2026年9月7日

交通・屋外広告

特殊な交通広告① 路面電車 軌道法から見る特徴と広告媒体としての価値

 

街なかの道路を、自動車と並ぶように走る路面電車。地域の足として長く親しまれてきた交通機関ですが、一般的な鉄道とは少し異なる成り立ちを持っています。

そもそも、路面電車とはどのような交通機関なのでしょうか。全国にはどのくらいの路面電車が走っているのか、意外と知られていないかもしれません。地域によっては通勤や通学、買い物などの日常の移動手段として使われる一方、観光地では観光客の移動を支える交通機関としても利用されています。
鉄道ともバスとも異なるこうした特徴は、広告を届けるうえでどのような意味を持つのでしょうか。

ここでは、路面電車の法的な位置づけや交通機関としての特徴、利用者や街からの見られ方を整理しながら、広告媒体としてどのような価値を持つのかを掘り下げます。

 

路面電車とはどのような交通機関なのか

路面電車というと、道路に敷かれたレールの上を走り、停留場で乗り降りする電車を思い浮かべる方が多いでしょう。見た目には分かりやすい交通機関ですが、法律上の位置づけを見ていくと、一般的な鉄道とは異なる点があります。
また、道路上を電車が走っているからといって、すべてが同じ仕組みの路面電車というわけでもありません。まずは、路面電車がどのような交通機関として位置づけられているのか、その基本から見ていきます。

軌道法と道路交通法から見る路面電車

路面電車を知るうえで、まず押さえておきたいのが「軌道法」です。
軌道法は1921年に公布された法律で、第1条では一般交通のために敷設する軌道に適用すると定めています。さらに第2条では、特別な理由がある場合を除き、軌道は道路に敷設することとされています。
ここが、一般的な鉄道との大きな違いのひとつです。

路面電車では、道路上にレールを敷き、自動車などの道路交通と同じ空間を走る区間があります。このような区間は「併用軌道」と呼ばれます。一方、道路とは分けられた専用の敷地を走る区間は「新設軌道」と呼ばれ、ひとつの路線の中に両方を持つケースもあります。
さらに、道路上を走る路面電車は、道路交通法とも関係しています。道路交通法では、路面電車を「レールにより運転する車」と定義しており、道路上での通行方法についても定めています。

レールの上を走るという点では鉄道に近い一方、道路の中では自動車や歩行者と関わりながら運行します。路面電車は、鉄道と道路交通の両方の性格を持つ交通機関といえます。

全国の路面電車と「路面電車のように見える鉄道」

では、日本にはどのくらいの路面電車が走っているのでしょうか。
国土交通省では、2025年8月現在、全国23都市・23事業者で路面電車が営業しているとしています。ただし、この「23事業者」という数字が、そのまま23種類の路面電車を意味するわけではありません。
たとえば、軌道を整備する事業者と車両を運行する事業者が分かれているケースでは、それぞれが1事業者として数えられます。そのため、実際の交通機関としてまとめる場合と、国土交通省が事業者数として集計する場合では、数え方が異なります。

もうひとつ興味深いのが、見た目から受ける「路面電車らしさ」と、法律上の分類が必ずしも一致しないことです。
その分かりやすい例が江ノ電です。
江ノ島電鉄には、江ノ島駅と腰越駅の間に、電車が道路上を走る区間があります。自動車と並んで道路を走る光景だけを見ると、路面電車のように見えます。しかし、江ノ電は軌道法に基づく路面電車ではなく、鉄道事業法に基づく普通鉄道です。
反対に、一般的なイメージでは路面電車らしく見えなくても、軌道法の適用を受けている路線もあります。

「道路を走っている電車だから路面電車」と単純に分けられるわけではありません。法律上の位置づけや路線の成り立ちまで確認していくと、路面電車という交通機関が、意外に幅広い姿を持っていることが分かります。

 

街の中を走る路面電車ならではの特徴

路面電車は、鉄道のように決められたルートを走りながら、道路や市街地のすぐ近くを移動する交通機関です。そのため、利用する人だけでなく、沿道を歩く人や車で移動する人からも目に入りやすいという特徴があります。
ただし、路面電車の役割は都市によって異なります。通勤や通学、買い物などの日常の移動に使われる路線もあれば、観光地を結ぶ交通手段として多くの来訪者に利用される路線もあります。こうした利用のされ方や街との距離の近さが、路面電車ならではの特徴になっています。

地域の日常交通と観光を支える路面電車

路面電車は、地域の中を移動するための身近な交通手段として使われています。
利用目的は地域によってさまざまです。通勤や通学、買い物、通院などで日常的に利用する人もいれば、観光や出張などで初めてその街を訪れた人が利用することもあります。

特に中心市街地を走る路線では、鉄道駅や商業エリア、行政施設、観光地などを結んでいるケースもあります。街の中を細かく移動できるため、鉄道で都市間を移動したあと、その先の移動を担う交通機関として使われることもあります。
こうした利用者の幅広さは、路面電車ならではの特徴のひとつです。毎日のように利用する人もいれば、観光や出張で一度だけ訪れる人もいます。

ただし、「路面電車の利用者はこのような人」と一括りにすることはできません。地域によって沿線環境や利用目的が異なるため、その路線がどのような場所を走り、どのような人に利用されているのかを見ることが大切です。

乗っていない人からも見られる交通機関

路面電車のもうひとつの特徴が、街との距離の近さです。
一般的な鉄道は、専用の線路や高架、地下などを走ることが多く、車両を目にする場所は駅や線路沿いなどにある程度限られます。

一方、路面電車の併用軌道区間では、車両が道路の中を走ります。
そのため、乗客だけでなく、歩道を歩いている人、交差点で信号を待っている人、自動車やバスに乗っている人、沿道の店舗や建物にいる人など、さまざまな人の視界に入る可能性があります。

路面電車は、乗客を運ぶ交通機関であると同時に、街の中を移動しながら多くの人の目に触れる存在でもあります。この「乗っていない人からも見られる」という点が、一般的な鉄道とは異なる路面電車ならではの特徴です。

 

路面電車を広告媒体として見る

路面電車の広告には、車内ポスターやステッカーなど、乗客に向けたものと、車体広告やラッピング広告のように車外から見られるものがあります。
同じ路面電車を使った広告でも、どこに掲出するかによって接触する相手や見られ方は大きく変わります。地域の移動手段として日常的に使われること、街の中を走ること。この二つの特徴を踏まえると、路面電車ならではの媒体特性が見えてきます。

広告は地域の利用者と接点を持ちやすい

路面電車の車内では、ポスターやステッカー、窓上広告など、鉄道やバスと同じような広告媒体が利用されています。
車内広告の特徴は、乗車している間、一定の時間にわたって広告が視界に入ることです。通勤や通学などで同じ路線を繰り返し利用する人であれば、同じ広告を何度も目にする可能性もあります。

路面電車は比較的限られた地域の中を走るため、その地域との関係が深い商品やサービスとも相性を考えやすい媒体です。沿線の店舗や施設、地域で展開するサービスなど、その街で暮らす人や訪れる人に知らせたい情報を届ける場として利用できます。

一方で、どの路面電車でも同じような利用者が乗っているわけではありません。通勤や通学の利用が多い路線、観光客が目立つ路線、中心市街地の短距離移動に使われる路線など、それぞれに違いがあります。
そのため、単に「路面電車だから地域密着型の広告に向いている」と考えるのではなく、路線や沿線の特徴、利用者の傾向を確認したうえで媒体を選ぶことが重要です。

車体広告は街の中を移動しながら見られる

路面電車ならではの特徴がより表れやすいのが、車体広告やラッピング広告です。
車体そのものを広告面として使うため、広告を見るのは乗客だけではありません。歩行者や自動車の利用者、沿道の店舗を訪れた人など、路面電車が走る街の中にいる人にも見られる可能性があります。

特に併用軌道では、道路上を自動車と並んで走ったり、交差点で停止したりします。駅や線路沿いだけでなく、日常的な道路空間の中で広告が目に入るところに、一般的な鉄道の車体広告とは少し違った特徴があります。

また、車両が決められた路線を繰り返し走るため、広告が見られるエリアを路線単位で考えることもできます。繁華街を通るのか、住宅地を走るのか、主要駅や観光地の近くを通るのかによって、広告との接点も変わります。

路面電車の車体広告を検討するときには、乗車人数だけを見るのではなく、その車両が街のどこを走り、どのような場所から見られるのかまで確認することが重要です。
路面電車は、乗客に向けた交通広告としての性格に加え、街の中を移動しながら外から見られるという特徴を持っています。鉄道広告と屋外広告の双方に近い見られ方をする点が、路面電車広告ならではの特徴といえるでしょう。
路面電車広告をご検討の際は、路線や利用者だけでなく、車両が走る街の環境や見られ方も含めて媒体を選ぶ必要があります。

 

まとめ

路面電車は、一般的な鉄道とは異なり、軌道法をはじめとする独自の制度のもとで運行されている交通機関です。道路上を走る区間を持つことから、乗客だけでなく、沿道を歩く人や車で移動する人の目にも触れやすいという特徴があります。
また、地域の日常交通として使われる一方で、観光や中心市街地の移動を支えている路線もあり、利用者の構成は地域によってさまざまです。

広告を検討する際には、単に路面電車という括りで考えるのではなく、どの街を走り、どのような人に利用され、どこから見られるのかまで確認することが大切です。
車内広告は乗客との継続的な接点をつくりやすく、車体広告やラッピング広告は街の中を移動しながら広く視認される可能性があります。こうした二つの見られ方を持つことが、路面電車広告の大きな特徴です。

路面電車広告をご検討の際は、路線ごとの利用状況や掲出場所、車体広告の見られ方なども含めてご案内できます。お気軽にご相談ください。

 

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