2026年8月25日

マーケティング

広島県は3つのエリアで考える 広島・備後・備北の地域性から読み解く広告戦略

 

広島県というと、平和記念公園や厳島神社、マツダやお好み焼きといった全国的に知られたイメージが先に浮かぶかもしれません。県の人口はおよそ270万人で、中四国地方でもっとも多く、瀬戸内海に面した温暖な気候のもと、海の幸と山の幸に恵まれた地域でもあります。

ですが、県内を実際に歩いてみると、その顔つきはエリアごとに大きく異なります。中国地方最大の都市である広島市を中心とした地域、鉄鋼や造船で発展してきた東部の地域、そして中国山地に抱かれた北部の地域では、暮らし方も移動の仕方も、そこに響く広告のかたちもまったく違います。同じ広島県内をひとつのエリアとして捉えてしまうと、せっかくの広告予算が届くべき層に届かないということも起こりえます。

ここでは、広島県を「広島エリア」「備後エリア」「備北エリア」の三つに分け、それぞれの特徴と交通事情から見えてくる広告展開のポイントについて説明します。

 

広島エリア 中四国最大の都市圏

まずは県の西部に広がる広島エリアです。広島都市圏とも呼ばれ、広島県における広告活動の中心地といえる場所です。広島市を中心に、呉市や東広島市、廿日市市などの周辺自治体を含めた広域都市圏が形成されており、連携中枢都市圏の枠組みでは広島県・山口県・島根県の3県にまたがる34市町が広島広域都市圏を構成しています。

広島市が牽引する経済圏

広島市は人口およそ119万人を擁する政令指定都市で、中国・四国地方において唯一の100万都市です。県人口の43.6%が広島市に集中しており、県内における人口と経済活動の重心がこのエリアにあることがわかります。

臨海部では自動車産業や製鉄、造船といった工業が発達しており、なかでも自動車メーカーのマツダは、広島市に隣接する府中町に本社を置きながら、広島エリア全体の経済を支える存在になっています。中国地方を統括する企業の拠点も多く集まっており、支店経済都市としての性格も強いエリアです。

繁華街としては紙屋町・八丁堀が中四国最大級の規模を持ち、広島駅周辺の再開発も進んでいます。企業の広告出稿という観点で見ても、大手企業から地場の中小企業、個人事業主まで、幅広い層が集まる市場だといえます。

路面電車とアストラムライン

広島エリアの交通を語るうえで欠かせないのが、広島電鉄の路面電車です。市内中心部の紙屋町・八丁堀と広島駅、宮島方面などを結び、市民の足として長く親しまれてきました。
あわせて、市の中心部と北西部の住宅地を結ぶ新交通システム「アストラムライン」も、通勤や通学の重要な移動手段になっています。本通駅から広域公園前駅までのおよそ18キロメートルを専用軌道で走り、渋滞や交通事故の影響を受けにくいという特性から、1日あたり数万人規模の利用者を集めています。

広島空港は広島市中心部から離れた三原市にあり、広島駅からリムジンバスでおよそ50分から1時間ほどかかります。東京方面からの移動でも、空港アクセスや搭乗手続きを含めると新幹線とさほど変わらない時間になることから、乗り換えの少ない新幹線を選ぶ人も少なくありません。
東京駅から広島駅まではのぞみでおよそ3時間50分というアクセスのよさもあり、広島駅は空路と並ぶ広島エリアの玄関口としての役割を担っています。JR西日本の在来線や新幹線とも接続しており、広島駅を中心に鉄道、路面電車、新交通システム、バスが重なり合う、いわば多層的な交通結節点が広島エリアの特徴です。

この生活動線の重なりは、車内広告や駅広告、デジタルサイネージなど、複数の媒体を組み合わせた面的な展開がしやすいという点で、広告展開を考えるうえでも大きな強みになります。中心市街地は徒歩や路面電車での回遊が前提になっているため、屋外広告やのぼり、店頭サイネージなど、歩行者の目線を意識した媒体との相性もよいエリアです。

 

備後エリア ものづくりの広域商圏

続いて、県の東部に位置する備後エリアです。福山都市圏、あるいは備後都市圏とも呼ばれ、県庁所在地の広島市から100キロメートルほど離れた場所に、独自の経済圏を形成しています。

福山市を核とした重工業地帯

備後エリアの中心都市は、中核市に指定されている福山市です。太平洋ベルトに連なる瀬戸内工業地域の一角を占め、JFEスチール西日本製鉄所をはじめとする鉄鋼業や、大手造船企業の拠点が集積しています。

臨海部では重工業、内陸部では繊維業や木工業が発展してきた歴史があり、上場企業を含む多くの企業がこのエリアに拠点を構えています。県庁所在地から離れているにもかかわらず、福山市を中心に独自の商業的な流通網を築いてきたこともこのエリアの強みです。

福山市・府中市・尾道市を中心に、岡山県西部にまで広がる経済圏を持ち、県境を越えた広域展開を意識した広告戦略が求められるエリアだといえます。尾道市にはしまなみ海道の玄関口としての顔もあり、瀬戸内の景観を目当てに訪れる観光客への発信も、このエリアならではの視点になります。
製造業が基盤にある地域だからこそ、消費者向けの発信だけでなく、取引先や協力会社に向けたBtoBの情報発信が重要になる場面も多いエリアです。

新幹線と高速バスの結節点

福山駅は、山陽新幹線の「のぞみ」「みずほ」の一部と、すべての「さくら」が停車する駅です。広島県東部と岡山県井笠地方を結ぶ広域都市圏のターミナル駅であり、南北の駅前からは中国バスや井笠バスカンパニー、鞆鉄道といった事業者による高速バスが多数発着しています。
西瀬戸自動車道を経由して、しまなみ海道方面や愛媛県松山市・今治市へ向かう高速バスも発着しており、本州から四国への乗り換え駅としての機能もあわせ持っています。

広島空港へは福山駅からリムジンバスでおよそ1時間かかり、空港アクセスの不便さは広島エリアと同様です。そのぶん、東京方面からのぞみで乗り換えなく到着できる福山駅の役割は大きく、新幹線と高速バスという二つの広域交通が交差する陸路の要衝として、備後エリアの内外から人が集まる拠点になっています。
通勤・通学利用だけでなく、出張やビジネス目的の移動が多いという点も見逃せません。BtoB向けの情報発信や、広域からの来訪を想定した広告展開との相性がよいエリアだといえます。

 

備北エリア 車移動が前提の内陸部

最後に紹介するのは、県の北部に広がる備北エリアです。三次市や庄原市を中心とした地域で、安芸高田市や山県郡などを含めて芸北エリアと呼ばれることもあります。

人口減少が進む内陸エリア

備北エリアは中国山地に囲まれた内陸部にあり、広島エリアや備後エリアと比べると、人口規模の面では大きく下回ります。中心都市である三次市の人口は、ピークだった1947年の95,766人から2020年には50,681人まで減少しており、地域全体で人口減少が進んでいます。

三次市にはマツダのテストコースが置かれるなど、自動車関連の施設が立地する一方で、県全体を見渡したときに、都市部への人口集中と、中山間地域における人口減少という構図が、広島県内で最もはっきりと表れているのが、このエリアだといえます。それだけに、地域に根ざした情報発信や、地元の生活動線に寄り添った広告展開の工夫が、他のエリア以上に求められる場所でもあります。

医療や介護、生活インフラに関わる情報など、高齢化が進む地域だからこそ届けたい情報も多く、消費者との距離が近いコミュニケーションが効果を発揮しやすいエリアだといえます。

芸備線の縮小と車社会

備北エリアの交通を象徴するのが、JR芸備線です。広島駅と岡山県の備中神代駅を結ぶローカル線ですが、広島側の都市近郊区間を除くと利用者数の減少が続いており、もっとも利用が少ない備後落合〜東城間では、1日1kmあたりの利用者数(輸送密度)が19人にとどまります。広島側の都市近郊区間の輸送密度が約9千人であることと比べると、その差は際立っています。

鉄道が果たす役割が縮小する一方で、道路網を軸にした移動が地域の生活基盤になっているのが備北エリアの現状です。広告展開を考えるうえでも、駅や車内といった鉄道系の媒体よりも、幹線道路沿いの屋外広告や、車で立ち寄る施設を起点にした展開のほうが、消費者の生活動線に沿ったアプローチになりやすいエリアだといえます。
移動そのものに時間がかかる地域だからこそ、一度目にとまった広告が記憶に残りやすいという側面もあり、看板やロードサイドのサイネージが持つ役割は決して小さくありません。

 

まとめ

広島県は、ひとつの県のなかに、都市型の広島エリア、ものづくりを軸にした広域商圏を持つ備後エリア、車移動が前提となる備北エリアという、性格の異なる三つの地域を抱えています。
広島エリアでは路面電車やアストラムラインを軸にした面的な媒体展開、備後エリアでは新幹線や高速バスを利用する広域からの来訪者を意識した展開、備北エリアでは道路網に沿った屋外広告など、それぞれの交通事情に合わせて広告のアプローチを変えていくことが、効果的な情報発信につながります。

同じ広島県内であっても、エリアが変われば消費者に届く広告のかたちも変わります。県全体を一括りにするのではなく、広島・備後・備北という三つの視点から出稿先や媒体を組み立てることが、無駄のない広告展開につながります。
広島県内での広告展開や媒体選定でお悩みの際は、ぜひご相談ください。

 

 

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