2026年10月13日
交通・屋外広告日本の移動を支える鉄道 輸送人員と地域の役割から考えるこれからの姿
10月14日は「鉄道の日」です。1872年のこの日、新橋~横浜間で日本初の鉄道が開業しました。それから150年あまりがたち、鉄道は通勤や通学、買い物、通院、出張、旅行まで、さまざまな移動を支えています。
ただ、鉄道の役割は全国どこでも同じではありません。都市部では多くの人を一度に運び、新幹線や特急列車は離れた都市どうしを結びます。地方の路線には、学校や職場へ通うための欠かせない足になっているものもあります。利用者の数だけでなく、その鉄道が誰の、どんな移動を支えているかを見ることが大切です。
人口や人の動きが変わるなかで、これからの鉄道にはどのような役割が求められるのでしょうか。鉄道の日を機に、身近な電車や駅から少し視野を広げてみましょう。
ここでは、輸送人員のデータと地域ごとの役割をもとに、日本の移動を支える鉄道の今と、これからの姿について説明します。
目次
日本の交通を支える鉄道の役割
鉄道は、都市の中で多くの人を運ぶ一方で、離れた地域どうしも結んでいます。自動車やバス、航空などと並んで、日本の移動を担う交通機関の一つです。その立ち位置を、輸送の特性と地域での使われ方から見ていきます。
多くの人を運ぶ都市鉄道と都市間交通

鉄道の大きな特性は、多くの人をまとめて運べることです。住宅地から都心の職場や学校へ、朝の限られた時間に大勢が移動する都市圏では、この特性が力を発揮します。何両もの車両をつないだ列車が決められた時刻どおりに走り、日々の都市の活動を支えています。
国土交通省の令和8年版(2026年版)「交通政策白書」によると、2024年度の国内旅客輸送量(人ベース、自家用車を除く)のうち、鉄道は82.3%を占めています。これは鉄道、乗合バス、タクシー、航空、旅客船という公共交通どうしで比べた割合で、自家用車を含めたすべての移動に占める割合ではありません。
それでも、公共交通のなかで鉄道がどれほど大きな役割を担っているかがわかります。
同白書は、鉄道がこれほど高い割合を担っている背景として、大量輸送、高速輸送、定時輸送の面での強みを挙げています。一度に多くの人を運べるうえ、時刻表をもとに移動の予定を立てやすいことも、鉄道が選ばれる理由の一つといえます。
都市の中を走る電車や地下鉄に対し、新幹線や特急列車は都市と都市の間の移動を担います。出張に向かう人、旅行を楽しむ人、帰省する人など、乗る目的もさまざまです。駅で別の路線やバスに乗り継げば、線路が通っていない場所へも移動を続けられます。都市内の短い移動から地域をまたぐ移動まで、鉄道は広い範囲で人の行き来を支えています。
地域の移動を支える交通のつながり
都市圏を離れると、鉄道の使われ方も変わってきます。車での移動が中心の地域でも、鉄道で学校や職場へ通う人がいます。車を運転しない人にとっては、出かける先を選んだり、予定を組んだりするための大切な手段です。
国土交通省は「地域鉄道対策」のページで、地域鉄道を、住民の通学・通勤の足として重要な役割を担い、地域の経済活動の基盤にもなる重要な社会インフラと位置づけています。地域にとっての鉄道の価値は、利用者数の多さだけでは測れません。その路線があるから学校や職場に通える、必要な場所へ出かけられるという人にとって、鉄道は日々の暮らしそのものに関わっています。
通院や買い物の移動を考えるときも、自宅から目的地までの道のり全体を見る必要があります。駅まで歩いたり、自転車やバスを使ったりし、列車を降りた後も別の交通手段で先へ進むことがあります。鉄道の使いやすさは、列車の速さや本数だけでは決まりません。駅へ行きやすいか、乗り継ぎでどれくらい待つか、駅から目的地まで無理なく行けるかも関わってきます。
バスは道路に沿って地域のあちこちを結び、タクシーは一人ひとりの行き先に合わせて動けます。こうした交通手段と鉄道がつながることで、移動できる範囲は広がります。鉄道の立ち位置を考えるには、列車や路線だけでなく、その前後に続く移動まで含めて見ることが欠かせません。
輸送人員から見る鉄道利用の広がり
身近な駅や路線を使っているだけでは、日本全体でどれほどの人が鉄道で移動しているのかは見えにくいものです。輸送人員の統計を確かめると、その規模と利用の広がりが見えてきます。数字の意味を押さえながら、鉄道が担う移動を見ていきます。
年間約234億人の移動を担う輸送規模

国土交通省の「鉄道輸送統計年報」によると、2024年度の鉄道・軌道の旅客数量は約233.8億人でした。前年度より3.4%増えており、全国で膨大な数の移動が行われていることがわかります。この数字には、JRのほか、私鉄や公営の地下鉄などの輸送も含まれています。
日本の人口を大きく上回る数字ですが、利用した人を一人ずつ数えた実人数ではありません。同じ人が毎日乗ればその分だけ数えられ、複数の鉄道会社を乗り継いだ場合は、それぞれの会社で重ねて数えられます。「何人が鉄道を使ったか」ではなく、鉄道が担った延べの輸送規模を示す数字として読む必要があります。
また、前年度より増えたことと、以前の水準に戻ったことは分けて考えなければなりません。
同年報によると、2019年度の旅客数量は約251.9億人で、2024年度はまだその水準に届いていません。直近の増加だけを見て、今後も全国で一様に利用が伸びると判断することはできません。
全国の合計からは、鉄道が担う移動の大きさがつかめます。一方で、それぞれの地域でどう使われているかを知るには、駅や路線ごとの数字も必要です。全国の規模と地元の利用実態の両方を見ることで、鉄道の役割をより具体的に考えられます。
定期利用と定期外利用に広がる接点
鉄道の利用というと、朝夕の通勤・通学を思い浮かべる人が多いでしょう。毎日同じ駅や路線を使う移動は、鉄道の大切な役割です。ただ、統計を見ると、定期券以外の利用にも大きな規模があることがわかります。
2024年度の旅客数量を定期と定期外に分けると、定期が約128.9億人、定期外が約104.9億人でした。年報の数値から計算すると、定期外は全体の約45%にあたります。
ここで注意したいのは、定期と定期外が、移動の目的を表す区分ではないことです。定期券を使わずに通勤する人もいれば、定期券の区間内で買い物に出かける人もいます。定期外の約45%を、そのまま観光や買い物の割合と考えることはできません。
実際の移動には、通院や買い物、仕事での訪問、休日のお出かけ、旅行や帰省など、さまざまな目的があります。通院や買い物のように通勤・通学以外でくり返される移動もあれば、旅行やイベントのように、ふだん使わない駅や路線に乗る移動もあります。
鉄道は、決まった場所へ毎日通うためにも、その日に必要な場所へ出かけるためにも使われています。誰が、いつ、何のために乗っているのかをとらえるうえで、輸送人員の数字は出発点になります。
これからの鉄道に求められる役割
鉄道のこれからを考えるには、輸送人員の増減に加えて、地域でどんな移動が必要とされているかを見ることが欠かせません。人口の構成や外出の目的が変われば、求められる交通サービスも変わります。地域の実情に合った運行と、駅を通じたほかの交通とのつながりから、これからの役割を考えます。
地域の移動に合わせた鉄道のあり方

国土交通省は、地域鉄道を取り巻く環境について、少子高齢化やモータリゼーションの進展などにより、極めて厳しい状況が続いていると説明しています。鉄道は線路や駅、車両の維持に費用がかかるため、利用者が減れば運営に影響が出ます。それでも沿線には、鉄道を必要とする人の移動があります。地域の交通を考えるときは、経営の状況と、住民が必要とする移動の両方を確かめなければなりません。
たとえば、学校へ通うための路線では、始業や下校の時刻に列車の時刻が合っているかが重要です。通院や買い物であれば、目的地に着く時刻だけでなく、用事を済ませて帰れる便があるかどうかも関わります。同じ一往復でも、目的によって使いやすい時間帯は違います。運行本数という数字だけでなく、必要なときに乗れるかどうかを見ることが求められます。
これは都市圏にも通じる視点です。朝夕の通勤・通学だけを見ていては、昼間や休日の移動をとらえきれません。仕事での訪問、通院、買い物、休日の外出など、時間帯ごとの使われ方を確かめることが、運行やサービスを考える材料になります。
国土交通省は、地域の将来にどのような交通が必要かについて、まずは沿線地域で議論し、判断すべきだとしています。そのうえで、地元自治体をはじめとする地域が中心的な役割を担うことが重要だとしています。これからの鉄道の姿は、地域ごとの事情をふまえて描いていく必要があります。
駅を起点につながる交通とまちづくり
列車が便利に走っていても、自宅から駅まで行くのが難しければ、使える人は限られます。駅に着いた後、目的地へ向かう手段がなければ、そこで移動が止まってしまうこともあります。鉄道の役割を生かすには、駅の前後を含めた道のりを整えておくことが大切です。
国土交通省の「地域鉄道対策」のページでは、2008年に交通政策審議会の鉄道部会がまとめた提言が紹介されています。そこでは、地方鉄道がバスや福祉タクシーなどと連携して高齢者などの日々の移動を支え、駅の拠点性を生かして地域の発展や観光振興に役立つことへの期待が示されています。鉄道とほかの交通がつながれば、車を運転しない人も目的地までの経路を選びやすくなります。
乗り継ぎを考えるときは、駅前にバス停があるかどうかだけでなく、列車との接続時間や、乗り場までの歩きやすさも確かめたいところです。案内がわかりやすいか、段差や長い距離の移動が負担にならないかも、使いやすさを左右します。ふだんその駅を使わない人にとっても、迷わず乗り継げる環境は欠かせません。
駅とその周りにある施設との関係にも目を向けられます。買い物や通院などの用事を駅から行きやすい範囲で済ませられれば、鉄道で出かける選択肢が広がります。地域の施設や観光地へ向かう道筋も含め、駅を起点に人がどう動けるかを考えることは、まちづくりにもつながっていきます。
まとめ
鉄道の日は、鉄道の歴史とともに、今の役割を見つめ直すきっかけにもなります。年間約234億人という輸送規模には、通勤・通学だけでなく、さまざまな目的の移動が含まれています。これからの鉄道を考えるときも、利用者数に加えて、その地域で誰が、どこへ行くために乗っているのかを知ることが大切です。
こうした移動への理解は、駅や車内で情報を届けるときの土台にもなります。毎日同じ路線を使う人と、買い物や旅行で訪れる人とでは、広告にふれる場面も違ってきます。
当社では、地域や路線の利用実態をふまえた鉄道広告のご相談を承っています。自社のお客様と鉄道の利用がどう結びつくのか、どの駅や路線が候補になるのかを知りたいときは、ぜひお問い合わせフォームからご相談ください。

