酒井 啓次

名古屋支社
CS 部

取材日:2023年8月1日

公開日:2023年10月10日

「笑顔」を糸にして、
未来を編もうとする人

営業手法の広がりを求めて

開発した飲食店内のサイネージ広告の企画が全国の営業拠点に広まるなど「スマッシュヒット」を飛ばし、全社のモチベーションアップに貢献した名古屋支社。2022年10月に移転した新オフィスの内装はフラワーデザイナーの手による、大胆にグリーンを駆使したデザインで、爽快な空気にみちている。

顧客満足度を高める営業手法を身につけてもらうことを目的として新設されたCS(カスタマー・サティスファクション)部の責任者として2023年の4月にメディア部から異動したのが酒井だ。

前職はアパレルメーカーの営業兼デザイナー。仕事と並行してバンドを結成し、ボーカルを担当。有名バンドの前座をつとめるまでになったが、26歳のときにバンドは解散。キョウエイアドに営業として入社した。
1年半後に媒体の仕入れを担当するメディア部に移り、12年の月日を駆け抜けた今、酒井は「顧客サービスの追究」という新たな戦場で闘い続けている。

戦闘服である白いTシャツの胸にプリントした「BE ORIGINAL」の文字。自らの意志を表明した言葉をいつも身につけ、時にはおどけて相手の心をときほぐし、コミュニケーションを交わす。
「最新、最先端のものを創るだけが正解ではなく、相手にとって『唯一で最善、最高な選択』を提供するオリジナルな存在になるという意味です。」
そのために「共感する力」が、酒井が携える武器だ。

若い人たちや女性の個性とつながり、導くには

「コロナ禍を契機に、求められる成熟のスピードがプラス5歳早まっているように感じます。自分は今39歳ですが、44歳の考え方や立ち居振る舞いが求められています。
そして、とくに若い方々はSNSを起点とした価値基準や行動規範に大きな影響を受けている。一部の成功者の姿から、『自分も確立された何者かでなければならない』というプレッシャーにさらされているように感じます。
そうした状況に立ち向かい、未来を担う彼や彼女たちと時間を共有することで、自分に無かった価値観を身につけ、お客さまを始めとした周りの方々の想いに応える提案ができるよう模索し、自らをブラッシュアップしていきたいです。」

そんな取り組みのひとつとして、営業の仕事に「デザイン」という言葉を据えて課題解決を図ることを試みている。
クリエイティブに関連するデザインの他に、①サービス、それを遂行する組織の「デザイン」/②価値を創造するための「デザイン」/③テクノロジーを駆使するための「デザイン」、という3つの「デザイン」を意識することが、営業手法の可能性を拡大する鍵だと考えている。

そうした考えの一環で、営業担当者の名刺の肩書を全員、「◯◯◯◯デザイナー」としたらどうか、というアイデアがある。若い人たちの存在意義を高める手段のひとつで、売上をつくること以外にも、企画書作成やチームメイキングなど、チームメンバーそれぞれが「何をデザインする」ことに長けているかを肩書で表現できたら、というおもいからだ。そして同時に「女性の笑顔」も大切に捉えている。

「時には女性だけで企画の絵を描いてもらい、管理する立場の方々は経験をもとにアドバイスして予算付けでバックアップするのもひとつのやりかたではないかな、と思ってみたりもします。」

こうした思いが全国の拠点で頑張っている社員の皆に届くことを、酒井は期待している。

本質と本筋をロジックとエモーションで本髄に

「お客さまが備える独自性が『本質』。ビジネスモデルの構築やキャッシュポイントの提案・調整が『本筋』で、自分が担っている部分。それらが融合したかたちが『本髄(エッセンス)』です。『本髄』に携わらせていただけている今、僭越ですが自分という存在の価値を実感しています。」

部が発足して3ヶ月を経た現在、関わる案件の数を増やして結果に結びつけるために活動方法を微調整しているが、若い人を指導する核心はかわらない。

その言葉とは「グッドエラー」。「もっと、人のためにエラーをしよう」と、若い人と積極的にコミュニケートしている。チャレンジしてミスすることは、けっして格好わるいことではなく、他者の気持ちを理解するきっかけとなり、他者に好影響を及ぼす「良いエラー」である、という考え方だ。

撮影の道すがら通りがかった顔馴染みのカフェのスタッフが、酒井とのにこやかなやり取りの後、お店での撮影に快く応じてくれたのも、普段から多様な
人々と積極的に交わろうとしている姿勢のあらわれだろう。

営業担当の女性社員が、酒井と笑顔で目線を交わしながら、彼の人となりを話してくれた。
「契約が取れると自分以上によろこんでくれ、仕事が楽しく、誇りがもてるようになりました。以前、口数が少なく会話の糸口が掴みにくいお客様のアポイントに同行していただいたのですが、ヒアリングに徹することで、胸の内を能弁にお話しいただいたのには驚きました。」

彼女にとって酒井は、親しみやすく、尊敬できて憧れることのできる存在だ。
「みんなをハッピーにするために生まれてきたような存在。反面、気分屋さんで、そのギャップでフランクな関係を結ばせてもらえる。懐が広いというか、大人ってこんなに楽しいんだとおもわせてくれた方です。会社をもっともっと楽しい場所にひっぱっていってもらいたいですね。」

酒井は自身を振り返った。
「『洒落た人』になりたいと、ずっとおもっています。TPOをわきまえ機智に富み、局面に対する「所作や配慮のデザイン」を意識している人のことです。」
最近、趣味としてのバンド活動を再開した。公私ともに人を喜ばせ、何かをクリエーションするための労を惜しまない。

今日を愉しみ、相手から行動を引き出すために心のこもったプレゼンテーションで幸福な未来像を説く酒井は、希望を叶えるための「オリジナルな存在」であることを、貫き続けようとしている。(了)