしています。チラシ・Web・SNS・交通広告・動画など、媒体を問わず、あなたの事業に最適な形で「伝わる広告」を設計します。助成金の採択をゴールにするのではなく、その先の「広告効果を最大化すること」を目指しています。

もし「うちも補助金や助成金を使った広告展開やホームページ作成をしたい」と思ったら、お問い合わせフォームから、気軽にお声がけください。補助金・助成金を上手に使えば、広告の可能性はもっと広がります。「やってみたい」を「できた」に変えるために、私たちがお手伝いします。

 

運営者情報

運営者
株式会社キョウエイアドインターナショナル
住所
東京都千代田区内幸町2-2-3 日比谷国際ビル17階
お問い合わせ
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電話番号
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