2026年1月14日

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クリエイティブの境界線  ―広告制作で知っておきたい著作権の基本―

 

広告やマーケティングの現場では、日々たくさんのクリエイティブに触れる機会があります。写真やイラスト、文章や動画、音楽やデザインなど、多様な表現が企画のヒントになり、ビジュアルづくりの材料にもなります。
しかし、こうした素材を扱うときに著作権の基本を理解していないと、意図しないトラブルにつながる可能性があります。無断使用や不適切な加工といった問題は、制作の段階で気づきにくく、公開されてから指摘されるケースも珍しくありません。

著作権という言葉は身近ですが、法律としての仕組みは案外知られていないものです。
「何が著作物なのか」「どこまでが自由で、どこからが保護の対象なのか」「公的な文章は自由に使えるのか」といった点は、現場で混乱しやすいところでもあります。とはいえ、著作権の基本は決して難解ではありません。創作を尊重し、文化を育てるための仕組みであり、広告制作に関わる人にとっても日常的に役立つ知識です。

ここでは、著作権法の一次情報をもとに、著作物の定義や対象、そして著作権の土台となる考え方について説明します。

 

著作権とは何か

著作権を正しく理解することは、クリエイティブ制作に関わるすべての人にとって欠かせない基礎知識です。しかし、著作権という言葉がよく使われる反面、その目的や考え方、どのようなものが保護の対象になるのかについては、十分に整理されないまま扱われていることが多くあります。
広告やマーケティングの現場では、写真やイラスト、文章や動画など、多種多様な表現を扱うため、著作物が何であるかを理解しているかどうかで、判断の正確さやリスクの大きさが大きく変わります。

また、著作物と事実の違い、公的な文書がなぜ著作権の対象外になるのかといった点は、法律の条文を読まなければ分かりにくい部分もあり、誤った認識を持ったまま制作を進めてしまうケースも少なくありません。
まずは著作権法の目的や著作物の定義、保護の対象とならないものを丁寧に整理し、著作権の“出発点”となる考え方を理解することが重要です。ここでは、その基礎となるポイントについて説明します。

著作権法の目的を理解する

著作権を理解するうえで、まず押さえておきたいのが著作権法の目的です。
著作権法の第一条には、この法律が何を大切にしているのかがはっきり書かれています。条文では、著作物や実演などに関する権利を定め、著作者などの利益を保護することに加えて、著作物の「公正な利用」を図ることが述べられています。つまり、著作物は守られるべきものですが、同時に社会の文化を育てるために利用されることも大切だとされています。

このバランスは広告制作においても重要です。著作物を使うときは著作者の権利を尊重しながらも、必要に応じて引用したり、情報を共有したりすることがあります。その際、著作権法の目的を理解しておけば、「どこに配慮すべきか」「どの部分が自由に使えるのか」といった判断がしやすくなります。
著作権は「禁止のためのルール」ではなく、「創作と利用の調和を保つためのルール」だという点を押さえることが第一歩です。

著作物の範囲を理解する

著作権の中心となる概念が「著作物」です。著作権法第二条では、著作物を「思想又は感情を創作的に表現したもの」と定義しています。
ここで重要なのは「創作的に表現した」という部分で、単に情報を並べただけでは著作物にはなりません。例えば、小説や評論、詩などの文章はもちろん、絵画、写真、彫刻、建築、音楽作品、映画作品などが著作物に含まれます。

広告制作で用いられる多くの素材も、ほとんどが著作物に該当します。
イラストレーターが描いたカット、フォトグラファーが撮影した写真、映像作家が編集した動画などには、それぞれの表現の工夫や独自性があり、創作性が認められます。そのため、こうした素材は著作権によって守られていると考えるのが基本です。

ただし、創作的な表現があればよいので、必ずしも芸術作品である必要はありません。
ビジネス資料やマニュアル、地図、デザイン図面なども、表現の工夫や独自性がある場合には著作物になります。広告の現場ではアイデアスケッチや構成案など、形として残る多くの資料が著作物にあたる可能性があります。

著作物と事実の違いを理解する

著作物を理解する際に、もう一つ重要なポイントが「事実」との違いです。
著作権法では、創作性がないものは著作物として保護されません。たとえば、気温の数値、歴史的な出来事、統計データなどは事実そのものであり、創作性を含まないため著作物になりません。しかし、これらの事実を解説した文章や図表は、表現としての創作性があれば著作物になります。

この違いは、広告制作でデータや情報を扱うときに重要です。同じ事実を扱っている資料でも、その文章表現や構成、図解の仕方に創作性があれば著作物となり、無断での利用は避ける必要があります。
逆に、事実だけを引用するのであれば著作権の問題は生じません。この線引きは単純なようでいて、制作現場では誤解が起きやすい部分です。

著作権が及ばないものとは

著作権法には、著作権の対象にならないものが明確に定められています。
著作権法第十三条では、法令、告示、通達、裁判所が出す判決や決定など、社会に広く共有されるべき情報は著作権による保護の対象にならないとされています。また、国や地方公共団体が作成した一部の文書についても、同様の扱いとなっています。

ただし、誤解してはいけないのは「すべての公的資料が自由に使える」という意味ではないことです。たとえば、法令そのものは著作権の保護を受けませんが、出版社や研究者が作成した解説書や注釈書は、その解説文に創作性があるため著作物となります。つまり、同じ法令を扱っていても、資料の種類によって扱いが変わります。

広告制作の現場で公的資料を使う場合、この違いを理解しておくことは不可欠です。条文や判例そのものは自由に利用できても、解説文を引用したり、図表をそのまま使用したりする場合は注意が必要です。
こうした知識を持っておくだけで、安心して制作を進められるようになります。

 

著作権が守るもの

著作権の基本的な働きを理解したところで、次に押さえておきたいのが「著作権がどのような権利を保護しているのか」という点です。
著作権と一口にいっても、その中身は一つではありません。著作者が持つ権利には大きく分けて二つの柱があります。ひとつは、著作物を複製したり、公開したりする場面に関わる権利で、一般に「著作権(いわゆる財産的な権利)」と呼ばれます。もうひとつは、著作者の人格的な利益を守る「著作者人格権」です。この二つは性質も目的も異なりますが、どちらも著作物を扱ううえで欠かせないものです。

広告やマーケティングの実務では、ほとんどの場合、著作権(経済的権利)の許諾が必要になります。一方で、著作者人格権は譲渡できない権利であり、作品の加工や改変、作者名の表示などに関わるため、制作物の仕上げや公開方法に影響します。
ここでは、これら二つの権利について、それぞれ詳しく説明していきます。

著作権(経済的権利)の内容を理解する

著作権(経済的権利)は、著作物の利用をコントロールするための権利です。
著作権法では多くの利用形態が個別の権利として規定されており、その代表的なものとして複製権、公衆送信権、頒布権、展示権などがあります。これらは著作物をどのように扱うかによって適用される権利が異なり、広告制作では非常に関わりが深い項目です。

複製権は、著作物を複写したり、デジタルデータとして保存したりする行為に関わります。
広告制作では、写真やイラスト、動画を社内でコピーしたり、デザインデータに組み込んだりする場面が多くありますが、これらは複製に該当する可能性があります。公衆送信権は、インターネットを通じて著作物を公開する行為に関わり、ウェブ広告やSNS投稿、動画コンテンツの公開がこれに該当します。頒布権や展示権は、物体としての著作物の配布や展示に関わる権利で、パンフレットや展示会で使うパネルなどが対象になります。

これらの権利のポイントは、著作物を「使う」だけでなく、「見せる」「広める」「保存する」など、さまざまな行為が著作権に関わるという点です。特にデジタル化が進む現在では、データの保存や共有そのものが複製とみなされる場面もあります。そのため、無断で素材を使うことはもちろん、許諾を得た素材でも利用範囲を超える使い方をすると、著作権の侵害となる可能性があります。

広告の世界では、デザインや原稿を他部署に展開したり、SNSで再利用したりすることが日常的に行われますが、こうした二次利用も著作権の範囲に含まれるため注意が必要です。著作権(経済的権利)は複雑に見えますが、基本的には「著作者に使用の可否を決める権利がある」という考え方を押さえておけば、判断がしやすくなります。

著作者人格権とは何かを理解する

著作者人格権は、著作者の「人格的利益」を守るための権利であり、著作者にのみ認められる権利です。これは譲渡することができず、著作物がどのように扱われるかという面で大きな影響を持ちます。
著作者人格権には、著作物を公表するかどうかを決める「公表権」、著作者名をどのように表示するかを決める「氏名表示権」、そして著作物の内容や形式を勝手に変えられないようにする「同一性保持権」があります。

広告制作では、特に同一性保持権が注意すべきポイントになります。
例えば、写真家が撮影した写真を広告で使うときに、意図しないトリミングをしたり、色味を大幅に変えたりすると、著作者人格権の侵害となる可能性があります。同様に、イラストレーターの作品を加工したり、デザインの一部を変更したりする場合も注意が必要です。
著作者人格権は作品そのものの尊厳を守るための権利であるため、著作者が自分の作品をどのように扱われるかについて強い関心を持つことは自然なことです。

また、氏名表示権も広告制作では関わる場面があります。
例えば、クレジット表記が必要な作品を使用する際に、著作者名を意図的に削除したり、誤った表記をしたりすると、氏名表示権の侵害となる可能性があります。著作者人格権は著作権(経済的権利)とは異なり、契約で譲渡したり放棄させたりすることが難しいため、制作の段階から配慮しておくことが求められます。

保護期間の基本を押さえる

著作権がいつまで保護されるかという点も、判断を誤りやすいテーマです。
著作権法では、著作物の保護期間は原則として「著作者の死後七十年」と定められています。これは過去に五十年だったものが国際的な基準に合わせて延長されたもので、現在では多くの国がこの期間を採用しています。

映画の著作物については、公開後七十年という特別な扱いがされる場合があります。また、匿名や仮名で発表された著作物、法人が著作権者となる著作物など、作品の種類や著作者の形態によって保護期間が異なるケースもあります。

保護期間の理解は、過去の作品を利用したいときに特に重要です。著作者の死後七十年を過ぎていれば、著作権は消滅し、自由に利用できるパブリックドメインとなります。しかし、作品によっては複数の著作者が存在する場合があり、その場合は最後に亡くなった著作者を基準とするため、正確な判断が必要です。

広告で歴史的資料や古典作品を扱う際、この点を知らないと誤った利用につながる可能性があります。保護期間は著作権の重要な要素であり、安全に素材を扱うための基本的な指標となります。

 

クリエイティブ制作の誤解

著作権の基本的な仕組みを理解しても、実際の制作現場ではさまざまな誤解が起こりやすいものです。特にインターネットが普及し、誰でも画像や動画、音楽を簡単に扱えるようになった現在では、著作権に関する誤解がそのまま無断利用につながるケースも見られます。
広告やマーケティングの領域は作品を扱う頻度が高く、素材の使い方ひとつで問題に発展する可能性があります。

誤解は、著作権の知識不足だけでなく、情報の流通量やスピードの変化によって生まれることもあります。
例えば、SNSで見かけた画像が手軽に利用できるように見えてしまったり、ネット上の素材だから無料で使えると誤って判断したりするケースがあります。クリエイティブ制作の現場では、こうした誤解を防ぐために、特に注意すべきポイントをあらかじめ理解しておくことが重要です。
ここでは、広告制作で生じやすい典型的な誤解と、その背景にある著作権の考え方について説明します。

ネット素材は自由に使えない

インターネット上には膨大な数の画像や動画、音楽が公開されています。そのため、SNSや検索結果で見つけた素材を「公開されているものだから自由に使ってよい」と誤解してしまうケースが後を絶ちません。しかし、ネット上にある素材のほとんどは著作権によって保護されており、著作者の許諾がなければ利用できません。

SNSで共有されている写真やイラストも、著作権を放棄しているわけではありません。むしろ、SNSの利用規約では著作者が投稿に関する権利を保持することを明記している場合が多く、第三者による無断使用は禁止されています。検索で表示される画像も同様に、掲載先のサイトに著作権があり、出典を示したからといって自由に使えるわけではありません。

また、ネット上で「フリー素材」として紹介されている場合でも、利用条件を必ず確認する必要があります。無料で使える場合と、会員登録や出典表示が必要な場合、商用利用が制限されている場合など、条件はサイトによって大きく異なります。
広告制作では商用利用が前提となるため、条件の読み違いが大きなトラブルにつながる可能性があります。

自由に見えるネットの素材ほど、実は細かい権利関係が存在します。ネット上に公開されていることと、著作権がないことは全く別の問題であるという点を、制作の段階でしっかり意識する必要があります。

引用が許される条件を誤解しない

広告制作では、他者の文章や画像を一部引用したいケースが発生することがあります。
「引用」は著作権法第三十二条に規定された行為で、一定の条件を満たせば許可なく他者の著作物を利用することができます。
しかし、この引用は誰にでも自由に使える便利な仕組みというわけではありません。特に広告のように商用目的で使う場合は、引用の条件を満たすことが難しい場面が多くあります。

引用が成立するためには、引用部分と自分の文章に明確な主従関係があること、引用が必然性を持っていること、引用部分が自分の表現と区別できるよう明示されていること、そして出典を明示することが求められます。文章が主で引用が従の関係にあることが重要で、引用を用いて作品を成り立たせるような構成は認められません。

広告制作では、画像や文章を一部利用してビジュアル構成を行うことがありますが、この場合に引用の条件を満たすことは非常に難しくなります。広告は作品全体が均一の表現として成り立っており、引用部分と自分の表現の主従関係を保つことが難しいためです。
また、広告の目的が商品やサービスの訴求である以上、「引用の必然性」を満たせないケースも多くあります。

引用は便利な制度ですが、安易に適用すると著作権侵害となる可能性があります。特に商用の制作物では、引用が本当に成立するのかを慎重に判断する必要があります。

類似表現と著作権侵害を混同しない

クリエイティブ制作でよくある誤解のひとつに、「似ている作品はすべて著作権侵害になる」というものがあります。
実際には、著作権侵害と単なる類似は異なるもので、似ているからといってすぐに侵害と判断されるわけではありません。著作権侵害が成立するためには、単に似ているだけでなく、「依拠性」と「創作性の同一性」が必要です。

依拠性とは、元の作品を参照したり認識したりしていたことを指します。偶然似た表現になった場合や、一般的でありふれた表現が一致した場合は依拠性は認められません。
また、著作権が保護するのは「具体的な表現」であって「アイデア」ではありません。たとえば、テーマや構図、物語の骨格などのアイデア部分は著作権の保護対象ではなく、表現が同じである場合にのみ問題になります。

広告制作では、複数のクリエイターが同じ課題に取り組むため、同じような発想や構図にたどり着くことも珍しくありません。そのため、似ているだけで著作権侵害と判断するのではなく、表現の一致がどの程度なのか、依拠性があるのかを総合的に考える必要があります。
こうした視点を持つことで、不必要なトラブルを避けると同時に、正しい判断ができるようになります。

 

安全に使うために

著作権に関する誤解を防ぐことは重要ですが、実際の制作現場では「ではどうすれば安全に使えるのか」という具体的な判断が求められます。
広告やマーケティングでは、さまざまな素材を組み合わせて表現を作り上げるため、その都度、著作権の扱いを確認する必要があります。しかし、制作のスピードが求められる場面では、細かな条件を見落としたり、権利関係を曖昧なまま進めたりしてしまうこともあります。

そうしたトラブルを未然に防ぐためには、素材の取得元やライセンス条件の確認、権利処理の進め方、制作物の権利帰属の扱いといった“実務的な視点”が欠かせません。
ここでは、広告制作の現場で押さえておきたい基本的なポイントを整理し、安全にクリエイティブを扱うための判断軸について説明します。

素材の取得元とライセンスを正確に確認する

クリエイティブ制作では、写真やイラスト、動画、音楽、フォントなど、外部の素材を取り入れる機会が多くあります。特に近年では、ストックフォトサービスやフリー素材サイト、生成AIの画像や音声など、素材を入手する手段が多様化しています。
しかし、素材を利用する際に最も重要なのは、「どこから取得した素材なのか」と「その素材がどのような条件で利用できるのか」を把握することです。

ストックフォトは商用利用が可能な場合が多いものの、利用プランによっては使用できる媒体に制限がある場合があります。たとえば、SNS広告は許可されていてもテレビCMには利用できないことがあるほか、テンプレートやロゴ、企画書など二次的に配布されるデザインに組み込むことが禁止されている場合もあります。
また、人物が写っている写真は「モデルリリース」の有無が重要で、これがない素材を広告に使うと、肖像権に関する問題につながることがあります。

フリー素材サイトでは、無料で使える場合でも「商用利用不可」「加工不可」「クレジット表記必須」などの条件が設定されていることがあります。
これらの条件を確認しないまま使用すると、著作権侵害ではないにしても、利用規約違反となる可能性があります。生成AI素材についても、著作権が発生しない場合がある一方、生成サービス側の利用規約に基づく制限が設けられている場合があります。

素材の取得元とライセンス条件を正確に把握することは、制作の土台を固め、安全にクリエイティブを構築する上で欠かせないステップです。

権利処理の流れを理解して進める

外部の著作物を利用する場合、必要に応じて著作権者に許諾を求める必要があります。権利処理の流れは複雑に見えますが、基本的な手順を理解しておけば、制作物に応じた適切なプロセスを踏むことができます。

まずは、利用したい素材が著作権保護の対象であるかを確認します。次に、著作権者が誰なのかを特定し、利用目的や媒体、期間、地域など、どのように利用したいのかを明確にします。この情報が整理されていれば、著作権者に許諾を求める際もスムーズに進めることができます。許可を得る際には、口頭ではなくできる限り書面やメールなど、証拠が残る形でやり取りを行うことが望ましいです。

広告制作では、複数の媒体で素材を利用することが多く、利用範囲を限定した契約になっていると、別媒体で再利用する際に追加の許諾が必要になることがあります。また、撮影に関しては、モデル、ロケ地、衣装、小道具など、著作物以外にも権利や契約が関わることがあるため、撮影段階でも細かな確認が求められます。
権利処理の流れを理解し、素材ごとに必要な手続きを踏むことで、公開後に問題が発生するリスクを大きく減らすことができます。制作の初期段階で権利処理を計画しておくことが、スムーズな進行にもつながります。

社内制作物や外注制作物の権利帰属を明確にする

広告制作では、社内の制作チームだけでなく、外部のクリエイターや制作会社に依頼することも多くあります。その際に見落とされがちなのが、制作した作品の「権利が誰に帰属するのか」という点です。
著作権は原則として著作者に帰属するため、業務委託で外注した制作物の場合、特別な合意がなければ著作権は外部クリエイターにあります。

そのため、発注時には著作権の扱いを明確にしておく必要があります。著作権を譲渡してもらうのか、あるいは特定の利用範囲内で使用するための許諾を得るのか、契約内容によって利用できる範囲は大きく変わります。
たとえば、SNS広告用に制作した動画を後でテレビCMに転用したい場合、契約が利用範囲を限定していると追加の許諾が必要になります。

また、著作者人格権は譲渡できないため、作品の改変が必要な場合には、事前にどの程度の編集や加工が想定されているかを説明しておくことが重要です。クリエイターとの関係性を保ちながら、制作物を安心して活用できる状態を整えるには、権利帰属と加工の範囲を発注時点で合意しておくことが欠かせません。

社内制作の場合でも、複数の部署が関わると権利の帰属や利用範囲が曖昧になるケースがあります。制作物を長期的に活用するためにも、社内外問わず権利関係を整理し、誰がどの範囲まで利用できるのかを明確にすることが重要です。

 

まとめ

著作権は、クリエイティブ制作に関わるすべての人にとって身近でありながら、誤解されやすいテーマです。広告やマーケティングの現場では多くの素材を扱い、日々新しい表現を生み出していくため、著作権の理解が浅いまま進めてしまうと、意図しないトラブルにつながる可能性があります。
このコラムで整理したように、著作権法の目的は、著作者の権利を守ると同時に、著作物が公正に利用されることで文化を発展させることにあります。

著作物の範囲や、著作権の対象とならないものの考え方を理解することで、どの素材に注意すべきかが判断しやすくなります。また、著作権の具体的な権利内容や、著作者人格権の扱い、保護期間などを知っておけば、制作物をどのように扱うべきかを正しく判断できます。さらに、ネット上の素材の扱い、引用の条件、類似と侵害の違いなど、制作現場で起こりやすい誤解を未然に防ぐことも大切です。

安全にクリエイティブを使うためには、素材の取得元や利用条件を確認し、必要に応じて権利処理を行い、社内外の制作物の権利帰属を明確にしておくことが欠かせません。これらのポイントを押さえておくことで、制作物を安心して公開できるだけでなく、著作者やクリエイターとの信頼関係を築くことにもつながります。著作権の理解は、クリエイティブの質を高め、ブランドの信頼性を守るための重要な基盤です。

お気軽にご相談ください

クリエイティブに関する著作権の扱いは、ケースごとに判断が異なり、資料の種類や利用方法によって確認すべき点が変わります。「この素材は使って大丈夫だろうか」「加工して使いたいが問題はないか」「利用条件の確認が難しい」など、少しでも気になる点がある場合は、どうぞお気軽にご相談ください。
状況に合わせて、安全に利用できるかどうかを丁寧に確認し、安心して制作を進められるようお手伝いします。

 

運営者情報

運営者
株式会社キョウエイアドインターナショナル
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